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2021-08-24
国・地方自治体を中心とする多様な主体が、スマートシティについてさまざまな議論を展開しています。その内容は法令・規制やガイドラインなどのルール形成に関するものから、スマートシティを構成するインフラ、製品・サービスや実施主体に関するものまで多岐にわたります。
「スマートシティの実現」というと、非常に大きな構想や概念から始まり、膨大な時間を要するとのイメージが持たれがちです。中小企業やスタートアップにとっては関わる機会が少ないからかもしれないですが、むしろこのような大きな動きの中には多様なビジネスチャンスがあります。他社に先んじて意図的に動くことで、中長期的な柱となる新たなビジネスの構築や、既存の製品やサービスを核とした創発的なビジネスの展開につながる可能性が広がります。
スマートシティの実現は、都市が抱える多様な社会課題を解決する手段の1つです。社会課題は多様化し、それらの解決につながるイノベーションの創出に期待が高まる中、研究開発の進展や科学技術の進化に対するニーズは今まで以上に細分化され、複雑化しています。1つの社会課題を解決するためには幅広い分野における多様な研究の掛け算が必要になっていることから、スタートアップや中小企業が関与できる幅が今まで以上に拡大しているのです。
スマートシティの実現のように多層的な分野が関わり、課題解決を目指すような取り組みは、中小企業やスタートアップの研究開発の多様性や機動性と適合するはずです。
出典:日本版SBIR制度の見直しについて(令和元年11月8日 内閣府・中小企業庁)https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/seidokadai/4kai/siryo4.pdf
現実には、スマートシティの実現に向けた中小企業やスタートアップの関与は限定的になっています。その背景には、彼らの関与が「進め方や物事がある程度決まった段階から」になっていることが挙げられます。
現状では、まず国や自治体が方針を決め、大企業がビジネスプランや座組を組み、その後にようやく中小企業やスタートアップが関与するというケースが散見されます。
この場合、国・自治体や大企業などの検討状況が前提となるため、スマートシティ実現に向けたパーツの穴を埋めたり、ミッシングピースを埋めたりするような研究を請け負いがちです。また、実際に関与できるかどうかは大企業などの意向や意思決定に大きく左右され、自らのコントロールがしにくい状況にあります。
理想的な形としては、前提として国や自治体が戦略策定の検討経過やアウトプットを比較的タイムリーに発信することです。早い段階で中小企業やスタートアップが情報を入手することで、対応に向けた自社の方針検討、自社資源を踏まえた研究開発につながります。
また、自社の取り組み状況や成果などを早期に発信することで、大企業との接点が増えます。これにより「研究開発の実施・改良・実証」の確度が高まるだけではなく、研究開発の時間短縮につながる可能性もあります。
両者のアプローチの決定的な違いは「時間軸の捉え方」です。スマートシティの実現に向けて虎視眈々とチャンスを狙い、先んじて行動を仕掛けることが肝要です。
日本の中小企業やスタートアップは技術と研究開発の両面で高いポテンシャルを持っています。そして、そのポテンシャルを生かすには、すでに実施内容や研究開発が決まって自分ではコントロールができない状況に陥る前に、早い段階から自ら巻き込まれることが重要です。それにより、自ら選択・コントロールできる状況を意図的に作り出すことが求められます。
主要官公庁や自治体は、それぞれが考えるスマートシティ構想や実現に向けたプランを公開しており、中小企業やスタートアップが今後の方向性を考えるための情報の多くは自ら手に入れることができます。身近に手に入る情報を活用し、ビジネスチャンス拡大に向けた目論みを進めてはみてはどうでしょうか。
鐘ヶ江 靖史
シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社
総人口と労働力の減少、高齢化の進行が予測される昨今の日本において、「スマートシティ」の取り組みが注目されています。PwCはSociety5.0時代の社会課題の解決に向け、クライアントである行政とその先に暮らす住民の価値創出を、ワンストップで支援します。
PwCでは、多様なプロフェッショナルが豊富な経験と独創的な発想力を生かして、官公庁や地方自治体、公的機関が抱える課題の解決を支援しています。
カーボンニュートラルとスマートシティをあわせて推進することにより、地域の潜在能力を引き出し、都市の価値を高めるとともに、省エネや地域の循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現を支援します。