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国内外の法制度改正などにより、税務申告対応の複雑化・高度化が見込まれています。
企業においては、従前からの法令遵守としての納税申告対応に加え、さまざまなステークホルダーへの税務情報開示など、新たな社会的責務に対応することが求められています。
こうした対応に向けて、税務テクノロジーの活用を含めた体制整備や税務人材のリソース確保など、企業の税務部門には早期の検討が求められています。経営課題の一部ともなり得る論点について、PwC税理士法人の税務プロフェッショナルが実務の観点を踏まえて解説します。
国税庁が税務に関するコーポレートガバナンス事務運営指針を公表して以降、税務ガバナンスの重要性が叫ばれて久しいものの、「一体どこから始めればいいのか」という質問を受けることがあります。また、競合他社にならって自社サイトなどに税務ポリシーを開示しているものの、実態が伴わず「仏作って魂入れず」という状態の企業事例も散見されます。
日本の税法は細則主義であるため、税法に記載されている事項を税務規定として制定しない企業が主流です。こうした中、例えば企業の業務所管部が海外取引を行った際に、難度の高い源泉所得税徴収漏れが発見されたとします。税務担当者は指導を行う中で「この取り扱いはどの社内規定・手続きに記載されているのでしょうか」と現場から尋ねられ、返答に窮する場面が想像されます。「所得税法第212条によるものです」との回答は正解かもしれませんが、これは業務所管部にも全ての税法に精通を求めかねないという無理難題にもつながり、現場の方との共感を妨げます。逆に、経理規定が想定する取引の全てを税務規定として独立させたものの、毎年の税制改正などの定期的なメンテナンスにより煩雑な手続きが生じ、規定が二元化して活用しづらくなるというデメリットに向き合わざるを得ないケースも考えられます。
多くの日本企業では、取引を実施する業務所管部への指導・統制を目的として、以下のような税務ガバナンス実行ツールを導入することが一般的です。税務も法律に準拠するため、形から入るアプローチは有効ではあるものの、それぞれの特徴を理解して使い分けること、リリース後の運用イメージをしっかりと持つことが重要です。社則レベルでの統制は強制力としては強いものの、他の社則とのバランスや従属関係、会議体への報告なども勘案する必要があるため、各ツールの導入難度が上がっていきます。さらに、グループ通算制度、移転価格税制など他のグループ企業を巻き込む必要のある社則(グループ規定)を制定するには、説明や調整に多大の時間と労力を要します。
まずは、現在運用されている社内規定を確認、分析、評価することが第一歩になります。既に廃止になった税法に基づく社内規定が残存するケースもあるかもしれません。その中で、他社事例なども参考に自社のベストプラクティスを確立した上で、重要項目から手を付けていくことが有効となるでしょう。
ツール(注) |
特長 |
留意点 |
税務規定(社則) |
統制手段としては強力かつ包括的 |
メンテナンス、運用が煩雑 |
経理規定(社則) |
統制手段としては強力かつ導入が容易 |
会計基準の範囲に限定される |
業務所管部標準手続き (マニュアル) |
現場の手続きに則しているため実効性が高い |
まずは他部の税務関連手続きを特定することが重要 |
通達 |
決算・申告前、調査前後などイベントに合わせ機動的に実施可能 |
一般的には短期的効力しかない |
説明会・勉強会資料 |
同上 |
強制力はない |
社内ポータルサイト |
常時かつ広範な情宣が可能 |
認知度を高めることが重要 |
(注)税務ポリシーおよび税務部門のマニュアルなどを除く、1線(業務所管部)統制ツールに限る
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