新潟県関川村 DX推進ワークショップ(後編)

  • 2023-10-20

2023年夏、PwCあらた有限監査法人(以下、PwCあらた)の有志メンバーによるプロボノ活動として、新潟県関川村で村のDX推進の担い手となる若手職員を中心に行われたワークショップ。Day2では村の課題についての気付きを深堀りし、参加者それぞれのゴールを設定しました。Day3の成果報告会までの1カ月間、そのゴールに向けてどのようなアクションを進めたのでしょうか。

実地調査やインタビューに基づく説得力あるプレゼンテーション

Day2から1カ月を経て、関川村の「東桂苑」で成果報告会が行われました。20名以上の参加者それぞれが、村の実態に沿った課題を取り上げ、実現可能なアクションを提案しました。

管理栄養士の須貝さんは、道の駅でのDXを活用したベビーカーレンタルのアイデアを提案しました。今回の発表に向けて、ベビーカーレンタルを行っている新潟駅で実際にそのサービスを使ってみるなど、積極的に行動してユーザー体験を調査したそうです。

「このワークショップに参加したことで、道の駅に実際に足を運んで改善点を見つけたり、ベビーカーレンタルをしている会社の担当者に問い合わせをしたりと、自身の変化を感じました」(須貝さん)。

おむつが売られている場所やおむつ替えができる場所を周知するなど、子育て世代にとって道の駅のユーザビリティが向上することで「一日遊べる道の駅」に人が集まり、コミュニティの活性化につながるというアイデアを提案しました。

(左から)須貝さん/地元の大学四年生の2人

さらに須貝さんは、ワークショップのゲストとして地元の大学の管理栄養士課程の4年生を招待。彼女たちは、新潟和牛の知名度不足という課題解決のため、洋ナシの一種であるル・レクチェを入れた、新潟ならではの付加価値を付けた焼肉のタレをクラウドファンディングで開発し、販売した実績を発表しました。

実際にアイデアを形にした彼女たちのストーリーは参加メンバーを勇気づけ、質疑応答はとても盛り上がりました。発表を終えた後には、「皆さんが村をよくしていくために議論を重ねていると聞き、少しでもヒントになってくれたらいいなと思い、分かりやすく伝えることに努めました。村役場の皆さんが活発に意見を出し合う姿をみて、とても素敵な村だと感じました」「それぞれの考え方や価値観の違いを共有し、課題について考えることは大切だと思います」といった感想が聞かれました。

近さん

近さんは、中年層、および若い世代の村民にとって、実際に寄り合うことの価値が変わってきていることを課題として取り上げました。Uターンをした人に個別にヒアリングをしたところ、60代の方は関わりを求めて青年会や消防団に入ったものでしたが、若い世代は趣味やオンラインのつながりがあることから青年会や消防団に入るメリットを感じず、地域とのつながりを求めてないということが分かったといいます。

そこで近さんは、地域社会として変わるべき視点として、飲み会の苦手な世代の立場に立った「飲み会なしの消防団参加のあり方」や、DX活用のアイデアとして「若者視点の地域情報を交換する、ゆるやかなSNS」を提案しました。

それを聞いた副村長の角幸治さんは「親のつながりよりも、友人のつながりでUターンする人の方が多い。血のつながりよりもインターネットを含めた友人のつながりが大事になっているのだろう。Uターン者のインタビューを地域SNSで展開して、同世代のロールモデルを提示するなどして、オンラインでも若者を地域へ引き留める拠り所があるとよい」とコメントしました。

発表後、近さんは「今まで諦めていたことも、諦めないで考え続けるようになった」とワークショップを経た自分の変化について語りました。

大好きな関川村にずっと笑顔で暮らせるように

「これまでは『自分のテリトリーじゃないから』とか『予算的に無理』などと思っていたことが多かった」と発表前に前置きした小池さん。「せっかくの機会だからそういうことは一旦忘れて、アイデアを出していきたい」と思考を変えたといいます。

小池さん

買い物などの移動手段が制限されることを課題に感じていた小池さんは、関川村ならではの人と人のつながりを活かした、「三河屋さん(地域の買い物御用聞き)」システムを提案。
「これまで皆さんとこうやって想いを発散し合う機会がなかったが、話すと皆、村が大好きなことが分かり嬉しい。打ち上げ花火ではなく、この動きを継続していけたら良いと思う。そのためには若い力が必要」と若手を鼓舞していました。

そのほかにも、役場の健康福祉課での申請をデジタル化することで利用者の負担を減らす方法や、小学生による高齢者向けのタブレット教室、10月から関川村で始まるプラ容器ゴミ分別の浸透に向けた提案などがありました。どの提案も、実情をもとにした課題設定と、村に対する思いが原動力となった深堀りと整理の跡が見られる素晴らしいものでした。

発表の最後に、PwCあらたのプロボノメンバーよりコメントがありました。

「今回は、『行動を起こす』ことをテーマとしていましたが、関川村には、村をより良くするための行動力が備わっている方が揃っているという印象です。初日の積極的な議論に始まり、最後はユーザーへのヒアリングをもとにした説得力のあるプレゼンとなっており、良い意味で予想外の結果でした。合併を選ばず、自立を選んだ関川村のDNAがここにあると感じました。

これからは村主導の取り組みとなりますが、他の地域でも参考となる好事例がいくつも生まれてくることを期待しています。私たちのサポートが必要となる際には気軽にお声がけください」(プロボノメンバー リーダー:辻)

「皆さんのポテンシャルの高さが印象的でした。ユーザー体験や課題の深堀りを自然とこなしており、新規事業の進め方を習得されたような印象でした。デジタルはあくまでも手段ですので、引き続き直面している悩みに向き合っていただきながら、プロジェクトを推進してもらえると良いと思います。仮に予算がつかないプロジェクトがあったとしても、ぜひ工夫して実現してほしいと思うプレゼンテーションばかりでした。もしすぐに事業化できなくても、関川村にしかない、新しいあたたかい取り組みができるのではないでしょうか」(プロボノメンバー:川端)

関川村 副村長 角幸治氏

関川村 副村長 角幸治氏

PwCプロボノメンバー 辻、川端

全体を総括して、関川村副村長の角さんからは「世の中のDXの波のなか、若手の皆さんから活発にアイデアを出してもらいたいという思いがあり、研修を企画しました。想像を超える積極的な発言、自由な発想と提案で嬉しく思いました。紙芝居方式のプレゼンで、言いたいことを順序だてて、きちんとストーリーにして説明できていた。こういった場があれば前進できることが体感できましたし、皆さんの変化を目の当たりにできたことを嬉しく思います。この動きを続けて、皆さんが中心になって村を引っ張っていく気持ちで頑張ってほしい。私たちは全力で後押しします」と励ましの言葉がありました。

全てのプレゼンテーションが甲乙つけ難く、村長に提案するステップに進むことになりました。アイデアをブラッシュアップして、村民DXは実現に向けさらに前進します。

本気で村の将来を思う気持ちや、小さな村だからこその密接なつながりがリアルな課題の深堀りを可能にし、課題解決に向けた具体的な提案や取り組みというアクションにつながりました。デザイン思考でDX活用アイデアを進めた今回の取り組みを通して、未来を担う若者が主体となって村の課題解決を進める大きな一歩を踏み出すことができました。

ワークショップ会場となった東桂苑の中庭

後日行われた村長へのプレゼンテーションの様子

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