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不確実性の時代と言われる現在、企業は予測が困難なさまざまなリスクに直面しています。それらが顕在化すると財務的な損失や企業価値の毀損にもつながることから、多くの企業では全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management、以下ERM*)をはじめ、リスク管理のための仕組みを構築・運用しています。しかし、そうしたリスクマネジメントは、実質的には部門ごとに閉じた部分最適型であることが多く、財務的なリスクを抑えることだけを目的としているケースも少なくありません。
*ERM:全社戦略の実現のため、あらゆるリスクを総合的・包括的に管理し、迅速かつ適切にリスク対応を行うためのリスクマネジメント手法
今、企業が直面するリスクは、気候問題や人権、技術革新など、財務面のみならず非財務面にも及び、大きなインパクトをもたらすものも多くあります。また社会や産業構造といった外部環境が複雑化する中で、予想外のリスクも次々と生まれています。
そうしたリスクの多くは企業全体に大きな影響を及ぼすものであり、部分最適化された従来のリスクマネジメントでは十分に対処できません。加えて、外部環境の変化のスピードは速く、複雑さも増しています。こうした中、企業はこの先どんなリスクが生じ得るのかを見極めながら、戦略/計画策定の前提として、全社的なリスクマネジメントを実践することが求められています。
そのための有効な手法が、戦略的ERMです。戦略的ERMとは、現在から未来までのあらゆるリスクを戦略/計画と整合させることで企業としてのレジリエンスを高め、外部ステークホルダーからの評価を高めることにより企業価値の向上を図る仕組みです。
本稿では戦略的ERMを構築・運用する上で不可欠な、未来志向かつ全社的な視点でのリスクの洗い出しについて解説します。また、レジリエントな経営活動を実現するためには、外部環境を俯瞰し、どれが自社のビジネスや企業価値に影響を及ぼし得るのかを特定しなければなりません。そこで、具体的な外部環境変化の捉え方やそのポイントについても紹介していきます。
企業を取り巻く外部環境は非常に広範囲で多岐にわたるため、全方位で対処しようとすると多くの経営資源が奪われてしまいます。そこでまず重要となるのは、自社が特に注意すべきリスクドライバーの明確化です。
リスクドライバーとは、リスクを引き起こしたり、その発生可能性を高めたりする根本的な要因や出来事のことです。すでに述べてきたように、企業が直面するリスクの多くは、外部環境の変化によってもたらされます。またそうした外部環境の変化は、多くが地球規模で動くメガトレンドに起因しています。このことから、自社のリスクドライバーを把握する際には、まずメガトレンドを明確にし、そこから自社に影響する個々のリスクドライバーへと落とし込む手法が有効です。
PwCでは5つの主なメガトレンドとして、気候変動、テクノロジーによるディスラプション、人口動態の変化、世界の分断化、社会の不安定化を挙げています(図表1)。このうち、気候変動というメガトレンドは、「欧州を中心とするESGルールの形成」といった外部環境の変化をもたらしています。欧州でビジネスを行う企業にとっては、そのルールに準拠しないことが財務面や非財務面で負のインパクトを受けることになりかねず、リスクドライバーの一つとして特定されることになるでしょう。
図表1:日本、世界が抱えるメガトレンド
このリスクドライバーを明確にするにあたり重要なのは、できるだけ多くの視点から検討することです。既存のリスクマネジメント部門だけでなく、経営企画やサステナビリティ、各事業部など、部門横断的なタスクフォースを結成し、多面的に抜け漏れなくリスクドライバーを抽出することが求められます。これが全社的なリスク洗い出しの第一歩となります。
なお、PwCコンサルティングは企業の戦略的ERMの構築・運用支援の一環として、リスクドライバーの明確化に関する支援が可能です。私たちの支援では、専任の担当者だけでなく、サステナビリティや公共事業、サプライチェーンリスクといったテーマごとの専門家を集めながらリスクドライバーの検討を行います。
また、リスクドライバーの明確化は、現場だけでなく経営目線も踏まえて行うことが重要です。ボトムアップでリスクドライバーを整理した後は、経営層がトップダウンでリスク認識を確認・反映するなど、現場と経営間のアラインメント(調整)を図ることが肝要です。
リスクドライバーの洗い出しが終わったら、次は各ドライバーが今後どうなっていくのかを予測します。
ドライバーがより勢いづくと予測されるのなら、特に注視・対処すべきリスクドライバーとして位置付けなければなりませんし、逆に顕著な動きがなさそうだと見込まれるのなら、それほど大きなリソースを投入する必要はないと言えます。リスクマネジメントとして限られた経営資源を有効活用しつつ、最大限の効果を得るためにも、リスクドライバーの見通しは非常に重要な作業です。
具体的な手法としては、まず特定したリスクドライバーに関連した過去の動きを1~2年ほどさかのぼって検証します。そしてそれを元に、この先の動きを考えていきます。例えば、先ほど挙げた「欧州を中心とするESGルールの形成」に関して言えば、2025年2月に欧州委員会がEUにおけるサステナビリティ関連規制を簡素化する法案を公表するなど、サステナビリティの歩みは止めずとも、規制強化のスピードはやや緩めようとする動きが見られます。そうした推移を確認しながら、「これからさらに緩んでいくのか。それとも再びアクセルが踏まれ、勢いづいていくのか」といったように、ドライバーごとの先行きの見通しを付けるのです。
この作業でポイントとなるのは、リスクマネジメント部門などの単独部門だけで見通しを立てるのではなく、リスクドライバーが影響を及ぼす可能性のある各部門を巻き込んで、それぞれの部門の専門性を生かしながら進めていくことです。
従来のリスクマネジメントは部門ごとに行われることが多かったため、専門性の高いリスク評価や見通しに関するノウハウは各部門に備わっている半面、部門単位で情報が囲い込まれ、全社で生かせる状態にはなっていません。そこで、どの部門がどのようなリスクマネジメントのノウハウを持っているのかといった全社的な棚卸しを行い、それを部門横断で有効活用することが重要です。
以上の取り組みを通じて、外部環境変化のトレンドを把握し、そのトレンドを起点として自社のリスクを抽出できれば、予測困難な経営環境の中でも道標がより明確となります。再び「欧州を中心とするESGルールの形成」を例に考えてみましょう。このリスクドライバーが勢いづくとした場合、欧州においてもビジネスを展開している日本企業であれば、ESG基準のハードルが高まることによる資金調達の難化や、国際基準への対応・準拠が不十分なことによる欧州を含めた国際的なパートナーシップからの排斥などのリスクシナリオが想定されます。こうした考え方は、上述したような負の影響を及ぼす脅威としてのリスクに加えて、正の影響をもたらす機会としてのリスクを洗い出すことにもつながり、企業の迅速な意思決定の一助となるでしょう。
本稿では、戦略的ERMを構築・運用するために欠かせない全社的なリスクの洗い出し、特にその前提となる外部環境変化のトレンド把握について解説しました。リスクドライバーの明確化と見通しの取り組みは、一度行えばいいというものではありません。メガトレンドや、それに起因する外部環境の変化は永久に続きますので、サイクルとして取り組みを継続していくことが求められます。
取り組みを定着させるためには、情報収集や仮説の設定にAIなどのテクノロジーを活用する方法もあるでしょう。効率化とともに、より精度の高い予測も可能となり、戦略的ERMの高度化につながることが期待できます。
PwCコンサルティングは、戦略的ERMの仕組みや体制づくり、リスクドライバーの明確化と見通しをはじめとした戦略的ERMの構築・運用に係る各テーマの豊富な支援実績を有しています。また、リスクマネジメントの成熟度を測るクイック診断ツールも用意しており、戦略的ERM構築に向けた目指す姿の策定や課題抽出を支援することも可能です。戦略的ERMに関する多様な要望に対応できますので、お気軽にご相談ください。
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