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PwC税理士法人 パートナー 移転価格、関税・貿易、リスク&ガバナンス
移転価格と関税を横断するリスク&ガバナンスを支援
近年、企業を取り巻く事業環境が大きく変化するなかで、企業活動の透明性や説明責任に対する社会的要請は一段と高まっています。こうした背景から、リスク&ガバナンス領域への対応は、各企業にとって喫緊の課題となっています。地政学リスクの拡大やサプライチェーンの再編、各国の税制・貿易制度の変化などにより、グローバル企業が直面するリスクはより複雑かつ相互に関連するものとなっています。こうした環境下で企業が持続的に事業を展開していくためには、税務、貿易、サプライチェーンなど複数の領域にまたがるリスクを個別に管理するのではなく、全体として統合的に捉えたガバナンス体制を構築することが重要になります。
PwC Japanグループでは、このような複合的なリスクに対応するため、各法人の専門家が連携し、「リスク&ガバナンス」チームとして、クライアントの課題解決を総合的に支援しています。私はそのリーダーの一人として、税務の専門知識を活かしたアドバイスを行っています。税務領域の中でも、特に移転価格や関税などクロスボーダー取引に関するリスクは、企業のグローバル経営における重要なテーマとなっています。こうした分野のガバナンスを強化することは、企業価値の維持や向上に直結します。私は、PwC税理士法人の移転価格チームとPwC関税貿易アドバイザリー合同会社の関税・貿易アドバイザリーチームの双方を統括しています。税務と関税の両面から、クロスボーダー取引に関わる課題解決を統合的に支援しています。
グローバル企業では、グループ会社間で製品や部品、ロイヤルティ、サービスなどのクロスボーダー取引が日常的に行われています。この取引価格は移転価格税制の対象となりますが、同時に輸入取引である場合には関税評価の基礎にもなります。このため、グループ内取引の価格設定は、税務と関税の双方に影響を与える重要な要素となります。しかし実務上、移転価格と関税はしばしばトレードオフの関係になります。例えば、移転価格の考え方では、企業グループ内の利益配分を踏まえて取引価格を低めに設定することが合理的とされる場合があります。一方で関税の観点では、輸入価格が高くなるほど関税額が増えるため、制度上の評価軸が一致しないケースもあります。こうした制度の違いを踏まえながら、税務と関税の双方を最適化する設計が求められます。
私たちは、これらの課題に対応するため、移転価格の分析・アドバイスやオペレーショナル移転価格(Operational Transfer Pricing:OTP)のようなソリューションの提供に加え、関税評価、関税分類、原産地管理、FTA活用、輸出入管理や貿易規制対応など、クロスボーダー取引を取り巻く各領域の専門的知見を横断的に組み合わせています。さらにサプライチェーンオペレーションやデータマネジメント、テクノロジーの視点も取り入れることで、企業の取引構造全体を見据えた支援を提供しています。
グローバル企業の税務リスクを適切に管理するうえで、近年重要性が高まっているのが、テクノロジーを活用した移転価格管理です。これまで多くの企業では、期初に移転価格ポリシーに基づいて移転価格を設定し、期中に取引を行い、期末に年度末一括調整を行う運用を採用してきました。しかし、事業環境が大きく変化する現在では、年間を通じて事業条件や利益水準が変動するため、期末に大きな調整が必要になるケースも少なくありません。そこで、OTPなどのテクノロジーを活用することで、グローバル企業は移転価格ポリシーの取引セグメント単位の利益率のモニタリングや移転価格調整を継続的に行うことができるようになります。これにより、期末調整に依存するのではなく、日々の業務の中で移転価格を継続的に管理することができます。
PwC税理士法人では、このOTPの導入や運用設計を支援するサービスを提供しています。ERPに蓄積された取引データや財務データを活用しながら、企業グループ内の利益水準を可視化し、目標とする利益レンジに基づいて価格設定を管理する仕組みを構築します。この仕組みを導入することで、移転価格ポリシーは単なる文書上のルールではなく、実務のなかで運用できる「管理プロセス」として定着します。さらに、OTPによって得られるデータは税務管理だけでなく、経営管理にも活用することができます。事業セグメントや商流ごとの利益構造を可視化することで、サプライチェーンの効率性を評価し、運転資本の改善や資金効率の向上にも寄与します。税務データを経営データとして活用することは、企業の意思決定の質の向上にもつながります。また、移転価格の管理高度化は、関税管理の観点からも重要です。関税は輸入価格を基準に課されるため、移転価格の設定は関税コストにも直接影響します。移転価格と関税を統合的に管理することで、企業は税務と貿易の双方におけるリスクをより効果的にコントロールすることができます。
私たちは今後、移転価格と関税を個別のテーマとして扱うのではなく、グローバルサプライチェーン全体のなかで、統合的に管理するアプローチがますます重要になると考えています。PwCでは、専門家の知見とデータ基盤を組み合わせながら、企業がグローバル環境の変化に柔軟に対応できる体制づくりを支援していきます。また、クライアント組織の中に再現可能な運用能力を定着させることを重視した支援にも取り組んでまいります。
◆略歴
公認会計士・税理士。2003年、PwC税理士法人に入社。大阪事務所にて、法人税や個人所得税に関するコンプライアンス・コンサルティングサービスから、移転価格コンサルティングサービスまで幅広い業務を経験。2007年、移転価格コンサルティンググループに異動し、東京事務所に勤務。2008年7月、大阪事務所の移転価格コンサルティンググループ立ち上げと同時に大阪事務所に帰任。また、名古屋事務所の移転価格コンサルティンググループ立ち上げにも携わる。現在は、日本全国のクライアントに対して、移転価格調査、相互協議、事前確認、BEPS関係の文書化業務など、数多くの移転価格コンサルティングサービスを中心に、事業再編や国際税務に対するサービスもワンストップで提供する。2020年7月から移転価格コンサルティンググループのリーダー、2025年7月から移転価格チームと関税貿易アドバイザリーチームを統括。
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