【国内再⽣可能エネルギーの事業環境】―国内インフラ‧再⽣可能エネルギー事業のバリューアップとリストラクチャリングの必要性―

  • 2025-12-26

国内再エネ事業を取り巻く環境と課題

近年、国内の再生可能エネルギー(再エネ)事業を取り巻く環境は大きく変化しています。固定価格買取(FIT)からフィード・イン・プレミアム(FIP)制度への移行により価格変動リスクが顕在化して、事業の収益安定性が課題と見なされるようになりました。また、原材料費の高騰や金利上昇によって資機材調達費用や建設工事費用の先行きが不透明となって資金調達が難航するなど、事業環境は急速に厳しさを増しています。

事業環境と課題の整理(現状分析)

加えて個別の課題も存在します。バイオマス発電においては、技術的未成熟・円安やウッドショックに起因した燃料調達困難、保険料高騰によるコスト増、事故・紛争の多発などから操業停止や事業譲渡が相次ぎ、事業継続や収益性の確保が大きな課題として浮き彫りになっています(図表1~図表3)。洋上風力では、許認可の遅れや系統接続の制約が事業化の障壁となっており、太陽光発電ではメガソーラーの飽和による適地減少により、大規模型から分散型モデルへの転換が求められています。

こうした電源種別ごとの事業運営の難しさに加え、再エネ市場の急成長に伴い、多様な投資基準や事業方針を持つ新規参入プレーヤーが増加し、ステークホルダー間における、事業運営のスタンスや商慣習上の差異に基づくさまざまなコミュニケーションロスや不協和音などが聞こえてきます。

図表1:バイオマス燃料に起因する火災事故件数

出典元:第21回 電気設備自然災害等対策ワーキンググループ「資料2-1 バイオマス発電所における爆発・火災事故及びその対応について(事務局資料)」を基にPwC作成

図表2:バイオマス発電所の年度別運開容量と累計

出典元:資源エネルギー庁HP「再生可能エネルギー電子申請 事業計画認定情報 公表用ウェブサイト 2025年8月31日時点」のデータを基にPwC作成

図表3:バイオマス発電事業のリスク

バイオマス発電所の操業停止・事業譲渡事例

  • ウッドショックなどの影響を受け、官民共同スキームの解消、操業を停止。事業譲渡
  • 各種物価高により操業を停止。事業譲渡
  • 石炭とのバイオマス混焼から専焼化後、FIP転するも老朽化を原因に操業停止
  • 燃料供給者の民事再生に伴い、業績が低迷。別会社グループに事業承継

結果として、市場からの退出を余儀なくされるケースが如実に増加しています。帝国データバンクの集計によれば、2024年度の「発電所」の倒産および休廃業・解散は52件と過去最多、そのうち倒産は8件と前年度から倍増しました。要因として、維持管理コストや燃料費の高騰、FIT価格の引き下げなどによる採算悪化が目立っています(図表4)。

図表4:発電所の倒産・休廃業解散動向と事業内容

差込

(出典:帝国データバンク、「20250506_「発電所」の倒産動向(2024年度)」より)

リストラクチャリングの必要性

前述のような厳しい環境下において、各事業運営者では安定的な事業継続や業況改善のため、収益性や運営体制の強化や抜本的な見直しがますます求められています。加えて2032年からFITに基づく売電期間が終了する太陽光や風力発電が相次ぐ見込みで、継続的な事業運営のためにはより一層の事業性の見極めやリスク管理の強化も改めて求められます。再エネ事業が傾き、事業停止や倒産・解散に至る場合、事業運営者の全社業績や、雇用維持への負の影響のみならず、発電所周辺施設に設置された設備がそのまま放置されることで景観悪化や土壌・水質への影響など環境問題を引き起こすといった影響も甚大であり、企業の社会的な責任が大きく問われます。こうした最悪の事態を防ぐためには、早期に事業継続のための立て直しに着手することが重要です。これにより、放置設備の撤去や環境修復にかかる社会的コストの懸念を大幅に低減できます。

こうした課題解決やそもそものキャッシュフロー改善余地検討のため、また対金融機関交渉やステークホルダー間の合意形成のために、事業者の方や金融機関等シンジケーションレンダー側から第三者的なアドバイザーを採用するニーズが強まっており、当社も多くの引き合いをいただいています。

対応の方向性

  • 発電所の運転・FIP転など収支改善策の検討
  • コスト低減・トップライン向上のための運転実態分析
  • オペレーション改善施策の立案・実行
  • 株主支援策や新規資本導入の検討
  • ファイナンス施策(支払繰延・返済方法変更・ストラクチャー変更を含む新規資金調達など)の提案

リストラ交渉は、新規組成時に比べてかなり厳しい交渉となります。また、シンジケーションエージェントとレンダーの立場は厳密には利益相反が発生します。取引先でもある事業者(債務者)やスポンサーとの関係性を毀損せず良好に保つための交渉代理人として・利益相反を解消しシンジケーションレンダー間の適正な意見形成プロセスの実現のため、第三者の存在がますます必要となってきています。

事業再生・リストラクチャリングでお困りの際はPwCへ

インフラ・再エネ事業のバリューアップやエグジット、新規スポンサーの発掘・リストラクチャリングに関するご相談の際は、ぜひお問い合わせください。

豊富な経験と専門知見を生かし、企業の事業価値最大化・安定的な事業運営を力強くサポートします。

執筆者

齋藤 良司

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

Email

余谷 有紀枝

ディレクター, PwCアドバイザリー合同会社

Email

坂上 毅

シニアマネージャー, PwCアドバイザリー合同会社

Email

{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}

{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}

本ページに関するお問い合わせ