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昨今、全世界的なカーボンニュートラル化に向けた潮流を受け、企業にサプライチェーン全体での温室効果ガス（GHG）排出量削減が求められています。
特に、Scope3カテゴリ1は、多くの企業・業界において排出量の中でも大きな割合を占める場合があり、サプライヤーに対するエンゲージメントを通じた削減要請と実行支援を備えたネットゼロ調達基準の策定が重要になります。
本レポートでは、ネットゼロ調達基準に必要な要素を定義したうえで、ネットゼロ調達基準に関する先進企業の取り組み状況を分析し、ネットゼロ調達基準やその策定手順と要諦をまとめました。
※Scope3：自社由来でないものの、サプライチェーン上におけるGHG排出量
※Scope3カテゴリ1：原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達に係るGHG排出量
1. ネットゼロに向けたScope3カテゴリ1の重要性
業界ごとに、全排出量におけるScope3の割合ならびにScope3におけるカテゴリ1の割合を整理すると、GHG排出量の中でも特に、Scope3カテゴリ1はその排出割合の多さと、サプライヤーとの協働という点から、化学や食料品・タバコ等の業界をはじめとした業界に属する多くの企業において取り組みが重要となります。
また輸送サービス等の業界をはじめとして、一般的にScope3カテゴリ1の排出割合が少ない業界の企業であっても、昨今の潮流を受けて取引先から実際に対応要請などを受けている企業も多く、業界を問わず今後の動向を確認し、サプライチェーンと連携して対応の準備を進める必要があると言えます。
2. ネットゼロ調達基準とは
ネットゼロ調達基準には、①ネットゼロを織り込んだ目標設定がされていることが求められ、目標達成のためのサプライヤーに対する要請として、②サプライヤー選定基準、③サプライヤー管理基準が整備されていることが重要になります。
一方で、サプライヤーにネットゼロ要請を行うことはサプライヤーに負担を強いることになり、サプライチェーン全体における適切なネットゼロ対応促進のためにも、④サプライヤーエンゲージメントにはネットゼロに関する最新技術の紹介など、サプライヤーに対する適切な支援策が盛り込まれていることも重要になります。
3. 各業界の動向
各業界におけるネットゼロ調達基準の整備状況を分析するために、第2章で定義したネットゼロ調達基準に必要な4つの要素のうち、CDP3年連続Aリスト入り（2019～2021年）をしている企業はどの程度整備が進んでいるのかを分析しました。
ネットゼロ調達基準の各要素について、進んでいる業界／今後さらなる進展が必要な業界はさまざまありますが、CDP3年連続Aリストの企業群でも一定の企業が、今後さらに高度なネットゼロ調達基準の整備が求められることが判明しました。
4. ネットゼロ調達基準の要諦
今まで以上に、企業にネットゼロ対応が求められるにあたって、より少ない負荷でネットゼロ調達基準の整備を行っていくことが重要となり、体系的に整備されたネットゼロ調達基準が求められます。
PwCでは、ネットゼロ調達基準の策定、運用、更新の各段階において、要諦を整備しました。
おわりに
サプライチェーン全体の排出量削減を考えた時に、多くの企業・業界において排出量が多い領域であり、サプライヤーエンゲージメントにつながる領域である、Scope3カテゴリ1への取り組みの重要性は高い一方で、その取り組みを順調に進められている企業は多くないのが実情です。
今後、ネットゼロ調達基準が、本来対策が難しいとされていたScope3の削減、サプライチェーン全体での削減に関して有効な手段の一つとして広がって行くことにより、企業やサプライチェーン、ひいては国や世界レベルで排出量削減の取り組みが加速していくことが期待されます。
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ネットゼロ施策評価・ロードマップ策定支援サービス
温室効果ガス排出削減効果をシミュレーションできる独自の分析ツールを活用し、脱炭素に向けて経済合理性を踏まえた最適な計画の立案や実行、対外的な開示まで、企業の脱炭素の取り組みを総合的に支援します。
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