3. 生成AIを使いこなすために、私たちに必要な取り組みとは
上記の仮説が成り立つ場合、これまで述べたような思考プロセスに生成AIを適用させるために私たちは何を試みるべきでしょうか。
それは思考プロセスを定義するための「暗黙知の形式知化」です。なぜならば、従来私たちがシステムを導入する際に業務を標準化したように、生成AIに思考させるためには、その思考方法を他者に伝達できるように形式知化することが必要となるからです。
形式知化にあたっては、①メタ認知を通じて自己の思考を再考するスキルと、②クリティカルシンキングを使い、自己の思考における曖昧さや飛躍を発見するスキルの2つが求められます。
まず➀のメタ認知によって、自己の思考における情報整理プロセス(どのような観点で情報を結び付け、同列に並べるか)と意思決定メカニズム(同列に並べた情報に対して、どのような観点で重みづけを行い、意思決定を行うか)を明らかにします。次に②のクリティカルシンキングにより、メタ認知によって明らかにしたプロセスやメカニズムに対して、自己のバイアスや、まだ明確になっていないプロセス(暗黙知)がないかを検証します。
この2つの取り組みを繰り返すことにより、暗黙知の形式知化が進み、思考プロセスを生成AIに担わせるためのプロンプトを作成することができます。