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2019-06-20
PwC Legal Japan News
2019年6月20日
今回のニュースレターでは、相続税に関する遺産分割成立後の更正の請求(相続税法(以下「相法」といいます)32条)の可否が争われた事案(以下「本件」といいます)につき、納税者が勝訴した、東京地方裁判所平成30年1月24日判決(以下「本件判決」といいます)を題材に若干の検討をします。
相続税法上、相続があった場合には、相続人には、相続開始があったことを知った日の翌月から10月以内に相続税の申告及び相続税を納付することが義務付けられています(相法27条1項、33条)。しかしながら、かかる相続税の申告期限までに遺産分割が終了しない場合があります。そのような場合には、(a)一旦、未分割遺産について各共同相続人が民法の法定相続分に従って相続したものとして、それぞれ相続税を申告・納付し、(b)遺産分割が終了したときに、(i)当初の相続税の申告における課税価格と(ii)遺産分割により実際に取得した財産に係る課税価格とが異なる場合は、後者(ii)を基礎として、納税者において相続税の修正申告若しくは(事由が生じたことを知った日から4月以内に)更正の請求をし、又は課税当局において更正等をすることができるものとされています(相法55条、31条、32条1項柱書・1号)。
本件では、まず、当初の相続税申告後、当該申告に係る相続財産の一部である株式の評価が過少であるとして更正処分がなされたため、当該処分の取消訴訟が提起されたところ、納税者勝訴の判決〔確定判決〕が下されました(以下「前件判決」といいます)。その後、納税者は、遺産分割が成立した後に、(遺産分割の内容並びに前件判決で示された株式の評価方法及び評価額に基づき)相続税法32条に基づき更正の請求を行いましたが、課税当局から更正の請求に理由がない旨の通知処分等がなされたため、その取消訴訟を提起しました。本件判決は、かかる取消訴訟に係るものであり、下級審裁判例ではあるものの、相続税法32条1項1号の事由に基づく更正の請求が認められる範囲や前件判決のような当初の相続税申告に係る確定判決がある場合の拘束力という重要な論点に関する判断を示すものであり、今後の相続税実務において参考になると考えられます。
(全文はPDFをご参照ください。)