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2022-03-10
PwC Japanグループは2021年10月22日、メディア関係者の方を対象にパネルディスカッション形式のセミナー「パワーシフト~エンタテイメント&メディア業界における力学の変容~」を開催しました。当日は社外からも登壇者をお招きし、活発な議論が繰り広げられました。
当日の様子を振り返る連載の第5回は、PwC Japanグループ エンタテイメント&メディアセクター リードパートナーの原田雄輔と、経済産業省コンテンツ産業課長の高木美香氏、エイベックス・テクノロジーズ株式会社代表取締役社長の岩永朝陽氏が、メタバースについて考察した上で、全体の議論を総括します。
高木 美香 氏
経済産業省 コンテンツ産業課長
2002年に経済産業省入省。2008年から2012年にかけて、「クール・ジャパン」の海外発信や、コンテンツ・デザイン・ファッションに代表される「クリエイティブ産業」育成施策の立ち上げおよび推進に携わる。
その後は、新興国向けの通商政策や国際標準化政策などの「国際ルール形成」施策を担当し、2018年から現職。創造性を活かした新しい未来づくりがライフワーク。
東京大学経済学部卒業、スタンフォード大学MBA/MA in Education修了。
岩永 朝陽 氏
エイベックス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長
1999年よりシリコンバレーのベンチャー企業でECサービスの立ち上げに参画。
帰国後、日立にてシステム開発、外資系企業にて放送・VOD関連のエンターテインメント事業でプロダクトマネージャーとして9年、さらに海外ゲームパブリッシングなどを経て、2018年 株式会社 aNCHORの代表取締役に就任。
2019年4月エイベックス株式会社 執行役員。
2019年5月エイベックス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長に就任。
原田:
そろそろまとめに入っていきたいと思うのですが、その前に、今後の消費者行動に大きな変化をもたらすものとして最近、世界的に話題となっているメタバース(仮想空間)について、もう少し掘り下げてお二人とお話ができればと思います。
メタバース上で服を買う、旅行に行くという消費行動が広がると、現実世界のアパレルや旅行での消費は置き換えられていくと思いますか。それとも全く別の市場ができると考えますか。
高木:
最近よくチームでこの話をしています。コロナ禍の今は旅行に行けないので仮想空間で我慢していているだけで、やはりリアルな体験にはかなわないのではないでしょうか。ただ、一日24時間の使い方として、仮想空間も組み合わせた方が色々なことができるでしょうから、最終的には人の時間の奪い合いになるのかなとは思っています。
原田:
バーチャルで経験することによってリアルは不要となってしまうという観点と、バーチャルでの経験がリアルに対する魅力につながるという観点がありますよね。
岩永:
両面あると思います。デジタル化できるものはデジタルに置き換わっていくでしょう。例えば視覚情報はデジタル化できますが、味覚情報はデジタル化できないので、レストランはなくならないというようなことです。「触れる」という体験も、デジタルへの置き換えをやってみているところもありますが、「実際とはちょっと違う」という感想を持つことが多いようです。そう考えると、デジタルに変換できるものとできないものを、ビジネスの中で見極めていくべきではないかと思っています。
また、デジタルに変換できるものがあったとしても、そのデジタルに変換できるものが今のリアルの場を奪うのではなく、リアルの拡張になるようなことも起きるのではないかと思います。例えば、知っている店がメタバース上にもできたので入ってみた後、それまではよく知らなかった隣のお店にも、メタバース上ということもあり気軽に入ってみたところ、そこで偶然目にした商品を気に入って買おうという気になった、というようなことです。その結果として、店舗に実際見に行けばリアルの客足が伸びますし、オンラインで決済すればeコマースにつながるので、リアルとデジタルが補完し合う関係になるのではないでしょうか。
原田:
デジタルとリアルの二者択一ではなく、それらを組み合わせて、消費者に魅力を感じてもらうモデルをいかにして作り上げられるかが大事になりますね。
高木:
デジタル空間でアバターを動かしている時の方が色々な心理的な障壁が低く、対人コミュニケーションもリアルとは違ったものになったりするので、単なる代替ではないのだと思います。自分の好きな見た目になれる世界で、生まれ持った差が存在しないフラットな感覚というものが、大きく影響するのではないでしょうか。
原田:
それでは最後に、このセミナーを終えるにあたって、まとめのコメントをお願いできますでしょうか。
高木:
セミナーのテーマが消費行動に起因するパワーシフトということでしたが、今後消費の大半を占めていくZ世代にまつわる情報を集めているなかで感じたのは、Z世代は自分の本名のアカウントだけでなく匿名のアカウントも持って使い分けているような世代であり、興味関心が近いグループにたくさん所属して、それぞれで世界とつながっているということです。そういう人達を相手に、今日参加していただいているメディアの皆様もですが、誰に何を届けていくのかを考えていかなければならない。大きな転換となりますし、難しい時代になっていくのだな、ということを改めて痛感しました。
岩永:
企業の立場からすると、既存ビジネスが現在大きな収益を上げているなかで、消費者行動について分析して状況が分かったとしても、それに合わせて自らを変えていくのはなかなか難しいのかなと思います。市場ができていないところで新規事業を立ち上げても売上が上がらない。しかし、市場ができあがった後に入ろうとしても自分たちの場所がないかもしれない。こういった領域にどこまで足を踏み入れていくのかを経営判断するのは、非常に難しい問題です。状況は10年単位で変わってきているように感じますが、10年先を目指していると体力が続かないおそれもあるので、変わる一歩手前のところを見極めて乗り出していくといった経営判断が必要になります。社内外のさまざまなデータを見て、あるいは、実証実験などを実施して、その結果を自分たちで体感しながら、狙いどころを探っていくしかないでしょう。
次回は、ここまでのディスカッションを踏まえて、エンタテイメント&メディア業界の企業に何が求められるのか、それに対してPwCがどのようなサポートが可能なのかについて、PwCの本イベント登壇者と企画スタッフによる総括をご紹介します。
約20年にわたりエンタテイメント企業やメディア企業、ハイテク製造業など幅広い業種のクライアントに対し、全社規模の業務改革における構想策定からシステム導入、改革実現による効果創出までさまざまな支援業務に従事。また、アジアを中心に日本企業の海外プロジェクト実行支援も数多く手掛ける。
現在はエンタテイメント・メディア業界のリーダーとして、クライアントに対する全社的なデジタルトランスフォーメーションを支援。
クライアントの課題解決のため、従来のコンサルティングワークに加え、PwC Japanグループの他法人と連携したサービス提供にも注力している。
ITおよびコンサルティング業界の立場から、インターネット事業(BtoC/CtoC)、自動車部品メーカー、工作機械製造、人材サービス、建設資材メーカー、電設資材卸、ハウスメーカー、航空運輸、製薬、総合商社、レース製造などさまざまな事業領域のクライアントに対し、営業、生産、販売、人事、会計、ITなど幅広い業務領域におけるBPRやIT導入を推進した経験と、自社における組織マネジメントや事業運営の経験を活かし、「事業・組織・業務・ITの変革」の構想策定から実行実現までを一貫して支援することを得意とする。
新しいソリューションモデルを考案し、特許出願した上で新規事業の企画から立ち上げをリードした経験も有し、近年はポイント事業やEコマースなどのインターネット事業の統合や資本業務提携などにも注力している。
製造、金融、メディアなどの幅広い業界で、業務改革・組織改革を中心とした各種プロジェクトに従事。業界・ソリューションを問わないオールラウンドなコンサルタントとして活動している。
近年は、メディア/コンテンツ業界について、激動する環境下での事業戦略とその推進のためのマネジメントの在り方に焦点をあてて活動している。
クライアントワーク以外では、PwCグローバルエンタテイメント&メディア アウトルックの日本における中心メンバーとしても活動し、周辺領域を含めた情報発信を行っている。
※法人名、役職は掲載当時のものです。
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