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PwCコンサルティング合同会社は、2026年6月18日、「中国自動車産業セミナー―北京モーターショーに見るモビリティの未来とAIを活用した製品開発高度化の事例紹介―」と題して、中国市場における製品開発の高度化および自動車産業の構造変化をテーマとしたセミナーを、PwC中国と合同で上海にて開催しました。
本セミナーでは、PwC中国による中国自動車市場の最新動向および2026年4月末~5月上旬に開催された北京モーターショーから得られた示唆に加え、急速に変化する競争環境の中で日本企業に求められる開発戦略と開発プロセスの変革について、多角的な視点から情報提供しました。
本レポートでは、その中でも製品開発を効率的かつ組織横断的に進め、開発スピードの向上に寄与するマネジメント手法「IPD(Integrated Product Development:統合製品開発)」の概要を紹介します。
近年、中国自動車市場では、電動化の進展に加え、AIやソフトウェアを中核とした競争が加速しています。競争の軸は従前からのコスト、車両性能、品質に加え、先進機能のスピーディーな市場投入、データ活用、エコシステムの構築などへと広がっており、自動車産業の競争構造そのものが変化しています。
こうした環境下において、日本企業は従来の開発プロセスや意思決定の仕組みを見直すことが求められており、開発スピードと柔軟性の両立が重要な経営課題となっています。本セミナーでは、中国現地の動向を踏まえ、今後の戦略検討の視点を提示しました。
中国OEM(Original Equipment Manufacturer:完成車メーカー)は、電池を含むサプライチェーンの内製化や技術開発の迅速化により競争力を高めています。加えて、海外市場への展開を加速し、グローバルでの存在感を拡大しています。中国企業との競争においては、製品差別化に加え、開発プロセスそのものの見直しが重要です。特に、開発スピードや市場適応力の観点での変革が求められます。
日本の自動車メーカーの開発スピードを阻害する主要因として、適正品質を超えた過度な品質基準、手戻りの発生、過去の開発で蓄積された開発資産に対する再利用の低さ、人材育成の難しさ、部門横断での情報一元管理の不足、機能高度化に伴うシステムの複雑化などがあります。また、競争環境の変化が加速する中で、従来型の開発プロセスのみでは市場変化への対応が難しくなっており、開発スピード・開発効率と品質を両立する仕組みづくりが必要です。
中国の自動車メーカーや先進企業では、IPDの導入を通じて開発プロセス改革を推進しています。IPDとは、製品企画から開発、量産、市場投入までを一連のプロセスとして統合的に管理するマネジメント手法で、従来のような部門ごとの縦割り型開発ではなく、事業・技術・製造・営業などの関係部門が早期から参画・協働し、開発期間の短縮や品質向上、市場ニーズへの適合を実現することを目的とします。PwC中国は、北米で開発されたマネジメント手法をベースに、中国OEM向けに最適化したIPDの仕組みを構築し、中国国内での導入を後押ししました。
企画から量産まで一貫して責任を担うプロダクトマネージャーを中心に、コスト・品質・開発期間に関するKPIを明確化し、部門横断のバーチャルチームによる迅速な意思決定を実現します。
また、標準化やプラットフォーム活用を進めることで開発資産の再利用を促進し、製品開発の効率化と品質向上を両立することが可能です。中国企業では、DXやAIを活用しながら継続的なプロセス改革を実施し、開発サイクル短縮と競争力強化を実現しています。
中国企業では、市場要求の分析・構造化、設計・モデリング・シミュレーションの高度化、信頼性検証やテスト工程の自動化など、製品開発の幅広い領域でAI活用が進展しています。また、設計書やソースコード、テスト仕様書、評価レポートなどをAIが自動生成・レビューすることで、開発者の負荷軽減と品質向上を両立する取り組みが進められています。
さらに、開発資産のトレーサビリティ強化や、無線通信を通じてデータを送受信するOTA(Over The Air)によるソフトウェア更新など、ソフトウェア主導の製品開発を支える基盤整備も加速しています。
中国企業の取り組みは、単なる開発期間短縮ではなく、市場変化に迅速に対応するための組織・プロセス改革として位置付けられています。一方で、日本企業が中国企業の手法をそのまま導入することが最適解とは限りません。
重要なのは、日本企業がこれまで培ってきた品質や信頼性といった強みを維持しながら、IPD、AI、DXを組み合わせて開発スピードや開発効率の向上を実現することです。特に、開発資産の再利用促進、意思決定の迅速化、データ活用の高度化は、今後の競争力強化に向けた重要なテーマとなると考えられます。
中国自動車産業は、電動化を前提にAI・ソフトウェア・エコシステムを競争軸とする新たな段階へ移行しています。
日本企業においても、品質や信頼性といった強みを維持しながら、IPDやAI・DXを活用した開発プロセス改革を進めることは競争力強化に向けた重要な取り組みとなります。
本セミナーで得られた知見を日本企業のさらなる変革・競争力強化に活かすため、2026年10月に日本国内でも同様のセミナー開催を予定しています。今後も中国市場・先進企業の取り組みから得られる示唆を日本企業の変革につなげる場を提供していきます。
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