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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急激な拡大に伴い、1月8日に2度目の緊急事態宣言が発出されました。第3波とも呼ばれる今回は感染者数が飛躍的に増加し、高齢者への感染増と同時に重症者数が増大、医療体制は逼迫した状態にあるといわれています。医療を受けられることが当然だという考えを改め、自分の健康は自分で守るという発想へと切り替えることが、私たち一人ひとりに求められているように思います。
2020年はCOVID-19の流行により、これまで当然と考えられてきたことが覆されるという、大きな変革の年となりました 。感染者数の増加、医療体制の逼迫により、医療機関への訪問を自粛せざるを得ず、医療機関を顧客にもつ企業のみならず、すべからく新たな営業のあり方を検討されたのではないかと思います。治療薬やワクチンの早期開発への期待が高まる中で臨床開発の優先順位を見直すことや、国内外の移動が制限される状況において平時と変わらぬ物流体制を維持することに奔走された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1度目の緊急事態宣言下にあった昨年4月から5月にかけて、院内感染を避けたい医療機関と受診機会を減らしたい患者の思惑が一致するかたちで、予定手術の延期、長期処方、受診抑制といった傾向がみられました。結果、医療を受ける必要があるにも関わらず治療を受けない患者がいるのではないかとの懸念が生じ、COVID-19流行期間中のみという条件付きで、初診からのオンライン診療が認められることになりました。
時限措置とはいえオンライン診療が解禁されたことを受け、オンライン診療に関連する新しいビジネスを始める企業が続々と誕生しました。特に、オンライン診療と同様に解禁されたオンライン服薬指導に関しては、改正薬事法の施行も相まって大手調剤薬局チェーンの多くがシステムの導入を決定しており、医薬品を患者の手元に届けるまでの流通形態の見直しも始まっています。
COVID-19の流行は、感染者や死亡者、医療従事者や医療機関の疲弊、経済の停滞など多くの災いを招きましたが、流行が長期に及んだ結果、それまで当然のように行われてきた営業スタイル、診療のあり方などを大きく変えることになりました。
とはいえ、製薬企業におけるリモートでの情報提供や、ICT機器を利用した診療や服薬指導などについては、かねてより促進すべきとの声もありました。そういう意味では、COVID-19の長期にわたる流行は、これまで解決を見送ってきた課題と真剣に向き合い、新しいステージに移行する機会をもたらしたともいえます。
2021年は、新しいステージへの第1歩を実際に踏み出す1年になると思います。
3月にはオンラインでの資格確認がスタートします。医療機関はオンライン上で患者が加入している公的保険の種類を調べることができるようになり、オンラインによる診療や服薬指導を実践しやすい環境が一層整います。
またPHR(Personal Health Record)推進の一環として、マイナポータルにおいて3月から特定健診のデータ、10月からは薬剤に関するデータを個々人が見ることができるようになります。これらのデータの有効活用を促す新たなビジネスが生まれることでしょう。
2020年に治療用アプリが保険適用され、また複数の製薬企業が開発を進めていることから、治療用アプリについて、公的保険の中でどのように評価すべきかとの議論が活発化することも予想されます。
概してデジタル化の加速が想定されますが、サイバー攻撃やデータの流出、またコロナ禍だからこそ感じられた人と人とのコミュニケーションの大切さなどを考慮に入れると、デジタル一辺倒ではなく、必要に応じアナログを組み込むといったハイブリッド型が新たな形態として重宝され、それはすなわち柔軟性がより重要な視点として望まれるのではないでしょうか。
米国や英国などでは、COVID-19のワクチン接種が始まりました。感染症の流行は、必ず終焉を迎えるものです。次のステージに向けてデジタル化の波に遅れることなく助走を始め、人と分かち合えるエネルギーを糧に大きく飛躍する、2021年はそのような1年にしたいと思います。(2021年1月配信)