【開催報告】

日本に自動運転車はいつ来るのか?~自動運転技術の今と未来~

  • 2026-02-06

PwCコンサルティング合同会社は2025年11月2日、東京ビッグサイトで開催されたJapan Mobility Show 2025にて、自動運転をテーマとするパネルディスカッションを行いました。

自動運転技術は日進月歩で進化しており、米国や中国では、すでに無人配車サービスが一般利用されるなど、商業化レベルでのサービス実装が着実に広がっています。

パネルディスカッションでは自動車ジャーナリストの清水 和夫氏、車好きで知られるお笑い芸人であるチョコレートプラネットの長田 庄平氏とシソンヌの長谷川 忍氏をゲストに招き、自動運転の「今と未来」をテーマにPwCコンサルティング合同会社 スマートモビリティ総合研究所所長の矢澤 嘉治と、グローバルイニシアチブリーダーの藤田 裕二とともに話を展開しました。その概要を紹介します。

登壇者

国際自動車ジャーナリスト
神奈川工科大学 特命教授
清水 和夫氏

お笑い芸人/チョコレートプラネット
長田 庄平氏

お笑い芸人/シソンヌ
長谷川 忍氏

PwCコンサルティング合同会社 パートナー
スマートモビリティ総合研究所 所長
矢澤 嘉治

PwCコンサルティング合同会社 ディレクター
スマートモビリティ総合研究所 グローバルイニシアチブリーダー
藤田 裕二

自動運転の今

ディスカッションの序盤では、スマートモビリティ総合研究所の所長である矢澤の進行のもと、ジャーナリストの清水氏とスマートモビリティ総合研究所のグローバルイニシアチブリーダーの藤田が中心となって、自動運転の現状について説明しました。

まず、建機や農機といった重機車両や、バスやタクシーといった公共交通は、走行エリアやルートが限定されていることもあり、すでに自動化が進んでいます。

図表1:自動運転の概況―自動運転技術の現在地・動向

特に、採掘現場や農業において、重機車両は私有地で使われることが多く道路交通法の制限を受けない点や、走行ルートやシーンが限定されていることが自動化が進んでいる理由です。今後も危険が伴う場所や手間がかかる作業などを中心に自動運転が普及し、既存業務の効率化や省人化が進んでいくことが想定されます。

公共交通の領域で先行しているのは米国と中国で、例えば米国では配車アプリを通じて無人タクシーが配車され、補助員の同乗なしで目的地まで運行するなど、完全自動運転のサービスが、公共交通として実装・拡大している状況です。

図表2:自動運転の概況―日本の立ち位置

普及に向けた次の課題

個人が所有するオーナーカー(自家用車)の領域でも、徐々に自動運転化が進みつつありますが、清水氏によると、完全な自動運転化に向けて解決しなければならない課題の一つとして、「事故への対応」があると言います。

現在の自家用車の自動運転レベルは主にレベル2(高度運転支援機能)であり、これはシステムがアクセル、ブレーキ、ハンドルの操作を部分的に行い、ドライバーは手や足を離して乗ることができます。

ただし、日本では、運転操作の主体はドライバーで、事故を起こした場合にはケガ人の救護や、警察に報告する義務(道路交通法第72条)があります。

一方、米国などで走っている無人タクシーはレベル4(高度運転自動化)で、これらの車両は遠隔監視によって事故の状況把握、報告、ケガ人の救護要請ができるといった、一連の仕組みが構築されています。

自家用車としてのレベル4を実現するためには、技術開発の観点のみならず、事故対応時の仕組みについても検討していく必要があります。

利用シーンの拡大

自動運転の現状を踏まえて、ディスカッションのテーマは未来と変化へと移りました。

チョコレートプラネットの長田氏は、自動運転車の利用シーンとしてテレビ局、劇場、空港などへの移動がラクになるのが楽しみと述べ、日常的な利用シーンでの利便性向上についてコメントしました。シソンヌの長谷川氏は地方に住んでいる両親について、母親が車いすで父親はすでに運転免許証を返納している状況であると語り、移動の足としての車両は非常に重要である中、タクシーやバスといった交通手段の確保も困難になっており、そういった環境でこそ自動運転車両が重宝される、と移動困難者などの社会課題の解決について期待を寄せました。

また、自動運転が普及した社会での運転免許証の変化にも話が及びました。

既存の運転免許証は、運転するための知識とスキルが備わっていることを証明しますが、レベル3以上の自動運転車両が普及すると、運転スキルの部分は車に任せられるようになります。清水氏は、変化に合わせて運転免許証の取得要件も変わり、交通ルールや救護義務などを学ぶだけになるかもしれないといった予想をしました。

車の役割が二極化する

自動運転の普及による大きな変化の1つは、交通事故が大幅に減ることです。車両に搭載されるセンサーの高度化に伴って危険回避能力が高まり、これまで人間の認知能力では回避することが出来なかったシーンも、自動運転によって防ぐことができると想定されます。

さらに、交通の効率化によって渋滞が減ることも想定されます。これは快適に走行する上で重要な変化ですが、一方で、自動運転車両は道路交通法に基づいた設計となるため、制限速度以内で走行する自動運転車両に対して遅いとストレスを感じるドライバーが現れることが予想できます。藤田は、事故防止とストレスのない運転環境の両立を目指して、自動運転車両と人間ドライバーが共生できる仕組みづくりが必要であると指摘しました。

自動運転が普及すると、運転しない人や運転免許証を返納した人が車に乗る機会が増える一方で、車の運転は趣味としての楽しみになっていく可能性があります。清水氏は日本の自動車メーカーは、自動と手動を問わず、人が乗って楽しく感じられるものでなければならないという前提に立っていると、日本の自動車メーカーのスタンスについて説明しました。また、藤田は「移動手段として車に乗る人たちと、楽しみとして乗る人たちの二極化が進むと思います。自動運転車が普及しても、運転そのものを楽しむスポーツカーなどの領域は必ず残る」と話しました。

自動車産業以外への影響

自動運転の普及による影響は、コアとなる自動車産業だけでなく、IT、物流、保険といった関連産業にも波及すると想定されます。例えば、自動運転車と人間ドライバーの事故発生率を比較した調査や推計によると、自動運転化が進むことによって、物損事故や人身事故が7割から9割程度減少すると言われています。そのため、自動運転の普及に伴い、保険の仕組み自体の見直しなども進んでいくと考えられます。

また、物流も大きく変化することが想定されます。近年の物流業界においては、トラックドライバーの担い手不足の解消や物流効率化が叫ばれており、特に物流拠点間を結ぶ幹線輸送においては、自動運転トラックを活用した幹線輸送サービスの自動化による物流の効率向上に向けた社会実装が推進されるなど、自動運転による物流課題解決に期待が寄せられています。

清水氏と藤田は、自動運転トラックの活用を前提とした、次世代の物流システムはすぐそこまで来ているといった見解を示しました。

日本のモビリティ産業の勝ち筋

ディスカッションのまとめとして、藤田は自動運転の社会実装は、まだ第一ラウンドであり、日本の自動車メーカーが米国や中国を巻き返し、世界をリードする立場へと成長するチャンスが十分あると話しました。

例えば、IT企業やAIにはできないハードウェアのものづくり領域において、日本はまだまだ国際的な競争力を有しており、今後は自動運転技術を活用したさまざまなビジネスが生まれると見込まれています。

そのような未来を見据えつつ、清水氏は「日本企業は各社ともに高い技術を有しているが、個別最適化されていて『単品バラ売り』になっているのが現状」と指摘し、産官学をまたぐ技術連携、そのためのマインドの醸成、モビリティ産業全体のルール形成が求められていると話しました。また、技術や強みのインテグレーション、グローバルで戦っていくための制度設計などを進めていく上で、全体を俯瞰し戦略を立案することが出来るPwCコンサルティングの支援に期待しているといった見解を示しました。

PwCコンサルティングは、自動運転に特化した支援を10年以上実施して行っており、自動運転専門のチームとして、自動車メーカー出身のメンバーや最先端のテクノロジーに詳しい専門家を結集し、国内外で複数の自動運転のプロジェクトを支援しています。また、2025年にはスマートモビリティ総合研究所を新設し、産業内外の人たちが集い、情報と知見を交換するハブ機能を提供しています。

このようなケイパビリティを通じて、PwCコンサルティングは日本のモビリティ産業の発展に貢献していきます。

主要メンバー

矢澤 嘉治

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

Email

藤田 裕二

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

Email

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