PwC Consultingの調達購買チームでは、2024年11月に書籍『経営のための「調達」見落とされてきた活用戦略』を出版しています。コンサルティング業務の傍ら、執筆活動に携わったPwC Consultingメンバーに話を聞きました。
メンバープロフィール
G.Koyama:ディレクター
S.Mukai:シニアマネージャー
※所属、役職およびインタビュー内容は対談当時のものです。
Koyama:
キーワードは「個人的な思い」「勘違い」「チーム」の三つです。
まず、「個人的な思い」。10年ほど前から「いつか自分の仕事を本に残したい」と考えていました。
次に「勘違い」。以前、PwCコンサルティングの書籍出版ワークショップという会に参加したのですが、講師である元出版社の方の添削を受けた際、「この本、出せそうですね」と言われ、単純にその気になってしまいました(笑)。
最後に「チーム」。どうせなら、個人ではなくチームで本を出したい。みんなで今の仕事を一度整理し、執筆を通して成長し、日本最強の調達購買チームとして世の中に挑戦したい。そのようなことをメンバーに話したことがきっかけです。
今回出版してくださった中央経済社とは、PwCコンサルティングのマーケティングチームと以前からリレーションがありましたが、私たち自身は面識がなく、こちらから企画を持ち込む形でスタートしました。
Koyama:
執筆に取り掛かる中でまず考えたのは、「誰に向けた本にするか?」ということでした。
その答えは、「経営層」。そして「経営企画や調達をリードする方々」でした。なぜなら、日本では「調達を企業価値向上のレバーとして活用できている企業がまだ少ない」と感じていたからです。
欧米では調達を改革の武器にしている企業が多く、その考え方や仕組みを見ると、日本企業との違いが浮き彫りになります。この知見をもっと早く、もっと広く伝えたい。そして、日本企業のグローバル競争力を高める一助になりたい。そのような思いが、この書籍の原点にあります。
Mukai:
日本の調達が遅れているというわけではありません。日本企業では、サプライヤーとの良好な関係を構築するための取り組みを大事にしている企業が多いと感じています。例えば、特に直接材領域では、重要サプライヤーを集めて年次で自社計画・戦略を伝達する、役員同士が定期交流する、といった取り組みをしているクライアント企業を複数見てきました。
Koyama:
日本企業の多くは「守り」が強いのです。サプライヤーとの関係維持もそうですが、決められたルールの下、業務を着実に遂行する力は本当に素晴らしいです。
一方で、経営の視点で、業務の構造や効果を深く理解し、「何を変えるべきか?」を考える視点が足りないと感じています。
Mukai:
目の前の見えている業務に対する改善活動に終始している企業が多いですね。
Koyama:
はい。いまだに「調達=手配業務」「調達=コスト削減」と認識している経営層は多いです。これ自体は間違いではありませんが、グローバル競争で勝ち続けるにはもう一歩先へ進む必要があります。
ここにはまだ伸びしろがあるということです。日本企業は、もっと強くなれるはずです。
Mukai:
この書籍では、経営のための「調達」に必要な改革テーマについて、事例や施策も併せて詳細に解説しています。気になる方はぜひ、お手に取ってみてください。
Mukai:流れとしては、調達購買チームで企画書を作成の上、中央経済社に持ち込み協議を開始しました。全体のアジェンダや構成、各章のメッセージの骨子は、Koyamaさんや私をはじめとする企画メンバーで検討しましたが、それぞれの原稿作成はマネージャー以上の他メンバーも含めて手分けして作成しています。原稿作成に必要な情報収集や、本編に挿入されている図表の作成は、若手メンバーも巻き込んでチーム一丸となって取り組みました。
週次でチームミーティングを設定し、各担当の進捗を確認しながら、また、原稿が完成する都度、Koyamaさんなどリードメンバーにレビューしてもらい、修正し、の繰り返しでしたね。
Koyama:
想定の3倍大変でした。最初は隙間時間に書けばいいだろうと思っていましたが、実際には一定の時間を確保して一気に書かないと、文体や論点がぶれてしまうと気が付いたのです。そこで、朝に一定の時間枠を確保するなどして、何とか時間を捻出しました。メンバーの中にはビジネスホテルにこもって執筆していた人もいました(笑)。
Mukai:
メンバー全員、日々のプロジェクトや他タスクも抱えながらの執筆活動でしたので、なかなか執筆の時間を取ることが厳しく、スケジュールもよく遅延しました。正直、「これは出版までこぎ着けないかも」と思った瞬間もあります。
結果的に、企画を考え始めてから出版まで、約1年3カ月を要しました。
また、文章力が求められる点にも苦しみましたね。コンサルタントは、資料作成やクライアントとディスカッションをする際、言葉には結構こだわります。しかし、書籍として、第三者から分かりやすい文章を書くということは、また別物なのですよね。
Koyama:
私はメンバーが作成する原稿のレビュワーも担当したのですが、メンバーごとに文章のクセがあり、読み手のことを考えながら修正するのはなかなか大変でした。おそらく出版までに5回は読んでいますね(笑)。
Mukai:
製造業を中心に、医薬、小売り、サービス業など幅広い企業の方々を対象に、複数回セミナーを実施しています。
書籍で取り扱っている、経営のための「調達」に必要な改革テーマのご紹介の上、参加者の皆さん同士でディスカッションをしてもらいました。
Koyama:
特に「調達の経営貢献の可視化」「取引先の管理方法」「IT活用」に関心が高く、懇親会でもたくさん相談をいただきました。本部長や部長クラスの方のご参加が多かったのですが、「調達をどう経営に生かすか」を本気で考える方が増えてきたと実感しています。
Mukai:
想像以上に大変でしたが、最後、対面で出版社の方から献本を受け取った際は、それまでの苦労が一気に吹き飛び、とても嬉しかったのを覚えています。自身のこれまでの経験を総動員させて執筆したものが世に出るという面白さ、達成感もあります。
Koyama:
冒頭で話した「いつか自分の仕事を本に残したい」という夢が叶えられたわけですから、感無量ですよね。
Mukai:
書籍の中でも述べていますが、就職支援会社による、大学生を対象とした志望職種のアンケートでは、調達・購買部門が回答選択肢にないケースもあり、調達に対する関心が極めて低いことを感じています。今回の書籍をより多くの方に届け、調達に対するアテンションの向上の一助になれたらと願っています。
Koyama:
当然のことですが、PwCのコンサルタントは、クライアントの課題に向き合い、仮説を立て、解決策を導くのが仕事です。でも、それだけではありません。
「世の中をこう変えたい!」という思いを起点に、サービスを開発し、書籍を出版し、自ら発信することができる。仲間と切磋琢磨しながら、新しいチャレンジができる環境があります。
自分に限界を課さず、思いっきり世の中にインパクトを出すことにチャレンジしてみたい方は、ぜひPwCコンサルティングを検討してみてください。
Mukai:
自身の領域・スキルを拡げたいという思いからPwCコンサルティングに転職しましたが、プロジェクトワークだけでなく、さまざまなことに日々チャレンジできていると感じています。大変な面もありますが、書籍執筆に限らず、マーケティング活動、セミナー開催・登壇、新規ソリューション開発など、PwCコンサルティングには自身の領域やスキルを広げる機会が多々あると思います。もし転職を考えている方がいましたら、PwCコンサルティングを選択肢の一つとして検討していただけると嬉しいです。
以上
調達によるさらなる経営貢献の創出を目指した「調達の高度化」の考え方、進め方を、具体的な事例を交えながら戦略、組織・人材、業務、システムなどの観点から紹介します。(中央経済社/2024年11月)
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