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B2Bセールス領域において、生成AIやAIエージェントの活用が急速に広がっています。しかし、その導入度合いや効果実感には企業間で大きな差が存在します。
PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)は、日本企業のB2Bセールス領域における生成AI/AIエージェントの活用実態と今後の展望を明らかにするため、売上高500億円以上の日本企業に所属し、B2Bセールスに携わる部長職以上487名を対象にアンケート調査を実施しました。
本調査では、AI活用の成熟度に応じて企業を4つのセグメント(High/Middle/Low/Zero)に分類し、各段階における特徴的な傾向と課題を分析しています。本ページでは調査結果のサマリーと、そこから導かれる提言を紹介します。
※以下、文中の「AI」は、生成AIおよびAIエージェントを指します。
本調査対象企業の68%がすでにAIを導入しており、そのうち半数以上が生産性向上への効果を実感していることが分かりました。一方で、収益への貢献を実感している企業は29%にとどまっており、現時点ではAI活用の成果が主として業務効率化の領域で表れていることがうかがえます。
図表1:B2Bセールス業務におけるAIの活用度合い
AI導入済み企業は、AI活用の度合いに基づきHigh/Middle/Lowの3段階に分類。AIは未導入だが今後の導入意向のある企業はZeroに分類される。
AI活用の成功要因・阻害要因の双方で、「人材」が最も重要な要素として挙げられました。計画通りに推進できていない企業では、人材のスキル不足や育成体制の未整備に加え、有効なユースケースの確立に苦戦している状況がみられました。これは、かつて日本企業がDX推進で直面した課題とも重なっており、ツールを導入するだけでは変革は実現しないことを示しています。
一方、AI活用が進んでいる企業では、人材の確保・育成に加えて、セキュリティ・ガバナンス体制の整備や自社データの蓄積・活用基盤の構築が、計画を順調に進める要因として挙げられています。AI導入の成否は、単なるツール活用ではなく、組織・人材・データ・統制を含めた総合的な取り組みをどこまで進められるかにかかっています。
現時点では、多くの企業において、AIの役割は人の業務を支援する段階にとどまっています。その一方で、大半の企業は5年後を見据え、「各営業業務において、人とAIの協働型モデル以上へのシフト」を目指していることも明らかになりました。
さらに、先進的な企業では、AIが自律的に顧客応対を行う姿も想定されています。各社が目指す段階は現在のAI活用度に応じて差が見られるものの、AIを業務へ本格的に組み込むことに対する高い期待がうかがえます。
図表2:AI導入済企業におけるB2Bセールス各業務でのAI活用度合い:現在と5年後の比較
B2Bセールスの業務プロセス(顧客ターゲティング、アプローチ・初期接点、ヒアリング・課題抽出、提案設計・資料作成、クロージング・契約、フォローアップ・関係維持、人材育成)ごとに現在と5年後のAI活用度合いを比較すると、現在はいずれの業務でもAIは人の支援にとどまっていますが、5年後には全ての業務でAI活用割合が高まる見通しです。特に提案設計・資料作成では、協働型以上の割合が最も高くなっています。
本調査では、AI活用の成熟度に応じた4つのセグメント別に詳細な分析を行っています。
AIを主要業務で広く活用するHighセグメントでは、汎用AI(多目的に利用できる、チャット形式の対話型AIサービス)に加え、特定業務特化AIや自社開発AIも使い分けており、社員生産性だけでなく、売上高や収益を含む全指標で効果を実感しています。AIに対して自律的な顧客応対まで期待する一方、人に対してはAI出力結果に独自の付加価値を加えることや、AIを活用した新しい営業モデルの設計・改善を求めるなど、AIへの期待と人への期待の双方が高度化していました。
一方、Middle~Lowセグメントでは、AIの活用は汎用AIが中心であり、効果実感も生産性向上が主です。AI活用の段階によって、見えている景色が大きく異なることが明らかになりました。
調査結果を踏まえると、多くの企業にとって今後の課題は、足元の「生産性向上」にとどまるAI活用から、「AIとの協働型以上」を前提とした業務モデルへの転換をいかに実現するかにあります。
B2B営業においては、営業モデルそのものの再定義と変革、そしてその実行スピードが、次世代の競争力を左右する重要な要素と考えられます。
こうした点を踏まえると、現在Middleセグメント以下に属する企業にとっても、Highセグメントの要素を取り入れた変革を進めることは投資対効果の高い取り組みとなる可能性があります。Highセグメントの成功要因を踏まえ、AI活用を次のステージへ進めるための3つの提言を示します。
既存業務にAIを部分的に組み込むのではなく、AIを前提とした営業プロセス全体の再設計が求められます。営業プロセスの再設計は、AI活用の成熟度を問わず、多くの企業に共通する課題として認識されており、今まさに着手すべきテーマです。
AI活用が進んでいる企業では、効果実感が生産性向上やコスト削減にとどまらず、売上、顧客満足度、ブランド力の向上にまで広がっています。AI投資の効果を可視化する際には、業務効率化だけでなく、事業成果まで含めて評価する視点が重要です。こうした評価軸を持つことで、経営層のコミットメントを持続的に引き出しやすくなります。その一方で、経営側は、ROIを重視しつつも、AI活用が先進的な取り組みであることを踏まえ、各施策を迅速に推進できる意思決定体制を構築することが求められます。
AI推進における最大のボトルネックは人材であるという調査結果からも、AI活用を個人の努力や現場任せにするのではなく、AIを業務に取り入れやすい仕組みを組織として構築することが不可欠です。CoE体制の構築などが一案となります。
また、AI導入の影響は広範囲に及ぶため、今後求められる人材ポートフォリオを見据え、必要なスキルの再定義と配置の見直しを進めることも重要です。この人材ポートフォリオは、営業担当者だけでなく、AIの構築・運用や業務活用を担う人材、さらにセキュリティやガバナンスを担う人材も含めて検討する必要があります。AI導入の成否は、こうした多面的な役割を含む総合的な体制づくりに左右されます。
ヒトとAI、それぞれの強みを活かしつつ、両者の協働によって顧客に最適な体験を提供するという考え方が今後主流になると想定されます。まずは、営業の業務プロセスごとに人とAIの役割を明確化することが第一歩となります。
図表3:営業活動におけるヒトとAIの分担例
将来を見据えた青写真は描きつつ、小さく始めて成果を刈り取りながら、段階的に持続可能な仕掛けに変革していくアプローチが得策と考えられます。
図表4:3ステップのアプローチ
PwCコンサルティングでは、営業領域におけるAI活用について、多様なサービスを展開しています。
図表5:PwCコンサルティングの支援サービス
項目 |
内容 |
調査方法 |
オンラインアンケート調査 |
調査期間 |
2025年11月20日~25日 |
調査対象 |
売上高500億円以上の日本企業に所属し、B2Bセールスに携わる部長職以上 |
回答者数 |
487名 |
AIの定義 |
生成AIおよび生成AIエージェントを含む |
※小数点以下は四捨五入しているため、合計が100にならない場合があります。
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