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2020-07-14
日本において、2015年から2045年の30年間で2,000万人以上の大幅な人口減少が推計されています。人口減少は全国一律ではなく、都道府県単位の推計では現状維持から4割強減少までの幅となっていますが、市町村単位では3割以上の増加から8割の減少までと、人口増減の地域間の格差が拡大していくことが予想されます。
地域の人口構造の変化はまちのあり方とともに、重要なライフラインとして社会インフラの一翼を担うユーティリティ事業者のあり方にも大きな影響を与える可能性があります。人口増減の地域間格差拡大は人口密度分布の変化、ユーティリティサービス事業者にとっては需要密度の変化につながります。
電力供給、ガス供給などのネットワーク型の社会インフラを担う事業者にとって、需要密度の変化は長期的な設備投資や維持管理の前提が大きく変わることを意味しており、これまでの供給ネットワークのビジネスモデルを再考しなければいけない重要な環境変化要因であると言えます。
電気事業における環境変化への対応の一つとして、画一的なシステムから地域性・ユーザー特性に合わせた最適なシステムの組み合わせへの移行が重要となります。例えば、再生可能エネルギーの積極的な導入、VPP(バーチャルパワープラント)など新たな調整力の活用、低需要地域における積極的なオフグリッドなど、地域に合わせた供給システムの再構築により、大規模集中型エネルギー供給と分散型エネルギー供給の最適な組み合わせを模索することが考えられます。
実際に多くの自治体において、まちの将来を考える中でスマートシティに関連する取り組みが計画され始めており、そこでは今後予想されている人口構造の変化への対応が念頭に置かれており、分散型エネルギー、再生可能エネルギーというキーワードが多く見られます。
スマートシティ化の推進においては、単独の組織や関係者だけではなく、住民を含む地域社会全体を中心とした産学官のプレイヤーが連携をとって、地域の課題解決のためにさまざまな施策を実行していくことが重要です。そして、地域でエコシステムが形成され、それがうまく回る必要があります。特に人口減少が予想される地域では、どのように域内の経済を維持するかという課題のもと、エネルギー支出の域外流出を抑えるために地域電力会社を設立したいというニーズがあります。
このような地域のニーズとあわせて、スマートシティのエコシステムが回るためには、地域に根差したキーとなる産業界のプレイヤーが不可欠であり、長らく地域を支える役割を担ってきたユーティリティ事業者は、そのキープレイヤーとして最もふさわしい事業者の一つであると考えられます。
地方都市においては、地産地消エネルギー源としての再生可能エネルギーの開発やそれを活用した分散型エネルギー供給システムの実現のほか、ドイツのシュタッドベルケ(電力・ガス・水道などの公益サービスを提供する事業体)のような、統合ユーティリティ事業化による地域にいっそう根差したビジネスモデルの実現なども考えられます。
また、2018年にPwCコンサルティング合同会社が実施した「コネクテッドホーム・スマートデバイス市場意識調査」によると、データ活用の重要性が増してきているスマートシティにおいて、電力会社、ガス会社は、「消費者がサービス向上のために個人情報を提供しても良いと考える業界・企業」として認識されており、需要者との接点を活用したデータ活用プラットフォームの構築などを通じ、さまざまなスマートシティ機能やエコシステムのハブの役割を担うことが可能な立場にあります。
このように、電力会社、ガス会社などのユーティリティ事業者は、従来の画一的なビジネス展開を脱し、地域の課題に合わせた多様な取り組みを推進し、キープレイヤーとして地域の他のプレイヤーとともに新たなビジネスモデルの実現や価値の提供を求められるようになるのではないでしょうか。
検討にあたっては、「2050年も住みたい・行きたいまち」において、既存のユーティリティ事業の枠組みにとどまらない徹底的な住民視点で、どのような課題・サービスニーズが存在し、それに対しユーティリティ事業者としてどのような役割を担い、どのようなビジネスモデルで、地域のどのようなプレイヤーと連携していく必要があるのかを考えることが第一歩になります。その上で、これからのユーティリティビジネスの持続的な進化に向けて、中長期的な視点で取り組んでいくことが重要です。
※詳しくは「2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ」レポートをご覧ください。
総人口と労働力の減少、高齢化の進行が予測される昨今の日本において、「スマートシティ」の取り組みが注目されています。PwCはSociety5.0時代の社会課題の解決に向け、クライアントである行政とその先に暮らす住民の価値創出を、ワンストップで支援します。
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