サイバーセキュリティおよびデータ保護については、金融機関と規制当局のどちらも多くのことを考慮しています。これには、巧妙化が続くサイバー攻撃、金融犯罪への関与を強める国家レベルの悪質な脅威アクター、重大なデータ侵害、および消費者が求める自身のデータの詳細管理なども含まれます。
本レポートでは、オペレーショナルレジリエンス、データ保護、インシデント報告、不正防止と責任、サードパーティリスク管理、人工知能(AI)などの重要領域について、北米/英国/欧州連合(EU)/中東/アジア太平洋(特に中国、シンガポール、香港、日本)/インドにおける各国・地域の最新の規制の動向とその背後にある考え方(概要)を探り、対応方法(要点)を念頭に置きながら未来の傾向を予測し、各国・地域における関係する規則(詳細)について詳述します。
サイバー攻撃やその他の事象がサービスや事業の継続に与える影響を最小限に抑えつつ、迅速に復旧する能力をオペレーショナルレジリエンスと言います。現在の規制動向において極めて重要なテーマとなっています。下記に主要な動きをまとめました。
世界各国・地域の法域では、消費者に自身のデータに対する高度な管理権限を付与する動きが広がっています。情報漏えいやサイバー攻撃によって、個人データが危険にさらされる可能性を低減するためです。以下に、主な動向を示します。
世界中の規制当局(場合によって単一の法域に複数の規制当局がある)は、さまざまなインシデント報告の基準や時間枠を求めています。
攻撃が増加し続ける中、規制当局も不正行為に対処するための対策を講じていますが、銀行や消費者が、損失に対してどの範囲まで責任を負うべきかについては意見が割れています。
規制当局は、ベンダーへの依存度が高いことによる集中リスクや、ベンダー関連のセキュリティ侵害の増加について懸念を表明しており、サードパーティリスク管理(TPRM)は引き続き重要な焦点領域となっています。
最後に、世界中でAIの導入が急速に進む中、政府や規制当局は、金融サービス機関全体に対してAIの安全な利用に関する期待事項を定めています。
※本コンテンツは、 Global Cyber Regulations Roundup:Financial Servicesを翻訳し日本の現状や考察を追記しています。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。なお、日本の内容については2025年7月末時点における主要な法令、規制、ガイドラインの動向を踏まえています。
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