IoT(Internet of Things)

IoTを活用してクライアントのビジネスを加速させるために最適なIoTビジネス開発やシステム構築を支援します。

2016年に閣議決定された第5期科学技術基本計画において、「Society5.0」というコンセプトが打ち出されました。このコンセプトは「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義され、今後の日本が目指すべき社会として提示されました。これらのサイバー空間とフィジカル空間をつなぐ媒介となるのが「データ」であり、それらはフィジカル空間上に存在するヒトやモノから生成されます。また、そのデータを伝送し、両空間を連携させるものが「ネットワーク」となります。ヒトやモノからデータを生成し、ネットワークを介してサイバー空間に伝送し、さらにはサイバー空間でデータから抽出した付加価値をフィジカル空間に返すという一連の流れをつかさどるのがInternet of Things(IoT)の考えです。

従前も多様な産業においてIoTを活用した業務改善や新規事業開発が進められてきましたが、データの処理能力やネットワークの通信能力が進歩するにつれて、IoTの活用できる領域が広がってきています。IoTのビジネスを加速するポテンシャルを最大限活用するには、このような周辺技術のステータスや今後想定される展開を踏まえ、ビジネスに実利をもたらすユースケースを開発する必要があります。

IoTが促すサイバー空間とフィジカル空間の連携

まずはIoTがどのようにサイバー空間とフィジカル空間の連携を促すのかを見てみましょう。図1はサイバー空間とフィジカル空間がIoTと概念上どのように関連するかを示したものです。フィジカル空間に存在するヒトやモノからセンサーなどのデバイスを通じてデータを取得し、ネットワークや中継機能を持つゲートウェイを通じてサイバー空間を構成するクラウド環境に伝送します。クラウド環境ではデータを加工・蓄積しつつ、分析を行って何らかのアクションを推奨し、その結果をフィジカル空間にフィードバックしてデバイスを制御するなどします。この一連の流れがさまざまな領域に波及することによって社会全体のデジタル化が加速しますが、そのためにはいかにフィジカル空間のヒト・モノから多くのデータを収集し、それらをタイムリーにかつ欠損なく伝送し、それらの大規模なデータを高速処理し、実用に足る分析結果を抽出するかが重要な観点となります。

図1:サイバー空間・フィジカル空間とIoTの位置付け

図1 サイバー空間・フィジカル空間とIoTの位置付け

IoTシステムのあるべき姿

IoTシステムをより詳しく見ていきましょう。図2は基本的なIoTシステムのアーキテクチャですが、センサーやカメラなどのデバイスでデータを取得した上で、比較的近距離の通信に対応するローカルネットワークを通じてゲートウェイに伝送します。ゲートウェイ側ではアクセス管理、デバイス管理などを行っており、決められたルールに従ってデータをクラウド側に伝送します。また、このゲートウェイの領域にデータを処理・分析する機能を配置することで、クラウドを介さずに低遅延で分析結果を返す、いわゆるエッジコンピューティングを実装するケースもあります。

ゲートウェイから先は広域をカバーする4G、5Gなどのモバイルネットワークや固定網を通じてクラウドにデータを送り、クラウド側ではデータ処理を行って必要な形式に加工したデータをストレージに保存し、これらの収集したデータに対して機械学習などを用いて分析を行います。これらの分析結果に基づいて、デバイスの制御を行って好ましいアクションにつなげたり、アプリケーションを通じて適切な形式で可視化したりします。これらの機能が相互かつ有機的に作用することによって、ヒトやモノから得られるデータがビジネスにとって価値あるものへと変換されるのです。

図2:IoTのリファレンスアーキテクチャ

図2 IoTのリファレンスアーキテクチャ

では企業がIoTを活用して自社のビジネスを加速させるためには、どのようなIoTシステムを実装するのが良いのでしょうか。

まずは「実現したいビジネス上の価値は何なのか」「それはどのような条件で達成されるのか」を明確に定義した上で、「その条件の達成に必要なオペレーションは何か」「そのオペレーションを行うために必要なシステムは何か」といった流れでバックキャストして考えることが基本的な所作となると考えます。その過程で「どのような種類のデータが必要か」「データ分析のリアルタイム性はどの程度求められるのか」「分析の正確性はどの程度重要か」といったシステム上の要件が抽出されるはずなので、「それらの要件を満たすシステム構成はどうあるべきか」を各領域の専門家と議論しながら詰めていくことが重要です。

先ほど「基本的な所作」と述べたのは、この実現したい価値、すなわちニーズからバックキャストする考え方は数あるアプローチのうちの1つであり、技術シーズからシステム全体を構想するフォアキャスト思考のアプローチも時として有効な場合があるためです。例えばBeyond5G/6Gのような次世代の高速通信技術が実装可能になったとしても、企業としてシステム全体のアーキテクチャに対する理解が不十分であったり、データでどのような価値をもたらすかが定義されていなかったりすると、ユーザーに対するメリットを十分に理解することは困難です。さらに、ユーザーエクスペリエンスの視点が伴っていないと、その実益をユーザーに訴求することも難しくなります。よって、まずは当該通信技術によって「どの程度のデータが取得できるか」を見積もった上で、「他のデータと組み合わせることでどのような価値が創出できるか」「その仕組みをいかに全体のアーキテクチャの中で実装・モニタリングするか」といった、テクノロジードリブンの考えが必要となります。実務的には、この2つのアプローチを並行して活用し、最適な機能群としてのシステムの全体像を描くことが効果的だと考えています(図3)。

図3:IoTシステム検討におけるバックキャスト思考およびフォアキャスト思考

図3 IoTシステム検討におけるバックキャスト思考およびフォアキャスト思考

PwCのInternet of Things関連サービス

PwCは先述の考えに基づき、IoTを活用してクライアントのビジネスを加速させるために最適なIoTビジネス開発やシステム構築のご支援をさせていただいています。同時に、当社が有する産学のネットワークを活かした技術探索や、それらの技術シーズを起点としたIoTビジネス開発、システム構築のご支援も可能です。図4に示すように、当社の有する「あらゆるインダストリーの知見」「豊富なプロジェクトの支援経験」「IoT、AI、セキュリティなど関連する知見および、それらの実装支援の経験」「産官学の幅広いネットワーク」「コンソーシアムなど活動実績」「ユースケース実証拠点(例:Technology Laboratory)」を活かし、初期調査から運用まで一貫したビジネス展開プロセスのご支援を行います。

図4:PwCのIoTサービス概要

図4 PwCのIoTサービス概要

先進技術、あるいは汎用化および標準化に強みを持つアカデミアとの連携によって、ビジネスの基盤を盤石なものにし、クライアントに貢献します。また、企業間のアライアンスモデルも構築することで、ビジネスのエコシステムの構築を先導します(図5)。

図5:PwCによる産学連携モデル

図5 PwCによる産学連携モデル

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主要メンバー

一山 正行

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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新居 功介

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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三治 信一朗

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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長嶋 孝之

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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小林 峰司

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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