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PwCコンサルティング合同会社は厚生労働省令和7年度障害者総合福祉推進事業の国庫補助内示を受け、下記の事業を実施します。
地域生活支援事業は、地方公共団体が地域の実情や障害児・者等のニーズに応じ、柔軟に実施する事業として平成18年に創設された。近年、障害児・者の地域移行や社会生活が推進される中で、事業に対するニーズは定量的に増大するだけではなく、内容的にも多様な支援が求められているところである。他方、増大するニーズに対し、国庫における予算額も増加しており、なおも予算は不足しているとの意見や、運用面でも自治体によっては利用方法が異なるといった意見、個別給付のサービスと近い内容になっているといった指摘もある。
令和4年の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議において「地域生活支援事業により実施されている移動支援について、個別給付とすることも含め、その見直しを検討すること。」とされていることなどから、本事業では移動支援事業や訪問入浴サービスに関し、検討に必要な実態把握を行う。併せて、地域生活支援事業のうち、日常生活用具給付等事業について、自治体において支給対象としている用具の種目や基準額について実態把握を行う。
厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会では、2040年の福祉サービスの提供体制のあり方等に関する検討が進められており、その検討会の中では、人口減少と高齢化に対応するための施策や、介護人材の確保、デジタル技術の活用などが議論されている。障害福祉分野においても同様の状況にあり、特に介護分野に比べて小規模事業所が多いことから、より一層人材不足への対応、人口減少地域でのサービス確保など、今後を見据えた対応をしていくことが重要である。
本事業は、人口減少下において障害福祉サービスの提供体制を維持する観点から、各地域のサービス提供の現状を把握するとともに、効果的な人材確保・事業運営の方策などを調査分析の上、今後の人口減少社会を見据えた障害福祉サービスの提供体制のあり方について検討を行い、報告書・事例集を作成する。
近年、共同生活援助事業においては、収益を目的とし福祉分野における専門性の低い事業者や、遵守すべき法令等の内容を十分に把握していない事業者の参入によるサービスの質の低下が指摘されている。こうした状況を踏まえ、令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定において、「共同生活援助における障害者の特性に応じた支援内容や、サービスの質を評価するための具体的な基準の在り方について、来年度以降、ガイドラインの策定や資格要件・研修の導入等により具体化していく」ことが検討の方向性として盛り込まれた。
これを受けて、令和6年度障害者総合福祉推進事業「共同生活援助における支援内容の明確化及び支援の質の評価等に係る研究」において、共同生活援助ガイドライン案及び研修カリキュラム案が策定され、研修の実施方法や講義内容等については引き続き検討する必要があるとされている。
以上の背景を踏まえ、本事業では、共同生活援助の新規開設者を対象としたモデル研修を実際に行い、自治体による今後の実施に向けた教材の整備、実施する上での課題の洗い出し及び実効性についての検証を行う。また、法人種別ごとの内部牽制機能について調査し、共同生活援助を運営する法人における運営適正化のための手法を検討する。
平成30年度障害福祉サービス等報酬改定において、障害者の重度化・高齢化に対応するために創設された「日中サービス支援型グループホーム」は、短期入所を併設するなど入所施設からの地域移行の推進においても重要な役割を担っている。しかしながら、重度障害者(特に強度行動障害のある者や医療的ケアが必要な者)に対応できる事業所の整備が進んでいない現状があり、令和4年の社会保障審議会障害者部会においても、日中サービス支援型グループホームについて次のような指摘がされている。
以上の背景を踏まえ、本事業では、共同生活援助における制度の見直しに向けた検討材料として活用することを目的として、現行制度の共同生活援助事業所における医療的ケアが必要な者等の重度障害者に対する支援の現状や受け入れが進まない要因等を、事業所調査や当事者調査等によって明らかにする。
国連障害者権利委員会は、日本に対する令和4年の総括所見の中で、平成29年厚生労働省公表の「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」における「the best interest of a person(本人の最善の利益)」という言葉の使用に懸念を示している。また、令和7年に厚生労働省が発表した「第二期成年後見制度利用促進基本計画の中間検証報告書」では当該ガイドラインについて、「障害者権利条約及び令和4年の障害者権利委員会からの総括所見、並びに障害者基本法の趣旨を踏まえた改訂も含め、見直しを検討する必要がある。」とされた。
一方、法務省の法制審議会民法部会においては、成年後見制度の見直し(適切な時期に必要な範囲・期間で利用できるようにすること等)が進められている。
これらの見直しに対応するためには、令和9年度障害福祉サービス等報酬改定における意思決定支援の取組推進も含め、成年後見制度以外の意思決定支援や権利擁護支援策を総合的に充実させていく必要がある。
上述の背景を踏まえ、本事業では、以下の2点を目的として事業を実施する。
令和2年度にPwCコンサルティングが実施した「国立病院機構が運営する病院の療養介護(筋ジストロフィー病棟)利用者の地域移行に関する実態調査」では、療養介護(筋ジストロフィー病棟)利用者への基礎情報や移行等の考え方に関するアンケート調査、利用者へのヒアリング調査、自治体担当者への筋ジストロフィー疾患のある障害者が地域移行を行うにあたっての地域資源の現状及び課題に関する質問紙調査等を実施した。この結果、国立病院機構が運営する26病院の筋ジストロフィー病棟において約1,800人の療養介護利用者の実態は明らかになったものの、療養介護全体の調査は実施されていないのが現状である。
このため、次期障害福祉サービス等報酬改定等に向け、療養介護全体の実態を把握し、今後の検討に資する情報を収集することが重要である。
以上の背景を踏まえ本事業は、療養介護における日中活動の実施状況や地域移行の状況等を明らかにすることを目的として実施する。
障害者総合支援法に規定する地域移行支援は、事業所数及び利用者数はともに低位で推移している上に、精神障害者以外の利用が進んでいない現状がある。さらに地域移行及び地域定着に関するサービスは、累次の制度改正により体系が複雑化し、わかりづらいとの指摘もある。また、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定で新設された地域生活支援拠点等に関する加算については、地域移行支援、地域定着支援及び自立生活援助事業の実施が要件とされたことも踏まえ、障害者の地域移行及び地域定着に係るサービスの現状や地域生活支援拠点等との連携の状況などの実態を把握し、障害者の地域移行の更なる推進を図る必要がある。
以上の背景を踏まえ、障害者の地域移行及び地域定着に係るサービスや地域生活支援拠点等の実態調査を実施するとともに、事業の普及に当たっての課題等を整理することを目的として実施する。
メンタルヘルスや精神疾患への正しい知識と理解を持ち、地域や職域でメンタルへルスの問題を抱える人や家族等をできる範囲でサポートするここサポ(心のサポーター)を養成する「心のサポーター養成事業」は、令和3年度から令和5年度までモデル事業として実施されてきた。ここサポについては、令和15年度までに100万人を養成することが国の目標として掲げられており、健康日本21(第三次)の目標及び第8次医療計画の指標例にも含まれる。都道府県等において積極的に取り組みを推進することが推奨されており、令和7年2月の段階で既に2万人を超える心のサポーターが養成されている。
他方、心のサポーター養成を行っている自治体からは、養成プログラムの内容や時間が児童・生徒向けとは言いがたく、児童・生徒を対象として学校等を巻き込んだ心のサポーター養成が困難になっているとの指摘を受けており、10歳代の心のサポーターの養成実績は令和3年度から5年度までの累積でも全体の1.9%にとどまっている。これらの背景を踏まえ、本事業では、アンケート調査やモデル研修などを基に、児童・生徒向けの心のサポーター養成プログラムを開発することを目的とする。