租税回避防止指令(ATAD)の評価に係る意見を募集(EU)

2024-11-26

2024年7月31日、欧州委員会(EC)は、EUの租税回避防止指令(ATAD)に係る意見募集を開始した(2024年9月11日まで)。ATADは、EU域内市場の機能に直接影響を及ぼす最も一般的な形態のアグレッシブなタックスプランニングおよび租税回避行為に対処するためのミニマムスタンダードを定めている。本指令のArticle 10に基づき、ECは、ATADの実施を評価し、その後理事会に報告する必要がある(2025年第3四半期に、ECで採択予定)。ATADには、利子制限規定、出国税、被支配外国法人(CFC)規定、ハイブリッドミスマッチ規定、および一般的な濫用防止規定(GAAR)の5つの分野における措置を定めている(本指令のArticle 10では、特にArticle 4(利子制限規定)の影響を評価し、理事会に報告することを規定している(本報告には立法提案を伴う可能性がある))。なお、ECは、2020年8月に欧州議会および理事会向けの中間報告書(COM(2020)383 final)を作成している(リバースハイブリッドミスマッチ規定は、その移行日が2022年1月1日であったため考慮されていない)。今回の評価について、関連措置の最初の実施日である2020年1月1日から、評価の完了日までの期間をカバーすることになる。評価は、加盟国におけるATADの実施と選択措置の適用状況やその有効性に係る定性的および定量的評価、およびATADによる付加価値を検討するとともに、将来的な影響、特に2022年12月14日の理事会指令(EU 2022/2523)によるグローバルミニマムレベル課税の導入を考慮した場合の目的への適合性と継続的な関連性を考慮する必要があるとしている。評価基準は、有効性、効率性、関連性、一貫性、EUの付加価値、の5つである。効率性に関しては、関係する利害関係者、特に税務当局と影響を受ける企業の事務負担についても検討される。

出典:European Commission website
「月刊 国際税務」2024年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

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