自動運転車の包括的な安全性の実現を支援 ―L4/AIモデルも見据えた安全論証・安全性証明の支援プログラム―

AIを組み込んだレベル4以上の自動運転車の安全性の論証策定および社会受容を見据えた支援

自動運転車における安全論証(Safety Case)の考え方

レベル4以上の自動運転車が技術検証を行う「実証」から商用化に向けた「実装」へフェーズが移行する中、自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーが社会に対して果たすべき包括的な安全性に関する説明責任が高まっており、その方法として安全論証(Safety Case)の注目が高まっています。

安全論証(Safety Case)とは、「対象が十分に安全であること」を論証(Argument)と証拠(Evidence)の積み上げによって包括的に示すものです。ポイントは、「最終的な安全目標(ゴール)が達成できていれば、プロセスや手段は問わない」ことにあり、自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーは自動運転車に最適な方法で安全を追求することが可能となります。同時に、開発側には高度なリスク分析と論証構築が求められます。

E2EAI(End-to-End AI)モデルの出現によって安全論証(Safety Case)はますます重要性を増しており、各国の法整備の進展に伴い法規制上の要求事項にもなってきています。 PwCコンサルティングは、自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーにおけるレベル4以上の自動運転車両の安全論証(Safety Case)に関する方針策定、リスク評価、ガバナンス設計を中心に、国、第三者機関における認証制度設計、上市後のモニタリング体制や事故原因分析プロセスの最適化、保険会社における保険商品構築など、戦略的な意思決定を支援します(図表1)。

図表1:AIを組み込んだレベル4以上の自動運転車の安全論証

レベル4以上の自動運転車の安全性における課題

AIモデルを組み込んだ自動運転システムの安全に関する説明責任

現状の自動運転システムはルールベースシステムとAIモデルを組み込んだシステムの2種類が存在します。特に画像認識をはじめとしたAIモデルを組み込んだ自動運転システムにおいて、挙動の予測や説明は困難になり、テスト・検証・運用時の安全に関する説明責任をどのように果たすのかが課題となります(図表2)。詳細は「生成AIを活用した自動運転2.0の出現」をご覧ください。
 

無数のシナリオが存在する環境での安全保証

公道という無数のシナリオが存在する環境でのAIを活用した自動運転システムの安全性は、考慮すべきシナリオ検証数が無限に存在することや、運用時も継続的に保証する必要があることが課題といえます(図表2)。

図表2:ルールベースとAIベースの安全保証手法の違い

自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーにおける社内リソース面のひっ迫

レベル3以下の自動運転車同様、安全法規や国際規格が多く存在し、その対応が必要です。これらを整理して最適なリソース配分をすることは難しく、新技術の出現による安全論証の再構築も求められます。各国ごとに異なる法規制への個別対応も、リソース圧迫の一因です。
 

レベル4以上の自動運転車の包括的な安全性の論証および車両認可に関する各国の状況

米国では自動車の安全性について、自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーが自社製品の基準適合を自己認証し、運輸省道路交通安全局(NHTSA)が事後的にサンプリングテストで確認を行い、不適合や欠陥があれば執行措置が取られます。この認証方法は、レベル4以上の自動運転車でも同様に行われています。

  • ANSI/UL 4600の制定:自動運転車に関する包括的な安全論証(Safety Case)の作成方法について述べている業界標準であり、レベル4以上の自動運転車を製造する企業が自己認証の目的で対応し、社会実装を進めています。
  • California Autonomous Vehicle Regulationsの改訂:カリフォルニア州では無人走行テストのための自動運転車の公道走行許可の取得に際し、包括的な安全論証(Safety Case)の提出を義務づける州法の改定が議論されています(2026年2月時点)。
  • SELF DRIVE Act(Safely Ensuring Lives Future Deployment and Research In Vehicle Evolution Act)の2026年版のドラフトの発行:連邦レベルで安全論証(Safety Case)の作成を自動運転システムまたは自動運転搭載車両の製造・販売・米国への輸入のために義務付けることが議論されています。

対して、欧州や日本を中心としたUNECE配下のWP29では自動運転車の安全性に関する国際標準が検討されています。

日本や欧州では型式認証文化があるものの、レベル4自動運転車両の明確な認可基準は未公表であり、ADS Safety Requirementsを認可に活用する方向性が示されています。

レベル4以上の自動運転の社会受容を見据えた安全保証構築プロセスおよびPwCが提供する支援

社会が安心して自動運転技術を受け入れ、活用していくためには下記4点を盛り込んだプロセスが必要です。具体的には、自動車メーカー・自動運転システム開発メーカー・規制当局・第三者機関が連携し、透明性の高い安全保証体制や動的な安全性モニタリング体制を構築・運用することが不可欠です。また社会が許容可能と考えるリスク水準を明確にし、その達成状況を継続的に証明する仕組みづくりが、今後の信頼醸成の鍵となります。さらにこうしたリスクに対する保険の整備も自動運転技術の拡大を広げる一助となるはずです。

こうした課題の解決を支援するため、PwCコンサルティングは必要に応じて専門性を有するパートナー企業と連携し、レベル4以上の自動運転の社会受容を見据えた安全保証構築プロセスに関係する8つの支援を提供します(図表3)。

図表3:レベル4以上の自動運転車の社会受容を見据えた安全保証構築プロセス

A)現状調査

自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーがADS Safety RequirementsやANSI/UL 4600対応に向けて現状を調査すること。

自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーはANSI/UL 4600やADS Safety Requirementsの対応に向けて、現在社内で実施されている安全性に関するリソースで十分なのか、足りないものはないのかを調査する必要があります。

これに向けたPwCコンサルティングの支援内容は以下の通りです。

①ANSI/UL 4600やADS Safety Requirements対応に向けた現状調査・戦略策定

  • レベル4以上の自動運転車の包括的な安全論証(Safety Case)構築に向けた現状調査・戦略策定など

B)安全論証(Safety Case)構築

自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーがレベル4以上の自動運転システムを含んだ自動車が上市時において包括的に安全であることを論証すること。

自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーがレベル4以上の自動運転車が安全であることをゴールとした安全論証(Safety Case)を構築し公開することで、利用者やレベル4以上の自動運転社会を構成する全ての人が安全性について議論可能・納得可能となり、自動運転技術の社会受容が進むと考えられます。

これに向けたPwCコンサルティングの支援内容は以下の通りです。

②安全論証(Safety Case)構築支援・第三者認証取得支援

  • レベル4以上の自動運転車の包括的な安全論証(Safety Case)構築支援など
  • 米国における業界標準UL/ANSI4600への適合・第三者認証取得支援など

③自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーによる動的な安全論証を支える開発プロセスへの変革支援

  • 安全論証を支える開発プロセスの改革支援など

C)第三者認証制度構築

第三者認証機関によって該当論証が許容可能であると認証されること。

欧州や日本のように、社会実装前に型式認証を実施する安全文化がある国では、自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーが作成する安全論証(Safety Case)の内容を検証し、認可を行うことが考えられます。

一方、米国は自己認証が中心で、一部民間の第三者認証機関が自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーが作成した安全論証(Safety Case)を審査・評価しています。また、UL/ANSI 4600への対応として、複数の専門機関が自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーへのトレーニングや適合評価サービスを提供しています。これらは法定ではなく任意の第三者評価ですが、信頼性の証明として重視され始めています。

これに向けたPwCコンサルティングの支援内容は以下の通りです。

④国・公的機関によるレベル4以上の自動運転車の認可制度構築・実行支援

  • レベル4以上の自動運転車両についての安全性を評価、認可を与える制度(型式認可やライセンス制度)の制度内容設計・導入支援など

⑤国・公的機関によるレベル4以上の自動運転車の事故時説明責任の評価支援

  • 事故調査ガイドラインの策定
  • 自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーが提出する安全論証(Safety Case)に基づいて事故原因の説明を技術的にレビューする体制の構築・運営支援など

D)上市後リアルタイムモニタリング・対応

自動運転車が社会で許容可能なリスクレベル以下で運用されていることを示し続けること。

レベル4以上の自動運転車の包括的な安全性を論証するために、システム運用時に社会が許容するリスクレベル以下であることを示す必要があります。

WP29発行のGuidelines and recommendations for ADS safety requirements, assessments and test methods to inform regulatory developmentによると、レベル4以上の自動運転車の運用中の動的な安全性に関わる証拠となる指標(SPI関連指標)を認証機関にリアルタイム共有し、継続的に認可のための指標として活用することも推奨されています。

また、レベル4以上の自動運転車の実装は事故の責任が運転手から車両自体に移るという考え方が浸透しつつあり、実質的には自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーが賠償責任を負うケースが増えると想定されるため、保険会社も個人向け、自家用車向けの保険から商用フリート、モビリティサービス向けの保険までさまざまな保険商品の提供が必要になると推測されます。

これに向けたPwCコンサルティングの支援内容は以下の通りです。

⑥自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーによる安全性リアルタイムモニタリング体制の構築支援

  • レベル4以上の自動運転車が常に安全に動作しているか、また「生きた安全論証(Safety Case)」が維持されているかをリアルタイムに監視・評価するシステムの設計・導入支援など
  • 収集されたデータを用いたリスク評価支援など

⑦自動車メーカー、自動運転システム開発メーカーによるレベル4以上の自動運転車の事故時における原因特定支援

  • 事故時の車載ログデータや映像の収集・可視化、シミュレーションによる状況再現、AIモデルの挙動分析支援など

⑧保険会社によるレベル4以上の自動運転車向け保険商品構築支援

  • 安全論証(Safety Case)やデータ解析を用いた新しい保険商品の構築やデータ解析支援など

Safety Caseに関連した法規の策定状況・Safety Caseの概要・Safety Caseを構築した際に必要な開発プロセスに関する支援概要については、下記リンクよりPDFファイルをダウンロードしてください。

自動運転車の包括的な安全性の実現を支援

L4/AIモデルも見据えた安全論証・安全性証明の支援プログラム ※登録が必要です

主要メンバー

矢澤 嘉治

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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藤田 裕二

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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石河 雄太

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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山口 茉吏王

シニアアソシエイト, PwCコンサルティング合同会社

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藤野 弘隆

シニアアソシエイト, PwCコンサルティング合同会社

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