高専発、地域課題解決に向けたワイヤレステクノロジーを活用した取り組み

2023-04-04

さまざまな機器やセンサーをつなぐワイヤレステクノロジーは、農業や医療、観光、防災など、スマートシティの実現に欠かせない要素の1つとなっています。そこで本稿では、地域の特性に応じてワイヤレステクノロジーを活用し、課題解決に向けて高等専門学校(高専)の学生が主体となって取り組んでいる総務省主催のコンテスト「WiCON(高専ワイヤレスIoTコンテスト)」について紹介します。

高専とは

高専は実践的かつ創造的な技術者を養成することを目的とした高等教育機関であり、現在、全国に国公私立を合わせて57校が存在し、全体で約6万人の学生が学んでいます。工業系や商船系などの学科があり、実践や実習に重点が置かれた5年間の一貫(商船学科は5年半)の教育がなされています。卒業後、さらに2年間の技術教育を受けるための専攻科(2年間)を設置している高専もあり、専攻科を修了すると、所定の審査を経て学士の学位(大学の学部卒と同等)を得ることができます。また、専攻科へ進学するほか、大学に編入学することもできます1

「ロボットコンテスト」「プログラミングコンテスト」「デザインコンペティション」など、高専の学生が参加するコンテスト形式の全国大会が開催されているのも特色の1つとして挙げられます。

図表1:全国の高専一覧

出典:国立高等専門学校機構ホームページ2

図表2:高専と高校・大学との制度上の関係

出典:文部科学省ホームページ3

高専ワイヤレスIoTコンテスト(WiCON)

ワイヤレス人材の育成と高専発の地域課題の解決を目的とした取り組みとして、2018年に総務省主催のコンテスト「WiCON(高専ワイヤレスIoTコンテスト)」の第1回が開催されました。これはワイヤレステクノロジーを活用することでデジタル技術の活用を促進し、地域の安全・安心や地元産業の生産性の向上や効率化など、社会が抱えるさまざまな課題の解決に向けて、高専の学生が主体となって地域の企業や自治体などと連携して、問題の特定から課題解決に向けた提案、そして実証までを行う技術実証コンテストです。提案内容は農業、医療、介護、観光、交通、製造業、防災、海洋など多岐にわたり、それぞれのテーマに対して全国の高専が応募しています。2022年度は16件のテーマが採択されています(詳細は総務省『「ワイヤレスIoTコンテスト(WiCON)」ホームページ)』)。

このコンテストは主催者が「○○の技術を使って△△の課題を解決して欲しい」といった形で公募する「課題解決型」の提案ではなく、学生が地域の課題を自ら見出し、その解決策を募る「課題設定型」の提案であることが特徴として挙げられます。地域の課題解決に向けたアプローチは多種多様であるため、これは学生自らが解決に向けたワイヤレスIoTシステムの企画を立てて、仮説・検証を繰り返す社会実装に向けた実践型のコンテストと言えるでしょう。

図表3:2022年度の採択内容

出典:総務省「ワイヤレスIoTコンテスト(WiCON)」ホームページ4

地域の課題解決に向けたこれからのデジタル人材とは

さまざまな機器やセンサーをつなぐワイヤレステクノロジーは、ハードウェアやソフトウェアのデジタル化を促進させ、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合した「人間中心の社会」を実現させるSociety5.0の実現に欠かせないデジタル化技術の1つと位置付けることができます。デジタル化によって、学問体系としても機械工学や材料工学、建築工学が情報工学と連携することで、従来の工学に加えて社会科学や心理学といった要素も加味して複合的なシステムデザインを求められるようになってきています。

このようなデジタル技術で実現されるサービスやアプリケーションは、情報システムの「Input(入力)」「Process(処理・分析)」「Output(出力)」そしてフィードバックのサイクルとして整理することが可能になります。この一連の「Input」「Process」「Output」とフィードバックサイクルを社会課題の解決に向けたプロセスと換言すると、マーケッターやプランナー、プロデューサー、エンジニア、コーディネーターといったそれぞれのプロセスで求められる人材像が浮かび上がってきます。

図表4

出典: 内閣府「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会議(令和2年度 第4回)」事務局資料5

今回紹介した総務省ワイヤレスIoTコンテストにおいても、このような多様な人材が連携して課題解決に向けた取り組みを推進していることがうかがえます。

多様なシステム同士が連携・連鎖していく状態は、昨今の企業のデジタルトランスフォーメーションや産業間の連携、マルチステークホルダーが関わりあうスマートシティの実現に向けた取り組みにもアナロジーがあるのではないでしょうか。

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