移転価格裁判事例を読み解く一残余利益分割法を用いた課税事案一

東京地方裁判所は、2020年(令和2年)2月28日、めっき薬品(めっき用化学品)の製造及び販売等を行う会社(原告)が、台湾子会社との国外関連取引について支払いを受けた対価の額が独立企業間価格に満たないとして東税務署長(大阪市)(被告)から受けた更正処分等について争った事件について、原告の請求を棄却しました(平成27年(行ウ)第535号:法人税更正処分等取消請求事件)[1]

東京地裁は、原告とその台湾子会社との間のライセンス取引と棚卸資産販売取引について、残余利益分割法及び残余利益分割法と同等の方法を用いてその独立企業間価格を算定することは、当該国外関連取引の独立企業間価格を算定するための合理的な方法であると認められる上、残余利益分割法及び残余利益分割法と同等の方法以外の当該国外関連取引の独立企業間価格を算定するために用いるべき適切な方法が存する具体的な蓋然性があることをうかがわせる事情等も見当たらず、かつ、被告が用いた残余利益分割法及び残余利益分割法と同等の方法による当該国外関連取引の独立企業間価格の算定の過程も適正なものであったから、被告が用いた残余利益分割法及び残余利益分割法と同等の方法による当該国外関連取引の独立企業間価格の算定は、適法であると判断しました。

本件は、無形資産に係る国外関連取引の移転価格算定方法について争われた事件であり、その判決の内容が、企業の移転価格対応への示唆に富む内容であることから、本ニュースレターで紹介します。

[1] :東京地判令和2年2月28日税資第270号順号13386  (注:平成12年3月期から平成16年3月期を対象とする同一の原告の事件について、東京地裁による平成29年11月24日の判決、東京高裁による令和元年7月9日の判決がありますが、本ニュースレターでは、平成19年3月期から平成24年3月期を対象とする東京地裁による令和2年2月28日の判決を取り上げています)。

  1. 本件の概要
  2. 争点
  3. 争点1-1について(基本三法又は基本三法と同等の方法を用いることの可否)
  4. 争点1-2について(残余利益分割法及び残余利益分割法と同等の方法を用いることの可否)
  5. 争点2について(残余利益分割法及び残余利益分割法と同等の方法の相当性)

(全文はPDFをご参照ください。)

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