技術流出リスク対応に向けたグループガバナンス構築支援

各国の経済政策の変化やビジネスのグローバル化、情報のデジタル化に伴い、技術情報が流出した際のリスクが拡大しています。この課題に対応するため、本サービスではグローバルでのグループガバナンスを軸に据え、グループ各社で生じる流出経路への対策を統合的に設計・実装します。「本社によるガバナンス」と「現場における対策」をリスク評価結果に基づき一体的に設計することで、対策の抜け漏れと、拠点ごとの統制整備のばらつきを抑え、グループ全体の技術情報の流出防止に資する体制づくりを支援します。

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本サービスは、図表1に示す二層構造で構成されます。

図表1:技術流出リスク対応に向けたグループガバナンス構築支援の全体像

技術流出リスク対応に向けた グループガバナンス構築支援の全体像

技術流出リスクとは

技術情報の流出は、国内本社だけで解決する問題ではありません。むしろ、グループ企業、とりわけ海外関係会社等のサプライチェーン上のステークホルダーを起点として発生するケースが少なくありません。

たとえば、流出のリスクは次のような場面に潜んでいます。

【技術流出が発生するシナリオ事例】
  • 転職した現地スタッフや、赴任者・出張者のデバイスを経由した流出
  • JV(合弁会社)や製造委託先など、現地拠点のガバナンスが十分でないことによる流出
  • 本社のガバナンスの盲点となりやすい、海外拠点間の技術移転を通じた流出
  • 共同研究やサプライチェーン上のすり合わせを通じた、取引相手への流出

こうした流出は日常業務のなかで合法的に進行することも多く、気づいたときには取り返しのつかない状況になっている場合があります。

技術流出が経営課題となる背景

技術情報の流出に係る対策が経営課題として急速に重要性を増している背景には、事業環境の大きな変化があります。

  • グローバル展開の加速
    海外子会社、委託先、研究開発拠点が世界各地に分散し、本社の目が届きにくい領域が拡大しています。
  • サプライチェーンリスクの高まり
    調達・製造・販売・保守・研究開発の各機能が多層化・国際化し、技術情報を受け渡す相手が増え、複雑化しています。
  • 拠点間の技術移転の増加
    海外拠点間の技術移転やデータ連携が日常化する一方で、本社のガバナンスが及びにくく、意図しない流出や法令違反が生じやすくなっています。
  • 各国の経済政策の変化
    各国が国産化や技術優位の確保を志向するなか、他国政府が主導して技術開発を行っている分野では流出リスクが一段と高まっています。

図表2:技術流出リスクの高まりの4つの背景

技術流出リスクの高まりの 4つの背景

技術流出に係る社会の動向

このような事業環境の大きな変化を受け、技術情報の流出リスク低減に向けた社会全体での取り組みが加速しています。たとえば、当局主導による各種法律の改正やガイドラインの策定が進められているほか、民間団体や企業においても技術情報に係るセキュリティの強化が一層重要視されるようになっています。

政治:当局による法律改正/ガイドライン策定​

  • 技術流出対策ガイダンスの公表​
  • 改訂コーポレートガバナンス・コード解釈指針で、取締役会が監督すべきリスクに技術流出リスクを明記​
  • セキュリティクリアランス制度の整備​

経済:民間企業における技術情報管理対応の推進​

  • 技術情報管理認証制度(TICS)の創設​
  • 企業における地政学リスク、情報漏洩対応の進展​

​社会:官民を挙げた技術情報の保護​

  • 研究所のデータを漏えいした他国籍研究員への対応強化

技術:サイバーセキュリティ対策の推進​

  • EDR等のサイバーセキュリティ対策の高度化​
  • 生成AIを活用したセキュリティ強化技術の進展​​

技術流出がもたらす影響

技術情報の漏洩が発生した場合、企業は技術的な競争力の低下や金銭的な賠償を含む法的/社会的責任の追及を受ける可能性があり、経営への大きな影響が想定されます。

関係法令の違反

外国為替及び外国貿易法(外為法)をはじめとして、違反者個人に限らず企業にも高額な罰金などの刑事罰を科すことを定める法令への対応が求められます。

  • 事例
    クラウドサービス上に技術を保存しており、海外の子会社が自由にアクセス可能な状態であった結果、必要な許可を得ない技術提供として外為法違反に問われた。

ステークホルダーからの法的責任の追及

取引先企業から開示を受けた技術情報が自社から流出した場合には、不正競争防止法等に基づき、流出させた従業員及び流出元となった企業が差止め請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。その他にも、株主代表訴訟や監督責任の追及を受けるリスク、取締役の善管注意義務・内部統制システム構築義務への抵触と判断され損害賠償請求を受ける等のリスクが考えられます。

自社製品の市場シェアの喪失等の競争力の低下

企業の競争力の源泉となる技術情報が他社に流出した場合、競合製品が開発されることで主力製品の市場シェアを失い、企業の競争力が大きく低下する可能性があります。

  • 事例
    技術供与を実施した海外子会社を経由して最新技術が流出。当技術を基に元パートナー企業が競合製品を投入した結果、自社製品の市場シェアが著しく低下した。

取引先からの信頼を含む社会的なレピュテーションの毀損

技術情報の流出に伴い情報管理体制に懸念を持たれた結果、取引先からの信頼が損なわれる可能性があります。

  • 事例
    海外拠点のシステム管理に対する本社のガバナンスが不十分となっていたところ、標的型サイバー攻撃を受けた際に製品情報が流出し、新聞/ニュース等で大きく報道された。

技術流出が発生する経路と主な対策

グループ(特に海外関係会社)を起点とする流出は主に3つの経路で発生し、特に国外を経由する場合に本社のガバナンスが効きづらくなりリスクが一段と高まります。流出経路の3類型ごとにリスク対応策の方向性をサイバーセキュリティおよび管理体制の側面から検討し、「人・モノ・情報・契約」の観点でのグループガバナンスの枠組みにより横断的に管理することが重要です(図表3)。

図表3:技術流出の主な3経路

技術流出の主な 3経路

① 人を通じた技術流出

雇用の流動性が高い海外では、現地スタッフの転職を通じた流出が典型的です。また、海外赴任者・出張者のデバイスを経由した漏えいや、競合による引き抜き、不適切な接触にも注意が必要です。

  • 主な対策
    • アクセス権限のリアルタイム更新
    • コア技術にアクセスできない出張用デバイスの貸与
    • 継続的な情報管理研修
    • 優秀な技術者の処遇向上

② JV・共同研究からの技術流出

合弁会社の設立や共同研究を通じて、海外パートナーへ技術情報が渡る経路です。特に、事前協議や試作品の提示、再委託先の段階にリスクが集中します。

  • 主な対策
    • 国・組織・個人の観点からのデューデリジェンス徹底
    • 事前のNDA締結及び段階的な情報開示
    • 必要に応じた事前の特許出願
    • 再委託の原則禁止

③ サプライチェーンからの技術流出

調達先・顧客・装置メーカーとの仕様調整(すり合わせ)を通じた流出です。サンプルのリバースエンジニアリングや、過度な情報開示が典型例です。

  • 主な対策
    • 提供情報の必要最小限への限定
    • コア技術のブラックボックス化
    • サンプルの厳格な回収管理
    • 個別NDAの締結

PwCのソリューション

PwC Japan有限責任監査法人は、以上のような課題認識を基に、技術情報の流出の防止に向けた体制の整備を、現状評価(1ステップ)および体制構築・運用(3ステップ)の計4ステップで支援します(図表4)。

図表4:グループガバナンス構築支援の4ステップ

グループガバナンス構築支援の 4ステップ

① 診断・リスク評価

はじめに本社のグループガバナンス状況を確認したうえで、グループ会社における現状や技術情報の運用実態を確認します。グループ会社は文化の違いや物理的な距離の観点から管理が行き届きにくく、どのような情報を取り扱っているか、またどのように運用しているかが本社から見えづらいため、オンサイトでの直接対話や観察を通じて現状を確認することが望ましいです。本サービスでは、本社だけではなく海外拠点を含むグループ会社への直接対話を支援し、正確な現場運用状況を把握します(図表5)。

図表5:現状評価の実施イメージ

現状評価の実施 イメージ

技術流出対策ガイダンスのチェックリストやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)のチェック項目に加え独自のベンチマークを考慮した上で、企業グループのどこにどのくらいの技術情報の流出リスクが潜在しているかを洗い出し、リスクヒートマップ等の形式でリスク評価結果を可視化します。その後、リスク評価結果の優先順位を基に、対応案を策定していきます(図表6)。

図表6:現状評価におけるリスク評価の実施イメージ

現状評価におけるリスク評価の実施 イメージ

出典:経済産業省, 2026. 『技術流出対策ガイダンスチェックリスト』

② グローバルでのグループガバナンスの設計

グループ共通の情報管理規程・ポリシー、コア技術の一元管理体制、拠点間での技術移転に係る承認フロー、部門横断での推進体制や現場へのモニタリング体制を整備・構築します。

図表7:グローバルでのグループガバナンスの設計

グローバルでの グループガバナンスの設計

③ 経路別対策の実装

人事・教育プログラム、契約・NDA・DDプロセス、アクセスコントロールの導入を支援します。

図表8:経路別の対策

経路別の 対策

④ 運用・モニタリング・監査

運用状況の点検、撤退後のモニタリング、有事の際のインシデント対応を支援します。技術情報管理に係る規程・マニュアルを整備した後には、グループ本社による継続的なモニタリングと改善支援を組み合わせることで、グローバルレベルでの技術保護の実効性の担保を支援します。

PwCの強み

PwC Japan有限責任監査法人は以下の3つの強みを有しており、これらを活用することで高品質なサービスを提供します。

① 関連領域に係る専門性の有機的な連携

技術流出リスクの対応は、対象領域が広範にわたります。PwC Japan有限責任監査法人はグループガバナンス、リスク管理、法令対応、システム対応、セキュリティ管理の知見を有する専門家が有機的に連携することで、分野横断的な課題に対して品質の高いサービスを提供します。

② グローバル企業のガバナンスの構築実績

技術情報の管理においては、法制度や商慣習が異なる海外拠点を含む形でのガバナンス構築が不可欠です。PwC Japan有限責任監査法人には海外内部監査、グループコンプライアンス、各国法制度対応のいずれにおいても豊富な実績があります。

③ 情報管理・データガバナンスの専門性

PwC Japan有限責任監査法人はISMSやNIST等、システムセキュリティのフレームワークに係る知見の他、情報管理体制構築、個人情報保護との統合対応の豊富な支援実績を保有しています。また監査業務で培った知見を活かして、信頼性のあるリスク評価を提供します。

主要メンバー

田中 洋範

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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雨宮 弦太

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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西田 昂生

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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