税務判例検討:資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当(東京高判令和元年5月29日)

2020-02-27

PwC Legal Japan News
2020年2月27日

東京高裁は、2019年(平成31年)5月29日、内国法人が外国の子会社から受領した剰余金の配当(資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当)に係る法人税法上の取扱いを争点とした事案(以下「本件」といいます)につき、納税者勝訴の判断を下しました(以下「本件判決」といいます)。

本件は、東京地裁平成29年12月6日判決(以下「原判決」といいます)の控訴審であり、原判決も納税者勝訴の判決を下していました(原判決は、みなし配当の金額の計算を定める法人税法施行令(以下「法令」といいます)23条1項3号(現行の法人税法施行令(以下「現行法令」といいます)23条1項4号)の規定は、利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれることとなる場合は、そのような計算結果となる限りにおいて法人税法(以下「法」といいます)24条1項3号(現行の法人税法(以下「現行法」といいます)の24条1項4号)の委任の範囲を逸脱した違法ものとして無効であるとして、結論として更正処分を取り消す旨の判断を下していました。この点につき、2018年10月に当法人が発行したニュースレターをご参照ください)。

本件判決は、法24条1項3号の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・)」の意義につき、原判決とは異なる解釈(原則として、「資本剰余金の額の減少によって行う剰余金の配当・・・」をいう)を示した上で、「剰余金の配当」が同号の対象となるかどうかは、株主総会等の私法上の決議によって行われた個々の配当ごとに、その原資に応じて判断されるものとするとして、課税当局による更正処分を取り消す旨の判決を下しました。なお、付加的に、原判決において判断が示された、法令23条1項3号の規定が法24条1項3号の委任の範囲を逸脱した違法なものかという点についても判断を示しています。これらの判断は、今後の配当等の実務にも影響を与え得るものとして注目に値するため、本稿では、本件判決の紹介と若干の検討を行います。

  1. 事案の概要
  2. 東京高裁の判断
  3. 検討
  4. 最後に

(全文はPDFをご参照ください。)

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