【VUCA時代の社会‧経営課題(設備⽼朽化)に対する変⾰の実現】―アセットマネジメント⾼度化から投資最適化までの共創⽀援―

  • 2026-02-27

現代のエネルギー・ユーティリティ産業では、外部環境に柔軟に対応できる設備管理と、持続可能な経営を可能とする成長投資の両立が求められる転換点にあります。これらの実現に資する変革と対応について、以下で考察していきます。

エネルギー・ユーティリティ産業における外部環境変化と政策・制度の変容

私たちは今、気候変動による自然災害の激甚化や頻発化に加え、水道・電力・ガス・道路などのインフラが一斉に老朽化し、さらに人口減少や地域偏在も進むという、大きな環境変化に直面しています。こうした中でエネルギー・ユーティリティ産業は、ゼロエミッション社会の実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化が進んでいます。さらに、AI・IoTといったデジタル技術の進展により、サービス革新も加速しています。これらの変化を背景に、エネルギー・ユーティリティ産業は供給システム全体として柔軟性、強靭性、および持続可能性が求められる未曾有の変革期を迎えています。
マクロ環境変化への直近の政策・制度としては、2025年6月には改正国土強靭化基本法に基づく第1次国土強靭化実施中期計画が閣議決定されました。2026年度からは、ライフラインの強靭化や防災インフラの整備・管理などを中心とした重要施策が開始されます。これらは114施策に及び、2026~2030年度の5年間で20兆円を超える事業規模となります。当該施策においては、上下水道・電力・エネルギー等の維持管理について、予防保全型メンテナンスへの転換に言及されています。これらは、国民生活の基盤でありながら老朽化が進むエネルギー・ユーティリティ設備の維持管理・高度化が、重要な社会課題として位置付けられていることを示しています。
加えて、現行政権下では17の戦略的投資分野で、高度経済成長を支えてきたインフラ設備の更新が必要との認識が示されました。併せて、2026年の税制改正大綱では、一定規模以上の設備投資に係る即時償却または税額控除を選択できる設備投資促進減税策が打ち出されています。
このように、エネルギー・ユーティリティ産業の設備は国民生活を支える「守り」の存在であると同時に、経済成長を生み出す「攻め」の源泉として捉え直されています。まさに今、これら設備を健全に維持・発展させるための保全・管理(以降、アセットマネジメント)は、今後の日本の屋台骨を支える「モノ」として、その在り方が問われているのではないでしょうか。

図表1:エネルギー産業を取り巻く近時の外部環境変化

エネルギー・ユーティリティ産業プレーヤーに求められる変革

エネルギー・ユーティリティ産業を担う各プレーヤーにおいては、限られた経営資源を利活用しながら、前述した劇的な外部環境変化へのレジリエンス強化、脱炭素化促進と競争力の維持向上を三位一体で目指していくフェーズに入っています。その源泉かつ基盤となる「モノ=設備」の価値を最大化するためには、保全・管理体系全体の高度化が必要です。近年産業界において、従来のAI・IoTを活用した第4次産業革命(インダストリー4.0)に続き、「第5次産業革命(インダストリー5.0)」が提唱されるようになりました。これは、サステナビリティやレジリエンス、ヒューマンセントリック(システム中心から人間中心へ)といった考え方に加え、デジタルツインを活用しながら社会課題の解決と高付加価値の創出を目指す新たな産業モデルです。設備保全の分野でも同様の変化が進んでいます。センサーによる状態監視やAIを活用した予知保全を特徴とする「メンテナンス4.0」から、柔軟性、強靭性、および持続可能性を備えた高度な経営・事業運営を実現する「メンテナンス5.0」へと進化が求められています。
ここで想定される変革ニーズを、企業活動の階層別に整理すると下記のとおりです。

1. 経営レベル:

市況急変および規制・制度改正への迅速・柔軟な対応に向けた設備~投資管理のリアルタイム化(意思決定の迅速化、運用状況の可視化)、複数シナリオのシミュレーションによる最適化
<例>投資計画~実行の高度化:規模、役割、工学分野などの性質が異なる設備を、統一指標の下で一元的かつリアルタイムに管理。設備のライフサイクルや市場リスク等の制約条件を織り込んだシナリオプランニングを構築。経済合理性に基づく投資判断の優先順位付けや、部門を超えた全社最適に向けた設備投資計画の立案~実行までを一貫して実現。

2. 現場管理レベル:

現場リソースの最大活用に向けた、暗黙知である「匠の技術」の形式知化、および保全効率化(部門間および経営と現場間の情報のリアルタイム共有、保守方針の標準化)、高度化(予防から予知保全への転換、リスクベースメンテナンス<RBM>/信頼性中心保全<RCM>導入)
<例>保全技術の形式知化:長期にわたり現場の保全業務を担ってきた技術者に蓄積された「匠の技術」を、デジタルナレッジとして標準化。リアルタイムかつ場所を問わない形で現場同士、経営・現場間の情報共有を可能とし、保全の品質と効率を同時に実現。

図表2-1:保全レベルの変遷と対応システム例

図表2-2:経営管理から設備管理・保全実務において想定される変革ニーズ

PwCの設備投資・アセットマネジメント支援―設備管理高度化・投資最適化ソリューション

PwCコンサルティングは、お客さまが変化の激しい環境に適応し、持続可能な成長を実現できるよう、戦略立案から実運用まで、幅広いサービスを提供しています。具体的には、設備投資やアセットマネジメントに関する現状の課題を分析し、戦略を立てます。その上で、全社的な最適化を目指し、新しい保全方針(RBMやRCM)を取り入れた業務の見直しや改善を行います。加えて、必要なITシステムの選定から導入、さらには人材教育や組織改革の支援までを一貫してご支援しております。
また、デジタルを活用した設備管理・保全実務の高度化から、財務・非財務情報を含む複雑かつ多様な制約条件の下での投資最適化に至るまで、貴社のさらなる競争力向上と社会課題解決に貢献します。私たちのソリューションにご関心がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

図表3:PwC設備管理高度化・投資最適化ソリューションの一例

執筆者

阿部 真也

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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中倉 有希

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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