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TMT業界における2021年上半期のM&Aは、デジタル化とディスラプションの進展が潤沢なディール資金と相まったことで活況になり、今後もこの傾向は続くと考えられます。
2021年上半期、世界のテクノロジー・メディア・情報通信(TMT:Technology Media and Telecommuniations)業界のM&A活動は、特別買収目的会社(SPAC)の新規株式公開(IPO)や、ベンチャーキャピタル(VC)ファンディングがきっかけとなり、記録的な資本供給および投資が行われ、活況が続きました。特に3つのトレンドが、現在の世界的なTMT業界におけるM&Aの活況を特徴付けています。
「業界のディスラプション、デジタル化とテクノロジーによる膨大な機会、資本の入手しやすさが重なり、記録的なM&Aが継続される基盤が生み出されます。私たちは、大手のテック企業に限らず、新興勢力企業が買収を主導するようになることを想定すべきです」
今後半年から1年の間にM&Aのホットスポットとなる分野は以下であると予想します。
仮想通貨は、業界が成熟し、大手プレーヤーが体系化を図ろうとするなか、2021年後半には、M&Aおよび資金調達の両方で、案件数が急速に増加する可能性があります。
プレーヤーの少ない業界では、企業がディスラプティブ技術を導入してコストを削減し、収益を増やし、競争環境を塗り替えることで、近い将来、ディスラプションとM&Aの機会がもたらされる可能性があります。これまでにも、Amazonが小売業界で、Teslaが自動車業界で実践したように、もともと寡占状態にあった業界を揺るがす新規プレーヤーが出現し、少数精鋭の新興企業が支配的な存在にまで成長していくことはありました。今後は、ヘルスケア業界、金融サービス業界、情報通信業界などにも新規参入者が増え、ディスラプティブ技術によって同様の傾向が現れる可能性があると考えられます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、2021年のAIアプリケーションの成長は加速しましたが、特にサイバーセキュリティ、ワークフロー管理、販売、カスタマーサポートなどの分野での採用が大きく進んだと考えています。そのため2021年にはM&Aと資金調達が増える可能性がありますが、注意が必要です。このような領域でのAI投資を回収するためには、多くの企業において、人材戦略、組織構造、ビジネス戦略、開発方法論、リスク軽減策といった取り組みについても変革を行い、積極的にAIの速度で動く世界に順応させていく必要があります。
2021年上半期のグローバルの案件数およびディール金額は、2020年下半期を上回り、過去最高水準となりました。景気回復を通じて経済が加速するなか、一部の企業や投資家は、成長戦略を加速させるために、パンデミックの間に蓄積された手元資金の放出を考えている一方、デレバレッジを検討し、将来の投資に向け手元資金に余裕を持たせようと考える企業もいます。TMTでは、上半期に総額約3,000億米ドルとなる25件のメガディールが発表されましたが、これは2020年下期に発表された案件数と同数です。PwCでは、この1年間に見られたメガディール数およびディール金額の勢いは、2021年下半期も継続すると予想しています。
テクノロジーが全ての業界で重要となり、各業界の従来の境界が融合し、M&Aの機会が創出されています。HealthTech、FinTech、CleanTechなどの業界の出現に見られるように、新規参入者や技術のディスラプションはビジネスモデルを再定義し、私たちの生活を変えています。業界の境界が融合するだけでなく、複数のテクノロジーが交わる状況も見られます。
自動車業界は、かつては各国を代表する大手ブランドだけのものでしたが、新技術と昔からの製品を組み合わせる企業が世界中で出現しています(Tesla、Lucid Motors、Nio)。小売(Amazon、Alibaba)、フィットネス(Peloton、Mirror)、支払い(Stripe、Square)、金融サービス(Robinhood、SoFi)といった他の分野でも、同様のディスラプションが見られます。これらは最後のイノベーターではなく、2021年にはテクノロジーに重点を置いた企業がさらにいくつか出現し、他のセクターにディスラプションを起こすと予想されます。こうした動きにより、新たなケイパビリティの獲得や既存の能力の強化によって自らの事業の変革を目指す大企業を中心に、さらなるディールメーキングが促されるでしょう。
通信業界では、一部の企業は従来とは異なる分野への投資(例:メディア)から撤退し、5Gへの投資に向けた資金を獲得するため、ポートフォリオを統合しています。例えば、米国では昨年VerizonとAT&Tが非中核事業の一部を売却しましたし、2021年には、カナダとスペインの大手通信会社が、規模の拡大に向けて合併し、激化する競争に備えています。
PwCでは、こうしたディールメーキングが近い将来終了するとは考えていません。通信業界には、増大するキャッシュフローを活用し、中核事業への投資を増やして規模を拡大する姿勢があるからです。通信企業は、インフラ(基地局、データセンター、光ファイバーなど)に投資するか、買収を通じて5Gを発展させる可能性があります。各社独自の戦略を追求すると考えられますが、企業がインフラとテクノロジーを強化するにつれ、垂直統合への注目が高まることが想定されます。
PwCは、2021年およびそれ以降のM&Aによる価値創造の可能性について楽観視しています。デジタル化および新たなディスラプションによる多くの機会、そしてIPOとSPACに端を発した記録的な資本と投資は、2021年も堅調なM&A活動が継続するための基盤を確立しています。
急速に成長する環境の中で競争するためには、企業は果敢に価値創造の考え方をM&A戦略に取り入れ、絶えず変化する未来のために最善のポジションを確保していく必要があります。
データについて
M&A動向に関する当社の見解は、業界が認める情報源から得られたデータに基づいています。特に本稿で取り上げたディール金額とディール件数は、Refinitivが2021年6月30日時点で提供し、2021年7月5日時点でアクセスした公式発表に基づいており、噂や取り下げられたディールを除外しています。さらに補足情報として、Dealogicと当社の独自調査からの情報も加えています。本稿は、Dealogicによる使用許諾に基づいて提供されたデータから導出したデータを含んでいます。かかる被使用許諾データのすべての権利はDealogicが留保しています。PwCの産業マッピングと一致させるため、原情報に特定の調整を加えています。当社ではメガディールの定義を、ディール金額が50億米ドルを超えるディールとしています。
※本コンテンツは、PwCグローバルが2021年6月に公開した「Global M&A Trends in Technology, Media & Telecommunications: 2021 Mid-year Update」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
TMT(テクノロジー、エンタテイメント&メディア、情報通信)企業が社会の中で果たす役割の増大とともに、M&AマーケットにおけるTMTセクターの存在感は近年、ますます大きくなっています。PwCアドバイザリーのTMTチームは、数多くのTMT企業案件の支援を通して蓄積したインサイトを生かし、クライアントの企業変革に貢献すべく...
高い専門性と経験あるメンバーが、国内案件およびクロスボーダー案件において、アドバイザリーサービスを提供します。M&A前の戦略から、デューデリジェンス、PMIやM&A後の戦略に至るまで、企業の成長戦略実現を統合的に支援します。
PwC(PwCアドバイザリー合同会社)の、ディールアドバイザリー(事業再生、コーポレートファイナンス、トランザクションサービス、バリュエーションなどのM&A全般、PPP)が提供するサービスについてご紹介します。
これまでのM&Aは、リスクを見極めるデューデリジェンス型が主流でしたが、それだけでは十分ではありません。これからのM&Aは、事業再構築、オペレーション改革、財務・税務最適化など、ディール後も見据えたバリュー・クリエーション型であるべき、とPwCは考えています。