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私たちは、AIを「生産性の向上とイノベーションの有力なイネーブラー(Enabler)」と位置付け、企業が適切なリスクマネジメントの下でAIをセキュアに活用できるよう、セキュリティやAIガバナンスに関する支援を行っています。今回のコラムでは、国際文書の解説を通じて、OT環境(Operational technology:生産や研究のための設備や環境全体の制御・運用技術)におけるAI活用のリスクと、推奨される対策を紹介していきます。前編では、一般論としてのOT環境におけるAI活用のリスクと推奨される対策を解説しました。後編となる本稿では、一般にAIと呼んでいる統計モデルの詳細な定義とOT環境ごとの活用ケースの整理、そして、実際の活用ケースを題材としたリスクおよびリスクマネジメント施策の検討事例をご紹介します。
AIとは包括的な概念です。本稿でははじめに、一般にAIと呼ばれ、活用されている手法を便宜上次のように大別します(図表1)。
図表1:AIとして活用されている手法の大別
従来の統計モデルは、説明したい因果関係や傾向に合わせて、ユーザーが適切なパラメーターを設計し、関係性を「説明」する形で活用されています。機械学習(Machine learning:ML)は、より多くのパラメーターを扱い、複雑な関係性を読み解いたり掛け合わせたりすることで、特定の事象の「予測」や「分類」を実現します。言語のように場面や文脈、組み合わせ、時期、地域、発話者などによってさまざまな意味を表現し得るような文脈依存性の高い複雑な対象については、大規模言語モデル(Large language model:LLM)のように膨大なパラメーター数を操ることができる手法を用いることで、理解(実際に意味内容を解釈している訳ではなく、統計的に理解しているように振るまう)したり、生成したりすることができます。AIは、これらの手法の総称として使われています。
次に、Purdueモデル(Purdue enterprise reference architecture:産業ネットワークをレベルに分け、IT/OT分離やゾーニングの議論に用いられる参照モデル)による、レベル(階層)ごとのAI活用例と手法を整理します(図表2)。
図表2:レベル(階層)ごとのAI活用例と手法
レベル0は、AIに使用する統計モデルの構築やテストに使用するためのデータを入手することができる階層です。AI活用を想定した場合、フィジカルAIやヒューマノイドが対象となりますが、本稿では対象外とします。
レベル1では、AIによる局所制御が想定されます。用途は、①局所の異常検出、②負荷分散、③既定もしくは既知の安全状態の維持などです。事前学習済みの予測モデルを活用することが多く、最も簡易的なAI活用と言えます。
レベル2では、AIによる局所管理が想定されます。用途は主に機器の異常兆候の検出であり、予測型機械学習を用いることが一般的です。レベル1でのAI活用と比べて、多くのパラメーター数を扱い、より複雑で多様な関係性に対処します。
レベル3では、AIによる広範囲の管理が想定されます。用途は主に、①予知保全、②オペレーターの意思決定支援などで、複数の予測型機械学習を組み合わせて用いることが多いと言えます。組み合わせることにより、処理できるパラメーター数をさらに増加させ、より複雑で多様な関係性に対応することが可能になります。
レベル4および5では、AIによる自律運営が想定されます。用途は主に、①ワークフロー最適化、②より複雑な意思決定の支援などです。それぞれが膨大なパラメーター数を処理できる複数のAIシステムを組み合わせることで、膨大なデータと関係性を扱います。
一般に、レベル(階層)が上がるほど、取り扱うデータや意思決定が複雑化しやすく、より多くのパラメーターを扱える統計モデルが活用される傾向があります。
各種製造業では、機器の騒音・振動データや環境データをAIに分析させ、オペレーターに注意喚起や判断支援を行うケースが想定されます。
事例1:製鉄企業における製造ラインの温度データに基づく、機器のメンテナンス周期予想
事例2:自動車部品工場における、モーター/減速機の振動データに基づく異常兆候検知
電力・ガス・水道などの各種インフラ分野では、需要に基づく供給予測にAIを活用し、予測データをDCS(Distributed control system)などのIACS(Industrial automation and control systems)に連携・入力するケースが想定されます。
実例1:アメリカのエネルギー関連企業による、エネルギー出力・負荷配分へのAI活用
実例2:アメリカのベンチャー企業による、風力発電出力予測へのAI活用
設計:
調達:
実装:
運用・保守:
これまでのOT環境を狙った攻撃は、特定メーカーやシステムを狙い、C2通信(Command and control:遠隔操作のための通信)を確立して更新・操作するものが多く見られました。一方で近年は、C2通信を必要としないマルウェアや、対応プロトコルの拡大、レベル1のローカル制御を直接操作するものなど、攻撃の高度化・汎用化が進んでいます(図表3)。
今後はAIを活用した自動化・大量化された攻撃、参入障壁の低下などが想定されます。そのため防御側でも、脅威検知やインシデント対応にAIを活用する必要性が高まっています。
図表3:AIを用いたOTへのサイバー攻撃の高度化
このようにAIの活用により業務を効率化するだけでなく、AIを活用することによるセキュリティリスクや、AIを使った攻撃に備える必要があります。
前編・後編を通じて見てきたとおり、OT環境におけるAI活用は生産性向上の機会である一方、処理の量・頻度・範囲の拡大や複雑化を通じて、従来のOTセキュリティや機能安全の課題を顕在化・増幅させる可能性があります。
AI活用を加速するには、ユースケースごとに脅威と影響を具体化し、AIを組み込むプロセス・装置・環境のリスクを把握し、実装可能な対策へ落とし込むことが重要です。
さらに、AIを用いた攻撃の自動化・大量化も見据え、防御側でも検知やインシデント対応の高度化を進める必要があります。
PwCコンサルティングでは、ビジネスプロセス、製造・制御、OTセキュリティ、AIガバナンスの知見を横断的に束ね、OTという事業の中枢でAI活用を前進させるための支援を提供します。
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