2026年の世界半導体業界の見通し

半導体とその先へ

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  • 2026-03-31

AI活用型の製造業、自動運転、創薬、スマートグリッドなどは、新たな価値やビジネスモデルを創出する可能性があります。これらや他のイノベーションに共通する点として、「半導体」を活用していることが挙げられます。各産業のイノベーションを支える計算能力と接続性は、半導体の処理速度と効率の急速かつ絶え間ない進化に支えられています。現在の半導体メーカーを取り巻く環境は、変革が進むのと同時に、不確実性が高まっていると言えます。輸出管理や重要資材の制限、貿易同盟の変化は、激しい技術競争の裏側で業界の勢力図を再定義しています。

今、リーダーに求められるのは、短期的な競争力の維持だけではありません。業界再編という新たな局面が、将来、どのように価値を生み出すかを洞察する先見的なアプローチも必要です。

PwCの調査レポート「半導体とその先へ」では、業界動向、エンドマーケット別の需要、新興技術の影響を詳細に分析し、需要と供給の両面から、半導体市場における将来の意思決定に役立つ洞察を提供します。

需要分析

世界の半導体市場は、2024年の約6,270億米ドルから2030年には1兆米ドルを超え、年平均成長率(CAGR)8.6%で拡大すると予測されています。

成長の原動力となるのはAIであり、特にサーバーと自動車分野が最も高い成長率を示すと予測されています。

自動車

未来の車は、単なる移動手段ではなく、半導体によってシームレスに駆動・制御される高性能なコンピュータを搭載した「動く家」とも呼ぶべき新しい存在へと進化していくでしょう。

  • 電気自動車(EV)市場の拡大に伴い、シリコンカーバイド(SiC)をはじめとする新素材を使った高電圧パワー半導体を搭載した電動型パワートレインの需要は急増し、自動車用パワー半導体市場の約60%を占める見通しです。
  • 2030年にはレベル2以上の自動運転車が出荷台数の70%程度に達すると予測されます。センサーや通信IC、電子制御ユニット(ECU)、プロセッサなど、1台あたりの半導体搭載量は飛躍的に増加することになります。
  • 中央の高性能コンピュータ(HPC)と複数ECUが統合的に機能するソフトウェア定義型アーキテクチャへの移行により、半導体は車両の「血液」「筋肉」「脳」として重要性を増していきます。

サーバーとネットワーク

2022年に生成AIアプリケーションが急増して以来、生成・処理されるデータ量は爆発的に増加しています。

サーバーおよびネットワーク機器は、半導体技術の進化に支えられ、社会全体の知能インフラを形成する中核となっています。

  • データトラフィックの急増に伴い、データセンター向け半導体市場は今後5年間で2,500億米ドルを突破する可能性があります。高効率なサーバーへの需要が高まる中、AIアクセラレータがデータセンター用半導体消費の50%以上を占める見通しです。
  • 需要増はネットワーク機器分野にも波及しており、コンピューティングチップの搭載によって、スイッチやルーターの「インテリジェンス化」が加速しています。
  • 通信市場では、5Gの世界的普及により、GaN(窒化ガリウム)RF半導体市場は2030年までCAGR 5.5%で推移すると予測されます。最終的に、将来の基地局の約90%に搭載されるでしょう。

家庭用電化製品

成熟市場である家電分野も、AIやIoTの統合により“スマート化”が進み、半導体搭載量は増加しています。また、AR/VR、ウェアラブルなど新カテゴリも成長ドライバーとなっています。

  • 既存の家電分野は、AI統合や省電力性能への要求を背景に再成長が見込まれ、高性能なアプリケーションプロセッサ(AP)の採用が加速するでしょう。家電市場は着実な拡大を続け、2030年には約126億米ドル規模に達すると予測されます。
  • スマートホームの普及は、生活利便性の基準を塗り替える可能性を秘めています。この潮流により、接続IC市場が拡大し、機器は状況に応じて最適な通信規格を使い分け、運用効率を高めると考えられます。
  • スマートウォッチや、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)を含むウェアラブルデバイスには、多様なセンサーが統合され、ヘルスケアや娯楽において革新的な体験を提供しています。ウェアラブルデバイス分野のセンサー市場では現在、マイクロフォンの比重が大きいものの、今後は画像や磁気、バイオセンサーといった新たな役割が飛躍的に拡大する見通しです。

コンピューティングデバイス

スマートフォンおよびPC市場は成熟領域とみなされていましたが、オンデバイスAIにより再び成長機会を迎えています。

  • 先端半導体の主要な用途であるスマートフォンおよびPC市場は、ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)の統合により、劇的な変革を遂げる可能性があります。AI対応半導体の市場規模は、PCおよびスマートフォン向け合計で2024年の約90~100億米ドルから、2030年には400~430億米ドルへと急拡大する見通しです。
  • 電力効率と性能を高度に両立させる低消費電力メモリ技術(LPDDR)は、ポータブル機器の利便性を左右する核心的技術です。この技術は今後も進化を続け、2〜3年程度のアップグレードサイクルの中で最大約50%の電力効率向上が達成されると期待されています。
  • スマートフォン市場ではカメラ性能が差別化の軸となっており、これは半導体技術の進化と密接に連動しています。イメージセンサーやイメージ・シグナル・プロセッサ(ISP)の急速な革新により、プロフェッショナル品質の写真撮影が日常的に可能となるでしょう。

産業機器

医療、農業、製造、エネルギー、防衛といった基幹産業は、人口動態の変化や生産性向上の要請、気候リスクなどを背景に進化を続けています。

半導体はこれらの領域で、効率化とイノベーションを支える上で不可欠な基盤です。

  • ヘルスケア向け半導体市場は、診断・治療から予防・アフターケアへのサービス領域拡大に伴い、2030年には87億米ドルに達する見通しです。医療機器の進化には、高性能なGPUやCPU、バイオセンサーの搭載が不可欠となっています。
  • パワー半導体は、再生可能エネルギーの成長を支える基盤技術です。特に太陽光発電(PV)、風力発電、スマートグリッドなど、高出力管理が求められる分野では、SiCが主役となります。
  • 工場や農林水産業は「自動化」への転換期にあります。これは、リアルタイムでのデータ収集・接続・処理、そして物理的な駆動を実現する多様な半導体ソリューションによって可能となります。
  • 防衛分野では、訓練、レーダー探知、指揮から反撃に至る全工程で半導体が統合されています。高度なGPU/CPU、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびGaNベースのRFチップは、ミッションの成功率向上と人的損害の低減に向け、今後さらに需要が高まるでしょう。

供給分析

チップ性能を左右する要素として、製造だけでなく設計段階の重要性が一段と高まっています。

各国・地域はAIやHPCで主導権を握るべく戦略を掲げており、低消費電力・用途特化型の設計へのシフトが進んでいます。

IPおよびEDAツールの重要性とコストは増大しており、企業は費用最適化と価値最大化の両立を目指しています。

ファブ工場の生産能力は、AI需要を主軸として2030年までにCAGR7%で拡大する見通しです。ロジック、メモリ、DAO(ディスクリート、アナログ、オプト)の各分野では、地域ごとに鮮明な専門化戦略が見られます。米国が世界的な主導権奪還を模索する一方で、中国は自給自足の達成に注力しています。投じられる巨額の資本は、2030年までに業界の勢力図を劇的に塗り替える可能性があります。

プロセスノードの微細化が限界に近づく中、「先進パッケージング」による性能向上が注目されています。インターコネクトの短縮による高速化や、柔軟なダイ構成を可能にする「チップレットアーキテクチャ」が技術革新の中核です。

また、パッケージングの高度化によりウェハテストの重要性も増しています。ダイレベルでの早期欠陥検出は、1個の不良ダイによるパッケージ全体の廃棄損失を防ぎ、歩留まり改善に不可欠となっています。

先端製造装置の確保は供給能力拡大の前提条件です。

世界の半導体製造装置投資は2030年まで年率7.4%で増加し、その70%以上がアジアに集中する見通しです。

SiCやホウ素カーバイドといった新材料は、コスト削減に加え装置の長寿命化にも寄与し、生産効率を向上させています。

今後の展望

PwCは、半導体と密接に連動するとみられる次世代技術を選定しました。2030年以降、技術革新が進む中で半導体の重要性は揺るぎませんが、その役割は質的に変化していくでしょう。高度なAI、自動運転、ヒューマノイドロボット、量子コンピューティング、ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)などの台頭は現実味を帯びており、業界関係者がこれにどう備えるべきかという課題を提起しています。

本レポートでは、半導体業界の先見的なリーダーに向けて、新たな技術の潮流がもたらす機会と課題をさらに深く掘り下げています。

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※本コンテンツは、「Global semiconductor industry outlook 2026」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

半導体とその先へ

2026年の世界半導体業界の見通し

主要メンバー

内村 公彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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坂野 孔一

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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酒井 健一

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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吉本 晃

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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田 洪涛

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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