2018-12-13
PwC Legal Japan News
2018年12月13日
ネットワーク、IoT、AI・ロボット技術の発展を背景とする第4次産業革命や、これらの技術革新により社会の様々な課題を克服するというスローガンを掲げるSociety 5.0といった標語に代表されるように、技術革新による社会の変革が進もうとしています。この社会変革の背景にあるものは、(ビッグ)データです。すなわち、ネットワーク及びIoTの発達により、これまでは想定できなかった量及び質のデータを創出・収集することができるようになり、また、AIの進歩により、このようにして収集したデータを分析・活用することが現実的なものとなりました。事業者はこれらを利用した新しいサービスや価値を提供することを模索しています。
このように、収集した大量で良質なデータは、事業者にとって、大きな財産価値を有し得るものです。しかしながら、データそのものが、知的財産権等の形で法的に保護の対象となるのは限定的な場合であるため、事業者が保有するデータを如何にして法的な権利として保護するかという点は難しい論点です。他方で、データはある程度流通して利活用されることでその効用が増すものであるため、過度に権利として保護される範囲を広げることも望ましくないと思われます。
このような問題意識の下、データを安心・安全に利活用できる環境整備の一環として、不正競争防止法等の一部を改正する法律が制定(公布:平成30年5月30日)され、その一部(下記3.で概説する改正)については、同年11月29日から施行されています。本ニュースレターでは、この不正競争防止法の改正(以下「本改正」といい、改正後の不正競争防止法を、「改正法」といいます)についてご紹介します。1
1 不正競争防止法等の一部を改正する法律では、不正競争防止法の他に、特許法や弁理士法等の法律も改正の対象とされていますが、本ニュースレターでは、不正競争防止法以外の法律の改正については検討の対象としておりません。また、本改正では、不正競争に係る訴訟における証拠手続にも改正が加えられていますが(改正法7条4項)、これについても、本ニュースレターでは検討の対象としません。
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