
Technology Day 2025
PwCコンサルティング合同会社は、6月17日(火)に表題イベントを対面で開催します。
2024-05-07
※2024年3月に配信したニュースレターのバックナンバーです。エネルギートランスフォーメーション ニュースレターの配信をご希望の方は、ニュース配信の登録からご登録ください。
脱炭素化に向け、需要家が独自に再生可能エネルギーを調達する動きが拡大しています。需要家が直接発電事業者と契約して再生可能エネルギーを調達するコーポレートPPA(オフサイト)には、フィジカルPPAとバーチャルPPAの2種類があります。
フィジカルPPAは電力と環境価値をセットで固定価格にて取引することが一般的です。しかし、再生可能エネルギーのポテンシャルが高いエリアに偏りがあることから、発電所の所在地が需要地から遠く離れた場所になることも想定されます。その場合、連系線使用状況によっては思ったように電力を送れないリスクがあります。
一方、バーチャルPPAは電力と環境価値を切り離して取引を行います。発電事業者は電力をJEPXへ電力市場価格で、環境価値を需要家へ契約価格から電力市場価格を差し引いた価格で売却することで、合わせて売上を固定することができます。需要家は、電力を地元の電力会社から調達し、環境価値を遠方から調達することが可能になりますが、決済は契約価格と電力市場価格の差金決済となることが一般的です。
差金決済の場合、日本基準とIFRSの双方において金融商品会計が適用されることにより、時価または公正価値での評価が必要となる可能性があります。その場合、そのタイミングには①契約締結時と②契約終了までの各決算期末とがあります。
バーチャルPPAの時価または公正価値は、一般的な価値評価手法であるインカムアプローチを用いて評価することが考えられます。具体的には、将来の電力市場価格と契約価格との差額に売電量を乗じて計算される取引金額を将来キャッシュフローとして、リスクを調整した現在価値合計を価値評価結果とすることが考えられます。
将来キャッシュフローは一般的に、以下の要素から構成されることが考えられます。
将来キャッシュフローには不確実性が存在し、そのリスクを考慮して調整する必要があります。リスクには以下のようなものが想定されます。
契約締結時点においては、需要家と発電事業者は一般的にどちらかが有利、または不利にならないことが多く、その場合は当該時点における価値はゼロになることが考えられます。そのため、契約締結時点での価値評価において、クロスチェックとして価値評価結果がゼロに近似することを確認することが考えられ、乖離する場合には価値評価の前提とした各種要素を見直す必要があります。
契約締結時以降、契約終了までの各決算期末において、契約締結時点と一貫した方法で継続的にバーチャルPPAの時価または公正価値の評価を行います。契約締結時以降、将来の電力市場価格の見通しは変動することが予想され、それによって時価または公正価値がプラスとなるかマイナスとなるかは異なり、プラスの時は資産として、マイナスの時は負債として計上されます。また、各種リスクも変動する可能性があり、毎回の評価において検討する必要があります。
PwCではバーチャルPPAの時価または公正価値の評価やコーポレートPPAの組成について、以下のような支援が可能です。
今後、電源立地と需要地が離れているといった現実的な課題を解決するために、証書による脱炭素化の取り組みは拡大していくことが想定されます。脱炭素化と合わせて適切な財務報告にも留意が必要であり、今後の動向をフォローしていく必要があると考えられます。
さらにご興味のある方は、下記のサイトをぜひご覧ください。
【Power Market Analytics-電力市場分析を通じた電力事業の将来性評価】
https://www.pwc.com/jp/ja/industries/eu/electricity-system-reform/pma.html
【再生可能エネルギー発電事業者向けコーポレートPPA実行支援】
https://www.pwc.com/jp/ja/services/deals/stakeholder-focused-02/corporate-ppa.html
【再生可能エネルギー電力調達支援】
https://www.pwc.com/jp/ja/services/deals/stakeholder-focused-02/power-procurement.html
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