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アパレル業界は、原料調達から使用・廃棄に至るまで、ライフサイクル全体でさまざまな影響を自然資本に与えていると考えられます。
例えば、コットンを生産するために大規模農場が開拓され、栽培過程では大量の水や、化学肥料、農薬が使用されます。レーヨンの原料となる木材パルプを得るために、天然林が人工林に置き換えられる可能性があります。ウールやカシミア、レザーの生産では、過放牧により、草原などの植生が消失する可能性があります。製造・加工の過程においても、水消費や大気、水質の汚染、GHGの排出などが伴います。使用・廃棄の段階でも、近年注目されるマイクロプラスチックの流出や大量廃棄が指摘されています。
これらの影響を低減、回復させ、ネイチャーポジティブ を実現するためには、リジェネラティブ農業やスマート農業の導入などによる適切な原料の生産や調達、製造工程の改善、リサイクルシステムの構築等の対応が求められます。
アパレル業界のネイチャーポジティブ に向けた具体的な取り組みについて、一般的には、原料の生産・調達、製品の製造・加工、使用・廃棄といったライフサイクルの中で、土地利用、汚染、GHG排出、廃棄などの影響が注目されます。
原料の生産において、代表的な天然繊維であるコットンは、綿花の栽培のため、広大な農地を必要とします。カシミアやウールなども放牧に伴い、草原など広大な土地を利用します。また、化学肥料や農薬の利用、家畜の排泄物などにより、水質や土壌の汚染が懸念されます。生産段階の影響を回避するためには、生物多様性保全の鍵となる重要な地域(Key Biodiversity Area: KBA)での開拓や放牧を避けること、現在の調達先にそのような地域で生産された原料がある場合は、そうでない地域から産出される原料へ切り替えることなどが考えられます。また、BCI(Better Cotton Initiative)や、GOTS(Global Organic Textile Standard)などの認証を受けた繊維など、環境負荷を考慮した原料を使用して影響を低減することが考えられます。
製品の製造・加工においては、大量の水消費や、水質汚染などが懸念されています。そのため、水の利用を極力減らした製造や、有害な化学物質を使用しない加工などの導入が求められています。
使用・廃棄においては、化学繊維の洗濯に伴うマイクロファイバーの流出や、大量に発生する廃棄衣料が挙げられます。マイクロプラスチックが流出しない素材への変換や、リサイクルシステムの構築が求められます。
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