行動経済学

人間のためのデザイン

顧客、従業員、一般市民、組織のリーダーは、しばしば、最適解から外れた行動をとることがあります。例えば、返済余力があるのに借金を返済しない顧客、時間短縮に役立つはずの新技術の活用に消極的な従業員、事業への悪影響が分かっているのに契約書に押印するリーダーなどです。このように、私たちが下す意思決定が往々にして最適解に逆行する傾向があるのは、タイミングや社会的要因などの影響を受ける直感に依存して選択を行うからです。

PwCの行動経済学チームは、顧客、従業員、一般市民、企業のそれぞれが、各組織の目標に沿って、より的確な意思決定を行えるようサポートしています。PwCのソリューションによって、個人は行動バイアスに捉われることなく選択の自由を維持でき、組織は売上げの向上、コストの低減が実現でき、双方をWin-Winに導きます。また、通常は、少し調整するだけで選択肢の提示方法を大きく変えることができるため、優れたスケーラビリティを有しています。私たちは、実証実験によりソリューションの影響を検証し、最も効果的な介入を迅速に、かつエビデンスに基づき展開します。

一連の再現可能な命題構築によるクライアントへの価値提供

各項目において複数の命題を設定しています。

PwCのアプローチ

PwCがクライアントと共同で行う取り組みについて

5つのステップを通じて、主要な顧客グループに影響を与える行動バイアスを診断し、介入ポイントを特定し、最も効果的かつ適切な規模で展開します。

ソリューションのデザインについて

PwCのアプローチには、社会科学や行動科学の全般にわたる知見が活用されています。意思決定と行動を理解するに当たり、(1)顧客、従業員または一般市民をアクターとして、このようなアクターの意思決定と行動に影響を及ぼす(2)経済的要因、(3)心理的要因、(4)社会的要因の4項目をファクターとして考慮しています。

ケーススタディ

顧客レスポンス率の向上

PwCは、クライアントが利用できるように、行動に焦点を当てたカスタマー・ジャーニー・マップをデザインしました。また、コミュニケーションレターのデザインを見直し、デフォルトの設定状態で顧客レスポンス率が4倍以上になりました。

日本への示唆

上記はPwC英国が作成した内容ですが、PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)としても、日本市場において行動経済学を活用する大きな可能性を認識しています。

日本人は一般的に調和を重視し、集団の中で協力や統一を求める傾向があります。また、規律を守ることにも高い価値を置いています。これらの文化的特性は、例えば行動経済学のソーシャルノーム(社会規範)の理論と非常に適合性があり効果的に活用できます。他者の行動を参照することで、集団の中で同様の行動を促進することが可能であり、これが健康や環境に対する社会的に望ましい行動を推進する際に役立ちます。

行動経済学では、幅広い領域で多数の理論を適用可能ですが、特に以下の3つの領域においてその効果を発揮できると考えます。

組織内変革とデジタルトランスフォーメーション

新しい技術やプロセスの導入に対する従業員の抵抗を和らげ、積極的な採用を促進するために、行動経済学に基づくエンゲージメント戦略の展開が効果的です。従業員が率先して新しい技術やプロセスを採用するように、行動経済学の理論に基づいたコミュニケーションや業務プロセスを組み込んだ仕掛けを設計します。

アプリケーションのUI/UXの向上

アプリケーションやデジタルサービスにおいて、UI/UXの質は顧客体験に直結します。直感的で効率的な操作を提供するために、既存の設計に行動経済学の理論をより意図的かつ戦略的に適用し、テストを通じて継続的な改善を図ります。これにより、ユーザーの選択を容易にし、ストレスを軽減するデザインを実現し、顧客のエンゲージメントと満足度の向上を目指します。

公共施策

行動経済学は、公共施策における応用が世界的に進んでおり、日本においても多くの実績が確認されています。行動経済学の知見を活用することで、公共施策の市民への影響を最大化し、政策目標の達成を促進できます。例えば、リサイクル率の向上や健康診断の受診率の増加を促すことで、社会全体の利益に寄与します。

行動経済学は昨今、広く注目されていますが、実際にその理論を有効に取り入れて戦略・業務に適用し、成果を上げている企業は限られています。これまでの経験や推測に頼ったアプローチではなく、科学的に証明された理論を適用し、実証テストを通じて施策として展開することで、企業と顧客、組織と従業員、政府と市民など、関係者全てがwin-winとなる結果を目指します。PwC Japanは、これらの課題に対処し、実現をサポートするパートナーとして、共に歩んでいきたいと考えています。

※本コンテンツは、PwC英国『Behavioural Economics』を翻訳したものにPwC日本独自の内容を追加したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

丸山 貴久

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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萩原 一樹

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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伊藤 賢

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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ハウザー マヤ

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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安藤 緑

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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清水 遼一

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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インサイト/ニュース

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マーケティングの成熟度を高めるための戦略とプロセス ~日本企業の経営層への調査から見えた実態と課題~

急速な技術進歩や顧客の期待の高まりに対し、企業は限られたマーケティング予算で対応しなければならない状況に直面しています。こうした状況のなか、 PwCは、国内企業のマーケティングの現状や課題を把握するべく、売上高500億円以上の国内企業の経営層280名を対象にCxO実態調査を実施しました。各社のマーケティング成熟度の違いなどを分析した結果、マーケティング基盤の現状だけでなく、取り組むべき課題や重視する指標も成熟度の違いによって大きく異なることが浮き彫りになりました。

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