150社超への調査結果から見えた変革のステップ

自動車サプライヤー業界の展望

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  • 2026-04-27

はじめに

自動車業界は、電動化やソフトウェア化、環境規制強化といった「100年に一度の変革期」のまっただ中にあります。特に電動化は大きな転換点であり、従来型のガソリン車からHEV(ハイブリッド自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド自動車)を経て、いずれBEV(バッテリー式電気自動車)への移行が本格化すると見込まれています。これにより、自動車メーカー(OEM)とサプライヤーの力学や、求められるバリューチェーンの在り方も大きく変わると予想されます。また、米国の通商政策や地政学リスクの顕在化によって、グローバルな事業環境は不安定な状況が続いており、日系OEMのグローバル生産台数は2019年をピークに減少傾向にあります。このような難しい経営環境において、日本のサプライヤー各社は、従来の事業モデルを見直し、競争力の維持・強化に向けた対応を迫られています(図表1)。

図表1:自動車業界の課題変遷

本報告書は、日本の自動車サプライヤーを対象としたアンケート調査(回答社数:157社)および最新の業界動向に基づき、自動車サプライヤー業界*が直面する課題を分析し、今後取り組むべき施策を提言するものです。本調査では、短期(今後1~2年)、中期(今後3~5年)、長期(今後10~15年)の時間軸ごとにサプライヤー各社が重要と認識するテーマと実際の対応状況のギャップや、アライアンス(企業間協業)に対する認識・阻害要因を明らかにし、それらの課題解決に向けてサプライヤー各社が取るべき具体策を考察しています。また、ICE(内燃機関)、BEV、SDV(Software Defined Vehicle)の技術ドメインごとに、サプライヤー各社の戦略やアライアンスの在り方がどう異なるかにも着目しています。

* 本報告書における自動車サプライヤー業界とは、完成車メーカー(OEM)に対して、自動車を構成する各種部品・モジュール・システムを開発・製造・供給する企業や、車両および部品の設計・解析・試作などを通じて製品開発を支援するエンジニアリングサービス企業を含む産業を指します。

アンケート結果から読み解く重要課題と対応状況のギャップ

サプライヤー各社は、短期的課題から長期的課題まで幅広いテーマを重要視していますが、その対応状況には大きなギャップが見られました。例えば、短期課題では「技術革新対応の速さ」、中期課題では「労働力の質・量の確保」、長期課題では「革新的技術への投資」でそれぞれ最も大きい乖離が確認されました(図表2)。

図表2:課題認識と対応状況のギャップが特に大きい項目の結果

アライアンスの必要性と阻害要因

こうした課題に直面する中、アライアンスが重要な打ち手として注目されており、約80%の企業が「今後の課題対応にアライアンスが必要」と回答しました。しかし同時に、約76%の企業は現在の業界環境を「アライアンスが進みにくい」と感じており、本調査結果から、「M&A・協業を推進できる人材の不足」(43%)や「系列(ケイレツ)構造の壁」(32%)などが協業推進の阻害要因として浮き彫りになりました(図表3)。

図表3:解決策としてアライアンスを必要と認識も、行いやすい環境ではないと回答

今後取り組むべき施策(提言)

本報告書では、アンケート結果で顕在化した課題ギャップとアライアンスに関する業界の現状分析を基に、PwCアドバイザリー合同会社から3つの主要な施策とその他検討すべき事項を提言しています。アンケート結果で特定した主要課題(技術革新対応、人材確保、グローバル対応)と、それに対応するアライアンス戦略をひも付ける形で策定しています(図表4)。

図表4:PwCアドバイザリー合同会社からの提言

これらの取り組みにより、サプライヤー各社が単独では不足しがちな技術力や人材力を互いに補完し合い、単独では困難なイノベーション創出や事業規模拡大を実現することが期待されます。特に企業間でリスクや投資負担を分担し、ノウハウを相互に補完することで、スケールメリットを追求しながら変革期を乗り越える競争力強化につなげていくことが可能となるでしょう。

日本の自動車サプライヤーが持続的な成長を遂げるには、経営者と従業員が変革への意思を共有し、具体的な行動に移すことが不可欠です。AIや環境対応の加速、中国勢の台頭など、従来の延長線では競争力を維持できない時代に突入しています。

本報告書で提示した3つの提言は、変革を実行に移すための基本ステップです。自社に不足する知見やリソースは、アライアンスやM&Aを通じて補完することで、変化のスピードに対応することが可能です。

今こそ、従来の枠組みを超え、「モビリティ産業のソリューションプロバイダー」への進化を目指すべき時です。PwCアドバイザリー合同会社Autoセクターチームは、本報告書が皆様の変革の一助となり、業界全体の発展と企業価値向上につながることを願っています。

調査概要

調査実施時期:2025年10月22日~11月28日

回答社数:157社

調査方法:Web調査

調査対象の条件:

  • 日本国内の自動車サプライヤー
  • 売上高30億円以上

自動車サプライヤー業界の展望――150社超への調査結果から見えた変革のステップ

( PDF 2.19MB )

執筆者

東 輝彦

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

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村山 学

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

Email

丸橋 弘政

ディレクター, PwCアドバイザリー合同会社

Email

白兼 昌樹

ディレクター, PwCアドバイザリー合同会社

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吉澤 淳志

シニアマネージャー, PwCアドバイザリー合同会社

Email

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