
第11回◆PwCコンサルティングとMobiveil, Inc.、双方の強みを生かすパートナーシップで戦略策定から実装まで網羅 半導体業界の新たな成長を支援
半導体事業の課題と両社のコラボレーションが目指す価値創造について、PwCコンサルティング パートナーの内村公彦と、GlobalLogicグループMobiveil Inc.社CEOのRavi Thummarukudy氏に話を聞きました。
5Gが英国と世界の経済に及ぼす影響に関する私たちのレポート(Powering Your Tomorrow)を読めば、とても大きな数字が並んでいることに真っ先に気づくことでしょう。例えば5G技術を採用することで、世界のGDPは2030年までに1兆3,000億米ドル(1兆600億ポンド)押し上げられ、このうち約430億ポンドは英国で生み出されます。
この押し上げ効果は、経済のさまざまな分野で実感されるでしょう。私たちは5Gの活用によりもたらされる経済効果について、5つの主要産業セクター(ヘルスケア・公的介護、ユーティリティ、消費者市場、メディア、金融サービス)において定量化を行ったところ、その全てにおいて大幅なGDP増加が見込まれています。特にヘルスケア・公的介護への効果が最も大きく、2030年までに150億ポンドの増加が予想されます。
Rolf Meakin、グローバル・コミュニケーションズ・コンサルティング・リーダー、PwC英国
経済に関する大きな数字は、それだけで私たちに多くのことを教えてくれるわけではありません。これらの数字を実世界の文脈に沿って読み解くには、「だから何なのか」という問いに答える必要があります。そして英国における5Gの活用に関しては、3つの重要なポイントに帰結すると考えられます。
第1に、5Gが英国経済を活性化させる効果は、さまざまな用途を通じて生産性を高め、新たなユーザーエクスペリエンスを作り出すことでもたらされます。ただし、この効果は比較的ゆっくりと現れます。ネットワークの本格運用とユースケースの開発・採用の間にはタイムラグがあるため、この効果が鮮明になるのは2020年代後半になってからでしょう。
第2に、5Gは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが引き起こした(そして引き起こし続けている)大打撃から経済を復活させるうえで、非常に重要な役割を担うことでしょう。経済の回復への道のりは長くなると思われ、2025~2030年においても再建の取り組みは続いていると思われます。英国の政策決定者らは、ネットワーク投資や5G対応のイノベーションを奨励する政策(都市部だけでなく地方を含む)を通じて、5Gのポテンシャルの最大化を目指さなければなりません。ビジネス界による支援と関与も重要です。
5Gが生産性に対して、そして新たな消費者体験や従業員体験、市民体験に対してもたらすプラスの効果は、5Gが人工知能(AI)、仮想現実と拡張現実(VR/AR)、ロボット工学、エッジコンピューティングの4つの新興テクノロジーが連動することでより大きなものとなります。すなわち5Gは、信頼性と柔軟性が最も高い超高速のリンクであり、これら全てのテクノロジーを結び付けることで魔法のような効果を引き出せるのです。
その意味合いは何でしょうか。アフターコロナの経済再生という観点で言えば、政府は高速道路網の拡充や新たな滑走路の建設といった投資を控えるべきです。むしろ、5Gとその他4つの新興テクノロジーを組み合わせたクラスターを通じて、国全体での景気刺激をあらゆる地方に平等に分配することを可能にする態勢の整備を検討すべきです。
これはつまり、まずはこれらのテクノロジーを活用して変容し得る、公共部門と民間部門の雇用主に対して集中的に5Gインフラの導入すべきであることを示唆しています。そうすれば、経済の回復に貢献する、革新的な企業を呼び込むことができます。よりスマートな病院、都市、工場および物流から、遠隔地の最前線労働者や専門家に至るまで、各地方や国全体の生産性を高めるチャンスは無数にあり、英国はこれを逃すべきではありません。パンデミックの経済的悪影響から回復する中、英国はこの巻き返しの機会を、一瞬でも逃してはいけません。
3番目の「だから何なのか」は、持続可能性目標の達成に5Gが貢献するということです。レベリングアップと並ぶ政府の主要方針は、温室効果ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)に向けて取り組むことです。英国政府は2020年12月、2030年までに温室効果ガスの排出を(1990年の水準と比較して)68%削減するとの中間目標を新たに設定しました。これは、2050年までのネットゼロ実現に向けた足掛かりとなるものです。5Gは、エネルギー効率の高い通信技術を提供し、柔軟な働き方や効率的な経済活動を可能にすることで、この目標の達成に一役買うことができます。
この柔軟性の分かりやすい一例が在宅勤務です。ただし、これは始まりに過ぎません。あるエンジニアは、5G接続のメガネを使って拡張現実の情報にアクセスすることで、オフサイトからメンテナンス作業を行えます。またある医師は5Gを利用することで患者のバイタルサインをどこからでも確認できるため、患者は来院する必要がありません。このような無数のユースケースの効果が積み重なれば、経済全体でリソースをより効率的に使用できるようになり、持続可能性がさらに高まるでしょう。
5Gがヘルスケアに及ぼす強力な効果に照準を合わせれば、社会が受ける便益はさらに高まります。医療分野においては、たとえパンデミックが収束した後でも5Gは人々の生活の質を向上させる上で引き続き不可欠な役割を果たすでしょう。医療分野が生み出す雇用や経済活動ももちろん重要です。したがって5Gをはじめとする、このセクターの生産性を改善するテクノロジーは、英国社会にとって一挙両得なのです。
以上のことから、私は5Gを英国の産業戦略の要石にしなければならないと考えています。そしてそのメリットを各地方へと波及させるため、政府はイノベーションのクラスターを作り出すべく積極的に介入すべきです。ここで言うクラスターとは、将来の成長産業が集結する各地域のハブのことであり、そこでは超高速かつ超低遅延 が特長の5G、そしてAIやVR/AR、ロボット工学、エッジコンピューティングといったテクノロジーの力が活用されるでしょう。政策決定者と大手テクノロジー企業との間で、これらのテクノロジーをどのように経済回復に役立てられるか(役立たせるべきか)について今後協議すること(パンデミック中も協議は十分に行われてきましたが)は、上述したクラスターを促進させる好機となります。同時に、数多くの革新的なスタートアップ企業や起業して間もない企業も、非常に重要な役割を果たすことでしょう。
これらのクラスターが拡大すれば、英国の競争力向上に向けて、その貢献度は飛躍的に高まるでしょう。その場所がケンブリッジやイーストロンドン・テックシティである必要はありません。彼ら/彼女ら はどこにでも存在しえます。そしてどこであれ、台頭する「スキルのインターネット」の一環として、新たなタレントプールを作り出してくれるはずです。
どのように総括しましょうか。私たちは、5Gが英国のGDPに及ぼす効果がいかに大きいかを明らかにしました。しかし同じく重要なのは、その効果の性質であり、また英国全体の将来の繁栄のため、どうすれば最も望ましい形でこの効果を発揮できるかです。つまりは、5Gを産業戦略の中心に据える時が来た、ということです。
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本コンテンツは、「Why it’s time to bring 5G centre-stage in industrial strategy」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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