IFRSを開示で読み解く(第24回)IFRS適用初年度の連結計算書類に適用する基準

2016-08-10

PwCあらた有限責任監査法人
財務報告アドバイザリー部
吉田 さえ子

今回は、企業が会社法連結計算書類にIFRSを適用しているのか、あるいは従前の日本基準ないし米国基準を適用しているのか、事例分析を行います。

会計監査人設置会社は、各事業年度に係る連結計算書類を作成することができるとされており(会社法444条の1)、任意の連結財務諸表作成が認められています。また、有価証券報告書を提出する大会社は、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならないとされています。(会社法444条の3) 

国際会計基準または米国基準によって連結財務諸表を作成している企業は、連結計算書類も同じ基準によって作成することができます(会社計算規則第120条第1項)。また、2016年1月8日法務省より「会社法施行規則および会社計算規則の一部を改正する省令」が公布されました。これは、その前年に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)を踏まえ、会社計算規則についての改正を行うもので、これにより、2016年3月31日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務書類から、国際会計基準(IFRS)および米国会計基準に加え、修正国際基準に従って作成することが認められるようになりました。

それでは、IFRS適用初年度において、IFRSによる連結計算書類を作成している企業の割合を、2016年3月期以降とそれより前に分けて、分析します。
まず、2016年3月期より前にIFRSを適用している企業のうち、どのくらいの企業が会社法における連結計算書類にIFRSを適用しているのかを見ていきます。

2016年3月期より前にIFRSを適用している企業の連結計算書類に適用された会計基準

 

IFRS適用企業数

会計基準

四半期から適用

年度から適用

合計

IFRS

18

18

36

日本基準

0

18

18

米国基準

0

8

8

合計

18

44

62

この期間においては、IFRSの適用を年度から行う企業が44社と多数を占めています。その中でIFRSにより連結計算書類を開示しているのは18社と、半分以下となっています。
また、IFRSを四半期から適用している企業は18社で、その全てがIFRSでの連結計算書類の開示を行っています。

総合的にみると、62社中、IFRSで連結計算書類を作成している企業は36社であり、半数近くが、これまで適用していた日本基準ないし米国基準で開示を行っていることがわかります。

それでは、2016年3月期以降にIFRSを適用(予定も含む)している企業のうち、どのくらいの企業が、会社法における連結計算書類においてIFRSを適用しているのか(予定を含む)を見ていきます。

2016年3月期以降にIFRSを適用している(予定も含む)企業の連結計算書類に適用された会計基準

 

適用企業数

会計基準

四半期から適用

年度から適用

合計

IFRS

25

12

37

日本基準

0

7

7

米国基準

0

1

1

言及なし

4

3

7

合計

29

23

52

この期間においては、IFRS開示を四半期から行っている企業は29社と半数以上あり、開示会計基準について言及していない企業4社を除くと、25社全社がIFRSでの開示を行っています(行う予定としています)。
年度から開示を行っている企業は23社(予定も含む)であり、そのうち12社がIFRSでの連結計算書類の開示を行っています。
総合的にみると、52社中、IFRSによる連結計算書類の開示を行っている企業は37社であり、70%以上を占めるようになっています。

予定を含めると四半期からのIFRSを適用する企業が増加してきており、またIFRSで連結計算書類を開示する企業も増加してきています。
開示基準の適用には、法律の制定や、IFRSを適用する企業の開示の考え方、準備状況などが影響すると考えられます。このため、今後の基準をとりまく状況や、IFRS適用企業の状況により、どの基準を適用するかは、また変わっていくものと思われます。

以上

※法人名、部署、内容などは掲載当時のものです。

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