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2020-10-06
PwCコンサルティング合同会社は厚生労働省令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の国庫補助内示を受け、下記の事業を実施します。
【事業の概要】
令和元年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019」において、社会福祉施設等を始めとした公共施設の管理について、人口減少やインフラの老朽化が進展する中、予防保全に基づくメンテナンスサイクルの徹底やライフサイクルコストの低減を図り、時代の変化に対応した公的ストックの適正化を進めることが求められている。
各インフラ所管省庁では、長寿命化等による効率化等の効果も含めた中長期的なインフラ維持管理・更新費見通しを公表し、地方公共団体における取り組みを推進するとしている。そのため、全国の公立の児童福祉施設等の現状及び更新費用の見通し等を把握するとともに予防保全等の対策による更新費用の効率化の検証を行う。
こうした背景を踏まえ、本調査研究では、全国の公立の児童福祉施設等について、地方公共団体に対して、アンケート調査等を実施して情報を収集・整理するとともに、児童福祉施設等に係るインフラ維持管理・更新費用等、長寿命化の取り組みによるそれらの効率化効果の見える化に資するよう、本業務によって得られた情報を体系的に整理する。
虐待を受けて入院した子どもの中には、すでに治療の必要がなくなったにもかかわらず、退院後の生活拠点が決まらないなどの理由で入院を続けている子どもがいる。このような状態は社会的入院と呼ばれ、その存在が問題視されてきた。平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「医療機関における被虐待児童の実態に関する調査」によると、平成29年度において、虐待の疑いで入院した子ども1,781人のうち、約2割の399人については受け入れ先がなく、「社会的入院」を余儀なくされていることがわかった。さらに医療機関において、児童相談所および市区町児童福祉担当部署と連携していない事例があることがわかった。
社会的入院の解消に向け、医療側では「虐待」と捉える統一基準の検討やMDT(他機関連携チーム)の推進、児童相談所と医療機関が信頼構築のための通知などの必要性が指摘されている。福祉側の動きとしては、子ども家庭支援センターによる日中の一時預かり(放課後ケア)などの地域支援の枠組み活用による受入れ先が増加傾向にあるほか、障害児入所施設の在り方に関する検討会においては施設の機能強化に向けた取り組みについて検討が進められてきた。本年度は平成30年度調査のフォローアップと位置づけ、全国の医療機関における被虐待児に関する状況を改めて尋ねる。そのうえで、社会的入院解消のために必要な対応を引き続き検討する。
昭和22年に児童福祉法が制定されてから70余年、子どもの福祉をめぐる環境は大いに変わり、虐待の早期発見、早期対応、再発防止に係る様々な仕組みが整えられてきた。昨今、人々の虐待防止に対する意識も高まり、平成30年に児童相談所に寄せられた虐待相談対応件数は15万9,838件で過去最高を更新した。こうした状況を受け、「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(平成30年12月18日児童虐待防止対策に関する関係省庁連絡会議決定)により、ケース対応に当たる児童福祉司や児童心理司等が大幅に増員されることとなった。
しかし、虐待対応は時に保護者等と激しく対立することも必要になったり、夜間や休日の対応を余儀なくされたりするなど、心身への負荷が高い業務である。児童相談所職員が心身健康に働き続けるためには、純粋な量的体制の拡充のみならず、「支援者へのケア」についても考慮することが喫緊の課題である。
これを踏まえ、本調査研究は、ケース対応において中核的な役割を果たす児童福祉司と児童心理司が心身健康に働き続けるために必要な方策を検討するための基礎資料を提供することを目的として実施する。
近年、虐待相談対応件数の増加などに伴い児童相談所における児童心理司の増員がなされ、児童心理司が担う役割への期待が高まっている。また、令和元年6月に成立、令和2年4月1日から施行された児童福祉法などの改正法で児童への体罰禁止が法定化されるなど、児童の安全・安心のための取り組みが一層求められてきている。
取り組みの一つである「子どもとの関わりに困難を抱える保護者支援のためのプログラム活用」について、多様なケースに対してプログラムが適切にマッチングされていないことが、プログラム実施の主な担い手である児童相談所から課題として挙げられている。
本調査研究では全国の児童相談所における保護者支援プログラムの活用推進に資するため、令和元年度事業「児童心理司の業務実態と専門性向上に関する調査研究業務一式」で明らかにされたプログラム実施上の制約条件等も踏まえながら、プログラム事務局・児童相談所へのヒアリング調査によって、保護者支援プログラムがもたらす効果や、ケースとプログラムのマッチング時に考慮すべき点等を整理する。
医療機関から児童相談所に寄せられる虐待相談件数は平成30年度に3,500件を超えており、児童虐待への対応には医療従事者による発見や児童相談所等との連携が重要となっている。
平成31年3月に関係閣僚会議が決定した「児童虐待防止対策の抜本的強化について」では、児童虐待発生時の迅速・的確な対応を図るための対策として、医師などの医療関係者と児童相談所等の研修などによる連携体制の強化や、児童虐待防止対策に関する歯科医師向けの研修の実施に向けて取り組むことが示されている。
こうした背景を踏まえ、本調査研究では、診察等の機会に児童虐待を見落とすことがないよう、医師、歯科医師といった医療従事者向けに、児童虐待の発見・通告に必要な基礎知識に関する研修コンテンツを作成するとともに、作成コンテンツを用いたモデル研修会を開催する。
乳幼児揺さぶられ症候群などの虐待による乳幼児頭部外傷は重篤な場合には死に至るものであり、「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)」においても虐待による直接の死因は頭部外傷が最も多く、3歳児未満では死因全体の36%を占めている。
しかしながら乳幼児頭部外傷は加害(虐待)でなく、事故として判断されることもあり、判断が難しい事案でもある。児童福祉の現場では虐待か事故かの判断で対応が大きく異なるため、知識と適切な関連機関との連携が求められている。
本調査研究では乳幼児頭部外傷事案について、医学的知見の収集、児童相談所における医療機関等との連携、一時保護、家族への支援等に関する取組の調査を行い、課題や留意事項、取組事例について取りまとめを行う。
子ども虐待による死亡事例を含む重大事例が発生した場合、国及び地方公共団体は、虐待防止等のために必要な調査研究及び検証を実施することが責務とされている。
しかしながら、厚生労働省が把握した子ども虐待による死亡事例件数は年間75件前後で推移していることから地方公共団体ごとの該当事例数は少なく、各地域の独力では検証やそれを活かした実践的な研修ノウハウの蓄積が難しいと考えられる。
こうした背景を踏まえ、本調査研究では、調査フィールドとなる地方公共団体の協力のもと、死亡事例検証報告書を教材にしながら、日々のソーシャルワークで心掛けることや改善すべきことを考える機会となる研修コンテンツを作成し、モデル研修会を開催する。また、他の自治体でも研修に取り組めるよう、本事業のワークフローを整理し公開する。
近年、虐待相談対応件数が増加し、またいわゆる「48時間ルール」徹底などによる1件あたりの業務量が増加する中で、児童相談所の業務過多が問題視されている。社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会の下に設置した「市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループ」の取りまとめでは、「希望する自治体において、通告窓口を一元的に運用できる方策について、通告受理後の安全確認の体制を含め国で整理し、具体的に提示する」こととされた。
これを受けて当社は、令和元年度子ども・子育て支援推進調査研究「通告窓口の一元的運用に関する調査研究」にて、政令市の協力を受け「区分対応システム(Differential Responses:DR)」の考えを用いたインテーカー向けのチェックリストを作成し、通告受付時点で受理機関を児童相談所・市区町村に振り分けるルールが整備可能であること、その窓口の運用にあたっては諸課題の解消・合意が必要であることを明らかにした。
本年度は、令和元年度事業を受け、異なる地域においても同様の成果を上げられるか引き続きシミュレーションを行い、検証する。調査研究フィールドの選定にあたっては、都道府県が設置管理する児童相談所とし、複数地域で行う。