令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業の実施について

  • 2025-09-18

PwCコンサルティング合同会社は子ども家庭庁令和7年度社子ども・子育て支援等推進調査研究事業の国庫補助内示を受け、下記の事業を実施します。

企業主導型保育事業における地域の課題や充足率に関する調査研究

共働き世帯の増加に伴い、待機児童数が増加の一途をたどっていた頃、待機児童対策や多様な働き方の推進のため、「企業主導型保育事業」が創設された。当該事業の貢献もあり、待機児童数は年々減少し、令和6年時点で約2,500人と平成29年ピーク時の約2.6万人の約1/10以下となっている。こうした状況の変化を踏まえ、企業主導型保育事業の今後の在り方について考察する時期を迎えている。

本事業は、企業主導型保育事業の今後の在り方の検討に向けた基礎資料を作成するため、企業主導型保育施設の実態把握及び企業主導型保育施設にて定員充足率を向上させるための取組をまとめた事例集の作成を目的として、企業主導型保育施設、保護者及び自治体向けに質問紙調査を行い、施設や自治体に対してヒアリング調査等を実施する。

児童館の指導監査基準等に関する調査研究

全国に4,000以上ある児童館の設備や運営は、都道府県等が児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等に従い、または、参酌して、条例で基準を定めている。その基準の内容に合致しているかは都道府県等が定期的に監査を実施している。

しかしながら、指導監査基準や指導監査に係る通知は、児童館の実態に即した内容とは必ずしも言えず、監査を行う都道府県等では児童館ガイドラインや児童館の設置運営要綱等に基づき、他法令等も参照して独自の指導監査基準を設けている場合がある。この結果、自治体間で指導監査基準に差が生じている。また、監査手法、件数、結果公表についても同様に差がある。

令和6年度には、児童館の運営等について示す児童館ガイドラインについて、「こども基本法」及び「こどもの居場所づくりに関する指針」の理念、趣旨や内容を反映することを基本として、こどもの権利や居場所づくり等についての改正が行われた。

本調査研究では、こうした改正内容も踏まえつつ、自治体における効率的な運用とあわせて、自治体及び事業者の双方の負担軽減にも資することを目的に、全国で標準となる児童館の指導監査基準等の検討を行う。検討にあたり、都道府県等における既存の指導監査基準の確認、有識者による議論、都道府県等に対する意見聴取等を実施する。

新生児聴覚検査の実施体制向上に向けた実施手引き書の作成に関する研究

聴覚障害は、早期に発見され適切な支援が行われることで言語発達等への影響を最小限に抑えることが可能となる。そのため、全ての新生児を対象とした新生児聴覚検査の実施が重要であり、生後1か月までに新生児聴覚検査、3か月までに精密検査、6か月までに療育・教育を開始する「1-3-6」ルールが推奨されている。
新生児聴覚検査の推進体制の整備については、新生児聴覚検査体制整備事業(平成29年度開始)のもと、全国の自治体において協議会の設置や普及啓発等が進められている。また、令和元年度に「新生児聴覚検査から療育までを遅滞なく円滑に実施するための手引き書」が作成され、新生児聴覚検査にてリファー(要再検)となった場合に遅滞なく精密検査の受検に繋げるためのロードマップが示されている。
先般、小児難聴の主要な原因の一つである先天性サイトメガロウイルス感染症の治療薬の保険適用や、生後3週間以内の同感染症検査の受検推奨(新生児聴覚検査の確認検査でリファー(要再検)になった場合)により、母子保健法施行規則の一部を改正したことを踏まえ、「新生児聴覚検査の実施について」が改正された。
以上の先天性サイトメガロウイルス感染症に関する新しい知見を踏まえ、全国的な新生児期及び乳幼児期の聴覚検査の実施体制の向上が必要である。

上述の背景を踏まえ、本事業では、以下の3点を目的として事業を実施する。

  • 全国の自治体(都道府県・市区町村)に対する悉皆調査を実施することにより、自治体における体制整備上の課題を把握・整理する。
  • 新生児聴覚検査の推進体制整備が進んでいる地域の取組について情報収集を行い、自治体担当者向けの事例集を作成する。
  • 上記調査により把握した情報や事例を踏まえて有識者による検討を行い、自治体担当者向けの実践的な実施手引き書を作成(令和元年度作成版の改訂)する。

社会的養護下のこども等の自立支援のあり方に関する調査研究

令和4年改正児童福祉法施行により、令和6年4月1日より社会的養護自立支援拠点事業が創設され、児童自立生活援助事業については年齢及び実施場所の弾力化が行われた。これを踏まえ、令和6年3月に社会的養護経験者等への支援を行う際の参考として使用されることを目的として、「社会的養護経験者等への支援に関するガイドライン」が策定された。しかし、事業の実施状況や支援内容については、地域や事業所間でばらつきがあると考えられる。

今後の自立支援について検討するにあたり、社会的養護自立支援拠点の創設、児童自立生活援助事業の対象年齢や実施場所の弾力化等の影響にも留意しながら、年齢や進路先、自立の段階に応じた自立支援の実態や課題を明らかにする必要がある。

本事業では、社会的養護下のこども等への自立支援の充実を図ることを目的とし、質問紙調査及びヒアリング調査を通して自立支援の実態や今後の効果的な支援方法等を検討する。

児童相談所の業務実施体制に関する調査研究

令和4年6月1日に成立した改正児童福祉法では、一時保護の開始に際し、親権者等の同意がある場合等を除き、一時保護の開始から7日以内又は事前に、裁判官に一時保護状を請求しなければならないこととなどとした「一時保護時の司法審査」(以下「司法審査」という。)の仕組みが導入され、令和7年6月1日から施行されている。

また、「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(R4.12.15児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定、以下「プラン」という。)については、令和6年12月にプランの一部改訂が行われ、児童福祉司について、令和6年度からの2年間で910人程度を増員し、令和8年度までに全国で7,390人とすることが目標として定められている。

しかし、司法審査の導入による児童相談所における業務負荷の影響は、令和7年6月の施行後の状況を見極める必要があることなどから、プランでは「令和4年改正児童福祉法による一時保護開始時の司法審査の令和7年度からの導入の状況を含め、更なる推進等を踏まえ、必要に応じ、本プランの見直しを検討する」とされており、目標値の検討が引き続き行われている。

このため、司法審査の導入後の児童相談所の業務実施体制や業務負荷の実態を把握する必要があり、児童相談所に対する質問紙調査等を実施し、今後の児童相談所における業務実施体制の在り方について検討を行う。

こども家庭支援人材に対する全国共通の研修実施状況等に関する調査研究

国が策定した「新たな児童虐待防止対策総合強化プラン」においては、令和8年度末までに児童福祉司及び児童心理司の全国的な増員目標を立てており、今後も自治体において計画的な増員が進められることが想定されている。人員が増員されるなか、経験の浅い職員や研修受講対象者の増加が見込まれるため、支援現場においては効果的・効率的な研修が求められている。

現在のこども家庭支援人材に対する全国共通の研修は、法律で受講が義務付けられている研修のほか、支援者の経験等に応じた研修が存在している。これらの研修はそれぞれ個々で策定されてきた経緯がある。このため、全体を俯瞰した際に、各専門職のキャリアラダー・キャリアパスに沿った連続性のある研修内容になっているか、効率的に必要十分なスキルを習得できるものになっているか、複数の研修における科目の重複等を踏まえ、合理化できるところはないか等、研修内容や研修の実施方法について見直しの余地がある。

本事業では、質問紙調査及びヒアリング調査を通してこども家庭支援人材に対する全国共通の研修の実施状況を把握し、今後の研修体系や効果的・効率的な研修の実施方法等について検討することを目的とする。

令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業の実施について
【2次公募】

思春期のこどもが安心して産婦人科を受診できる環境づくりのための調査研究

国においては現在、 「プレコンセプションケア推進5か年計画」(令和7年5月)に基づき、プレコンセプションケアの推進が図られている。プレコンセプションケアに関する相談内容は多岐にわたり、避妊や性感染症等の性行為に関する相談、予期せぬ妊娠、メンタルヘルスケア、不妊症相談等、機微な内容の相談も想定される。また、成長に伴う身体の変化、月経困難症等の産婦人科受診が必要な疾患、性交渉、避妊、性感染症に関する情報提供や指導等による適切な知る機会の確保も重要となる。

特に、月経の問題については、病識が乏しく受診に至らない場合も多く、さらには周囲の理解も必要であるため、性別に関わらず適切な情報提供や丁寧な指導が求められる。しかしながら、当事者女性本人や保護者の情報不足やためらいから、産婦人科受診の必要がありつつも診断が遅れることが多いことも指摘されおり、思春期(概ね10~18歳)のこどもにも産婦人科医療機関を受診しやすい環境整備が求められている。 

そこで本事業では、思春期のこどもやその保護者における産婦人科受診の心理的ハードルを高める要因等について明らかにするとともに、思春期のこどもが必要なタイミングで安心して産婦人科受診をできるよう、当事者・保護者向け及び医療従事者向けの各種啓発資材を作成する。

「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」にかかる認定制度等の効果的な周知手法に関する調査研究

児童対象性暴力等が児童等の権利を著しく侵害し、児童等の心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるものであることに鑑み、令和6年6月19日に「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(以下「本法」という。)が成立し、公布日(令和6年6月26日)から2年6か月以内に施行することとされている。

本法を円滑かつ確実に施行するとともに、より多くの事業者に参画(認定取得)してもらうためには、制度の積極的な周知広報を通じて、多岐にわたる関係事業者・従事者等や、保護者をはじめとする国民に対し、施行前に制度理解を深めていくことが肝要である。

制度施行後は共感と理解を伴った略称で人々に浸透するのが望ましい。これを実現するため、現在本制度がどのように受け止められているかを把握するとともに、すでに施行されている各方面の制度がどのような経緯・手法で浸透したかを学ぶことが重要と考えられる。

そこで本事業では進行中の「こども性暴力防止法に関するガイドライン・マニュアル及び認定マークの作成に関する調査研究」の進行状況も踏まえつつ、デスクトップリサーチ及びアンケートを実施する。これらを通じ、法施行及び円滑な制度運用に向けた効果的な周知広報施策を検討する際の一助とすることを目的とする。

ひとり親家族支援における相談支援従事者の人材養成研修に関する調査研究

母子・父子自立支援員をはじめとするひとり親家庭等の相談支援の従事者は、ひとり親家庭等が直面している問題を把握し、個々の状況に応じて必要な支援につなぐなど、ひとり親家庭等に対する総合的な相談窓口として重要な役割を担っている。

その資質向上に関しては、「ひとり親家庭支援の手引き」や「ひとり親家庭支援のための相談対応事例集」、「ひとり親家庭等への相談支援ハンドブック」などが作成・公開されているが、令和6年度「ひとり親家庭支援における相談支援に必要な人材の在り方及び支援者の人材養成に関する調査研究」によると「ひとり親家庭支援の手引き」を一通り読んだことがあると回答した市区町村は3割であり、十分に活用されていないという課題がある。現在、国において人材養成や資質向上を図るための体系的な研修やカリキュラム等は存在せず、研修実施についても、各自治体に委ねられている。

利用者目線でも、全国で質の高い支援が提供されることは重要であり、研修カリキュラムや研修体系の検討は、人材確保・定着及び支援の質の向上に資するものである。

これらの背景を踏まえ、母子・父子自立支援員等が必要な知識や技術を身につけ、資質向上を図ることができるよう、階層別の研修カリキュラムを作成し、支援の質の向上を図ることを目的として本事業を実施する。

こどもや家庭を支援する実践者に役立つ情報基盤のあり方に関する調査研究

令和4年6月に成立した改正児童福祉法により創設された市町村こども家庭センターは、妊産婦や子育て家庭への相談対応を担うとともに、同じく改正法により創設された家庭支援事業の実施・活用、民間団体を含む地域資源の把握・連携促進・発掘などの地域資源開拓業務を担うこととされている。こうした状況を踏まえ、こども家庭センターや家庭支援事業において支援現場の最前線で相談対応等を行う職員が、安定的に質の高いサービスを提供することの重要性が一層高まっている。

これまで調査研究事業において、現場の支援に役立つ資料及び各種ガイドラインのとりまとめやツールの開発が行われているものの、市町村において家庭への相談対応やサービスを担う実践者(こども家庭センター職員、民間団体等のサービス提供者)に「つたえる」ための取組は十分に行われておらず、現場での実践につながっていない懸念がある。

本事業では、実践者が安心して業務に従事でき、より一層効果的な家庭への相談や支援、関わりができるよう、実践者が必要な情報を日々負担なく収集し、理解を深め、使えるようになるための方策を検討するために、支援者が必要としている情報、支援者への効果的な情報提供の在り方を明らかにする。

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