令和7年度難病等制度推進事業の実施について

  • 2025-08-08

PwCコンサルティング合同会社は厚生労働省「令和7年度難病等制度推進事業」の国庫補助内示を受け、下記の事業を実施します。

【事業概要】

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業推進事業立ち上げ支援

小児慢性特定疾病の子どもたちは、幼少期から慢性疾患にかかっていることにより、学校生活や社会生活に支障がある場合がある。このため、小児慢性特定疾病の子どもたちの自立を支援するために平成27年に創設されたのが、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業である。

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業は、都道府県等が実施主体となり、小児慢性特定疾病の子どもと家族に対して、必須事業の相談支援や、努力義務事業のレスパイト、家族支援、学習支援など多様な支援を行い、子どもたちの自立を支援するものである。しかし、努力義務事業の実施率が低く、支援が十分ではないといった課題がある。

以上を踏まえ、令和4年度は、希望のあった都道府県等の自治体に対して小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ支援を行い、その成果を踏まえた「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ・見直し手順マニュアル」を策定した。

令和5年度も同様に、希望のあった都道府県等の自治体に対して小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ支援を行い、「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ・見直し手順マニュアル」を改訂した。

令和6年度は、令和5年度に引き続き、新たに支援希望自治体を募り、当該自治体に対する小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ支援を実施した。加えて、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ支援にて要望の多かった、自立支援員の役割や業務内容を整理した「自立支援員業務手引き」や、各自治体の小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施内容を整理した「取組事例集」を作成した。

本年度は、引き続き小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の立ち上げ支援を実施する。加えて、既に努力義務事業を実施している自治体を対象に、自治体外の支援団体との連携など、地域間の連携におけるモデル事業を実施する。

さらに、都道府県等が対象児童の意見を正確にくみ取り、自治体の取組等に反映するために、現在掲示されている子ども向け実態把握調査のモデル調査票の更新を行う。

移行期医療支援体制整備の推進にかかる調査研究

小児慢性特定疾病の子どもたちは、幼少期から長期間にわたり小児科に通院している場合があり、成人期の医療機関への移行が必ずしも円滑に行われていない。そのため、成人期に発症する生活習慣病など小児科では対応できない病気の発見や治療が困難になるという問題がある。

国や都道府県は、小児期から成人期への医療の移行を円滑に行うための取組を行っているが、その実態や移行に伴う課題は必ずしも明らかではなかった。そのため、令和4年度には、移行期医療支援センターに対して、小児期から成人期への移行期医療を円滑に行える体制を構築するため、課題の抽出を目的とした実態把握調査を実施した。

令和5年度は、令和4年度の実態把握調査を踏まえ、今後都道府県が移行期医療を円滑に支援するための課題解決策を検討した。その上で、解決策の実効性等を検証し、実証過程をまとめ、都道府県が活用しやすいように「移行期医療支援協議会設置に向けた手引き」を策定した。実証は、特定の地域をモデルとし、当該自治体に協力いただきながら、実際のケースを用いて行った。

令和6年度は、医療機関、保護者及び本人、並びに都道府県に対する実態把握調査や、医療機関、保護者及び本人に対するヒアリングを実施し、移行期医療支援についての認知度や実施状況を把握するとともに、移行期医療支援に係る課題を抽出した。また、調査結果から抽出された課題を基に、難病医療提供体制を活用した課題解決施策について検討した。

本年度は、広報周知の効果的な方法について検討した上で、関係者ごとの課題解決の効果的な方策について検討し、移行期医療支援に必要なツールの作成を行う。また、関係者へのヒアリングの実施を通じて、各地域の医療資源の差を踏まえた移行期医療支援の取り得る体制を検討する。

改正難病法施行後の状況調査

難病の患者に対する医療等に関する法律及び児童福祉法の改正により、令和5年10月1日施行で難病相談支援センターの連携すべき主体として福祉関係者や就労支援関係者が明記されるとともに、難病と小児慢性特定疾病(小慢)の地域協議会間の連携努力義務の新設、令和5年4月1日施行で「登録者証」発行事業の創設が行われた。

本事業では、法改正後の各自治体の実施状況を把握するため、難病相談支援センターと関係機関との連携、難病と小慢の地域協議会間の連携、及び登録者証の発行・活用に関して、質問紙調査及びヒアリング調査を実施し、調査結果を踏まえた課題の抽出及び課題解決施策の検討を行う。また、課題を抱えている自治体等の参考となるような事例集を作成し、施策の横展開を図る。

医療従事者等向けeラーニングのための情報収集

近年、情報通信技術の急速な発展に伴い、難病指定医や小児慢性特定疾病指定医の研修においても、eラーニングを用いた研修が実施されている。これらの各指定医の研修については、難治性疾患政策研究班において研修の開発や改善の取組が行われてきた。指定医の研修が法制化されてから10年が経過することも踏まえ、現在の研修内容を改めて、検討することが求められている。本事業では、有識者からのヒアリング等を踏まえ、研修内容の検討を行う。

医師以外の医療従事者向けの研修については、現在さまざまな医療団体等がそれぞれ研修を実施している。そこで、難治性疾患政策研究班では難病診療に携わる多業種の医療従事者の研修体制を構築することを目的として、医師以外の医療従事者向けの研修を統合するためのeラーニングプラットフォームの作成を行った。令和5年時点では、本プラットフォームは、今後の社会実装に向けた検討が必要な段階である。本事業では、本プラットフォームに登録する研修の検討や必要となるツールの作成など、社会実装に向けた検討を行う。

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