ゼロカーボンシティの取組みを活用した自社事業の拡大

2022-11-08

ゼロカーボンシティの取り組みの進展

国内におけるゼロカーボンシティの取り組みは、環境省が2022年4月に第1回脱炭素先行地域として26地域を選定したことを皮切りに各市町村で推進されています。2020年度のCO2排出量(電気・熱配分後)を見てみると、その内訳は産業部門が34%で最多となっているほか、次いで運輸部門が18%、業務その他部門が17%、家庭部門が16%、エネルギー転換部門が8%、非エネルギー起源CO2が7%となっています⋆1。このことからも、各地域においてゼロカーボンシティを実現するためには産業部門や運輸部門など産業界全体との連携が必須であると言えます。

一方で産業界の動きとしては、投資家からのESGに関する要請や、取引先からの低GHG排出製品の要請などを背景に、さまざまな企業が脱炭素に向けた取り組みを進めています。

今までの脱炭素の取り組みは、行政と個々の企業で個別に進められていましたが、効率的かつ効果的に推進するためには、行政、企業、各産業が連携して1つのゼロカーボンシティ構想を立案し、実行していくことが必要なフェーズに入りつつあると言えるでしょう。

連携の視点としては、各企業がサービスとして既に保有している再エネ電源、電化・省エネサービス、資源循環サービスなどとともに、供給変動が大きい再エネを有効に活用するために、エリア単位でのエネルギー需給をマネジメントするエネルギーマネジメントセンターの機能がゼロカーボンシティを実現するうえで不可欠な機能であると言えます。

ゼロカーボンシティの取組を活用した自社事業の拡大

ゼロカーボンシティを実現するためには、行政または民間デベロッパーがプロジェクトオーナーとしてエリア全体の脱炭素促進をマネジメントしながら、各企業が自社の得意とする製品やサービスの面から連携していくことが有効です。

ゼロカーボンシティの実現に必要なレイヤーとしては、土木やファシリティといった街づくりのベースとなる機能はもちろんのこと、再エネや熱利用の電化、蓄電、資源循環を中心に脱炭素の取り組みを担うエネルギー企業を中心としたユーティリティレイヤーが必要となります。また、脱炭素の見える化やエネルギーマネジメントを実現するためのネットワークには高レベルの機能が求められるため、通信事業者を中心としたデータレイヤーのプレイヤーとの連携が不可欠です。その上で企業側のデータと、主に行政が保有している生活者データを都市OSとして結びつけるIT企業を中心としたデータレイヤーのプレイヤーや、EVにより運輸部門の脱炭素を進めるプレイヤー、データ運用・MaaS・その他脱炭素関連のサービスを拡大するサービスレイヤーのプレイヤーなど、ゼロカーボンシティを実現するためにはほぼ全ての産業の企業が必要となります。

現在、各地で構想されているゼロカーボンシティの取り組みは上記のようなコンセプトに基づいて構想が練られており、構想段階から自社の製品やサービスの活用を踏まえたアライアンスを検討していくことが、社会要請に対応しつつ、自社事業の拡大を実現させることにつながります。

⋆1 環境省 2020年度温室効果ガス排出量(確報値)概要より

 

執筆者

村山 学

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

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