
「スマートシティで描く都市の未来」コラム 第89回:ユーザーの課題・ニーズ起点のスマートシティサービスの考え方
スマートシティサービスは国内で多くのプロジェクトが進められており「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも2024年6月時点で286件の掲載が確認できます。多くの実証実験が実施されてきたその次のステップとして、実装化が大きな課題となっています。本コラムでは実装化を進める上で、キーとなりうる考え方を紹介します。
2021-04-13
スマートシティ開発において、将来の技術革新を先取りしながら、新たな社会システムやビジネスモデルを創造・実装するには、官民の連携が不可欠です。官民連携の概念には、例えばPFI(Private Finance Initiative:公共施設などの建設、維持管理、運営などを民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う新しい手法)のように官民の権利義務を契約で明確にし、民間がサービスを提供する形態から、まちづくり協議会のような緩やかな連携まで幅広い手法が含まれます。
今回は、スマートシティ開発におけるPPP(Public Private Partnership:官民パートナーシップ)/PFIの事例をご紹介しながら、官民連携の事業スキームを構築する上でのポイントを考察します。
2021年2月に、工事着工されたウーブン・シティ(静岡県裾野市)をはじめ、柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)やFujisawaサスティナブル・スマートタウン(神奈川県藤沢市)など、土地区画整理事業をベースにしたグリーンフィールド型(整備されていない土地でゼロから事業開発をすること)のスマートシティ開発が各地で進んでいます。
現在は、民有地における民間主導型が主流ですが、深沢地区まちづくりプロジェクト(神奈川県鎌倉市)や国土交通省が進める品川駅西口基盤整備事業(東京都港区)など公有財産における行政主導型のケースもいくつか検討が始まってます。今後は、立地適正化計画などにおける都市再生のソリューションとしても、PPP/PFI手法の活用が期待されます。
宮城県の「宮城県上工下水一体官民連携運営事業」や大阪市の「大阪市水道PFI管路更新事業等」など、特定地域におけるインフラの包括的なコンセッション事業が始まっています。これらの取り組みは、インフラ管理の高度化を加速度的に推し進める可能性を秘めており、スマートシティ開発における官民連携の重要な領域となると期待されています。
スキーム面でのPPP/PFIによるスマートシティ事業開発のポイントをまとめます。
現在、全国で実施されているスマートシティ構想の事業化において、地域・事業ごとに官民連携の仕組みを適切に構築することが、事業を成功に導く上で重要なポイントになるでしょう。
PwCは、PFIの黎明期から多様な官民連携の仕組みづくりや事業化に長年携わってきました。私たちは、これらを通じて得られた知見、経験をいかし、官民連携によるスマートシティの開発を通じた社会課題への解決に貢献していきたいと強く願っています。
スマートシティサービスは国内で多くのプロジェクトが進められており「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも2024年6月時点で286件の掲載が確認できます。多くの実証実験が実施されてきたその次のステップとして、実装化が大きな課題となっています。本コラムでは実装化を進める上で、キーとなりうる考え方を紹介します。
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