生成AIを巡る米欧中の規制動向最前線

中国の擬人化AIサービス規制:主要論点と日本企業の実務対応

  • 2026-08-18

1 はじめに

中国のAIガバナンスは、データ関連基本法であるサイバー三法(サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法、個人情報保護法)に加え、アルゴリズム推薦、ディープシンセシス(AIを用いた画像・音声・動画などの生成・合成技術)を対象とする個別規制の整備と、AIエージェントを含む新たなAI応用を促進・規範化する政策文書の公表を通じて、急速に体系化してきました。

そうした中で新たに示された人工知能擬人化インタラクティブサービス(Human-like Interactive Artificial Intelligence Services。以下、「擬人化AIサービス」という)規制1(2026年4月10日公表、同年7月15日施行。以下、「本規制」という)は、AIの応用高度化の延長線上で、「AIが人間のように振る舞うこと」に伴う固有リスクを切り出して規律するものと位置付けられます2

図表1:中国AIガバナンスの展開方向

中国AIガバナンスの 展開方向

2 擬人化AIサービスとは何か

本規制の対象は、「AIモデル」そのものではなく、AI技術を用いて、人間の人格特性、考え方、コミュニケーションスタイルを模し、継続的な感情的交流を提供するサービスです。

対象・対象外の典型例としては、以下のようなサービスが挙げられます3

図表2:本規制の対象イメージ

本規制の 対象イメージ

チャットツール、仮想のアシスタント・社員・キャラクターといったサービスの名称というより、利用者がそのAIサービスを人間に近い存在として受け止めるか、継続的な感情的依存関係を形成し得るかなどその実態をベースに認定されます。

その意味で、従来は「UI/UX設計」あるいは「マーケティング上の演出」と理解されていた人格設定、感情表現、アバター、会話トーン、音声の設計も、今後は規制対象となり得る点について注意が必要です。

1 国家インターネット情報弁公室(CAC)国家発展改革委員会 工業情報化部などにより公表、「人工知能擬人化インタラクティブサービス管理暫定弁法」、2026年4月閲覧、
https://www.cac.gov.cn/2026-04/10/c_1777558395078289.htm

2 本規制の説明として、「『人工知能による擬人化インタラクティブサービス管理暫定弁法』に関する記者会見Q&A」(網信中国、2026年4月10日)、「新規則『人工知能による擬人化インタラクティブサービス管理暫定弁法』の解説と企業のコンプライアンス対策」、何渊、
https://mp.weixin.qq.com/s/qFDdrjW_liOAnpa3ZFJQjA
を参考

3 本規制第2条に基づく整理。サービス名称ではなく、実際に継続的な感情的やり取りを提供しているかが判断の中心となる。

執筆者

田中 洋範

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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平岩 久人

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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エレドン ビリゲ

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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鮫島 洋一

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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星野 ほさき

マネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

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