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2024-06-21
【執筆者】
PwC税理士法人 国際税務サービスグループ(移転価格)
パートナー 舩谷 晃一
ディレクター 城地 徳政
2024年2月19日、経済協力開発機構(OECD)は、第1の柱/利益Bに関する報告書(以下「最終報告書」)を公表しました。第1の柱/利益Bについては、特にキャパシティの低い国々(Low-capacity jurisdictions)のニーズに焦点を当てつつ、基礎的なマーケティング・販売活動(Baseline marketing and distribution activities)について独立企業間原則(Arm's Length Principle:以下「ALP」)の簡素化・合理化されたアプローチを提供するものとして、包摂的枠組み(Inclusive Framework:以下「IF」)において議論が進められてきました。最終報告書は、IFのコンセンサスを反映したものとして公表され、各国が、自国居住者である対象適格取引を行っている販売会社に対して、利益Bの適用を選択できるオプションの枠組みとして位置付けられています。
各国は、2025年1月1日以降に開始する事業年度から、自国居住者である販売会社に係る対象適格取引に対して、簡素化・合理化アプローチの導入を選択できます。利益Bが各国の適用選択として位置付けられたため、各国においてどの程度導入が広がるかは不明ですが、利益Bは、利益A(市場国への新たな課税権の配分)とは異なり収益基準等の閾値はなく、各国の動向によっては、当該アプローチの導入国にグループ販売会社を有する多国籍企業においては、かえって移転価格対応が複雑化する可能性があります。
本シリーズでは、デジタル経済課税/第1の柱に係る議論の動向として、第1の柱/利益B(移転価格に係る簡素化・合理化アプローチ)最終報告書、及び利益Aを実施するための多国間条約(MLC)の概要について解説します。
今回の第1回目においては、以下で第1の柱/利益B(簡素化・合理化アプローチ)の目的及び議論の経緯とともに、簡素化・合理化アプローチの枠組み及び適用に係る考慮、簡素化・合理化アプローチの対象取引、簡素化・合理化アプローチによる利益率の決定、文書化、税の安定性及び二重課税の排除に係る各論点について、最終報告書の内容を概説します。
(全文はPDFをご参照ください。)
※本稿は、「月刊国際税務」2024年5月号に掲載された記事を転載したものです。
※本記事は、株式会社税務研究会の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
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