【開催報告】

次世代のモビリティ産業アーキテクチャへの対応

  • 2025-12-01

2025年10月14日、産業学会自動車産業研究部会 東部地区2025年度第2回研究会にて、PwCコンサルティング合同会社 スペシャルアドバイザーで、スマートモビリティ総合研究所 副所長の川原英司が「次世代のモビリティ産業アーキテクチャへの対応」をテーマに登壇しました。

講演で川原は、DX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)の進展に伴うスマートモビリティ社会の実現に向けた、モビリティ産業アーキテクチャの方向性や次世代への対応について語りました。その概要を紹介します。

1.スマートモビリティの発展

モビリティ領域では、DXとGXを統合的に進めることで、スマートモビリティ社会の実現が期待されています。
この新たな領域であるスマートモビリティ市場は、2030年には世界で約390兆円規模へと成長するとスマートモビリティ総合研究所では見込んでいます。これは日本の産業にとっても極めて重要な市場であり、日本企業が従来の競争力あるポジションを維持・強化するためには、産業間で連携を図りながら変革をリードしていくことが求められます。

2.モビリティ産業アーキテクチャの方向性

産業を横断した新たなビジネス機会を検討する際には、「産業アーキテクチャ」の視点が有効です。
社会やユーザーの課題を解決するための「ミッション」、それを実現するための「ファンクション」、そしてこれらを支える「オペレーティングモデル」という3つの要素で整理することで、体系的に産業アーキテクチャを捉えることができます。

図表1:産業アーキテクチャ

各企業はこのアーキテクチャを俯瞰的に理解し、自社が持続的に競争力を発揮できる領域を明確化した上で、戦略的なビジネス設計を行うことが重要です。
具体的には、「どこで戦うのか」「誰に価値を提供するのか」「誰と協業するのか」「どのようにスケールさせるのか」「どのようなオペレーションを構築するのか」といった観点から、戦略的なポジショニングを見極め、構想から実装まで一貫した取り組みが求められます。

3.次世代モビリティ産業アーキテクチャへの対応

次世代に向けては、産業アーキテクチャを「コト」「モノ」「オペレーティングモデル」という3つの軸で捉えることも有効です。

  • 「コト」:従来の自動車業界にはなかった新しい価値創出の基盤であり、サービスの高度化を支える連携プラットフォームやクラウド基盤などを指します。
  • 「モノ」:主に車両内(In-car)領域のハードウェアを意味し、近年ではプラットフォーム化やレイヤーマスターの出現など、大きな構造変化が見られます。これらの活用が企業の競争力に直結しています。
  • 「オペレーティングモデル」:上記の変化に対応し、産業全体・業界横断のバリューチェーンにおけるデータ連携や、デジタル基盤の整備、高度なエンジニアリングチェーン・サプライチェーンの構築が求められています。

図表2:モノ、コトの産業アーキテクチャの変化を支えるオペレーティングモデル

PwCコンサルティングは、こうした次世代の変化を的確に捉え、各企業が持続的に成長しながら日本のスマートモビリティ産業全体の変革をリードできるよう支援していきます。

主要メンバー

川原 英司

スペシャルアドバイザー, PwCコンサルティング合同会社

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