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PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問
岡田 至康 監修
2026年3月18日、欧州委員会は、「第28レジーム法人法的枠組み(28th Regime Corporate Legal Framework)」を創設するための規則案を公表した。これは、EU Inc.と呼ばれる新たな任意のEU全域に適用される法人形態を導入するものであり、各国の会社法制度の相違から生じる法的不確実性、複雑性、および執行コストの軽減を目的としている。本規則は、新たな非公開有限責任会社であるEU Inc.のための単一の調和された法人枠組みを確立し、全27加盟国において認められるものとなろう。本提案は、柔軟な資金調達、従業員参加、およびデジタルスケーラビリティに依存するスタートアップ、スケールアップ、およびその他の成長企業を主な対象としているが、EUのクロスボーダーストラクチャーを利用する既存企業や非EU企業グループにも関連し得る。本提案と併せて、欧州委員会は第28レジームに関するより広範な連絡文書を公表した。これにより、EU Inc.イニシアチブは、より広い政策的文脈に位置付けられ、提案されている本店課税(HOT)制度、欧州事業所得課税枠組み(BEFIT)イニシアチブ(以上につき、本誌2023年11月号参照)、および今後予定されている直接税に関するオムニバスパッケージ等の、その他の税制簡素化の取組みと関連付けられている。さらに、2026年3月19日の欧州理事会決定において、本提案は「One Europe, One Market(一つの欧州、一つの市場)」アジェンダの下で優先度の高い事項として位置付けられた。本提案は主として会社法のイニシアチブであり、調和されたEU法人税制度を導入するものではないが、税制関連の項目も含まれている。具体的には、会社設立と納税者番号(TIN)および付加価値税(VAT)識別番号の発行を連動させるワンスオンリー(once-only)登録メカニズム、EU従業員ストックオプション(EU-ESO)プラン(案)に基づき発行されるワラント課税に係る調和されたアプローチ、および迅速清算手続における税務当局の役割の明確化が含まれる。より簡素な会社法枠組みの導入という趣旨ではあるが、EU Inc.に係るほとんどの税実務は、引き続き国内法によることになる。本提案では、EU Inc.は、登録事務所および中央管理/主たる事業所のいずれもEU域内に置かなければならない一方、独立した経済的実体テストや最低限の活動要件は設けられていない。
本規則の下では、各EU Inc.事業体は特定の加盟国において設立されるが、調和されたEUの枠組み内で運営され、本規則で優先されない事項については引き続き国内法に服することになろう。本レジームは任意のものであり、既存の各国会社法上の法人形態と並存し、設立から清算(exit)まで会社のライフサイクル全体に適用されよう。中核的な特徴はデジタル・バイ・デフォルト(digital-by-default)のモデルである。すべての手続は、事業登録相互接続システム(BRIS)内の中央EUインターフェースを通じてオンラインで完了し、調和されたテンプレートを使用する場合は最大100ユーロの費用で48時間以内での迅速な設立が可能となり、併せて不正行為防止措置が備えられよう。本提案ではまた、複数の種類株式、ゼロ資本(zero capital structures)、およびSAFE(Simple Agreement for Future Equity)やKISS(Keep it Simple Securities)等の転換証券を含む柔軟な資金調達枠組みを導入する。従業員および取締役向けのEU-ESOプランが設けられ、適格なEU Inc.事業体に対して簡素化された破産・解散および迅速清算手続が規定されよう。
税務関連の項目は以下のとおりである。
設立時に、事業登録レジスターからTINおよびVAT識別番号の発行を担当する当局、ならびに実質的所有者登録レジスターに対して会社データが自動的に送信されることで、重複した提出が排除されよう。同じ原則はクロスボーダーの支店にも適用されよう。ワンスオンリーのデータ交換メカニズムは、解散および清算の段階にも拡張され、関連するステータスの変更が、事業登録レジスターから税務当局を含む所管当局に送信されることになろう。
本提案では、すべてのEU Inc.に適用されるEU-ESOプランに基づき発行されるワラントについて、調和された課税タイミングの規則が導入される。付与時、権利確定時、または行使時に課税は生じず、原資産である株式の処分時にのみ、処分価額と取得価額との差額に基づいて課税されることになろう。加盟国は、その分類(所得かキャピタルゲインか)および税率に関する決定権を維持するが、共通の計算方法を適用し、比較可能な国内ストックオプション制度と比べて不利でない取扱いを確保しなければならないことになろう。なお、租税回避防止ルールにより、議決権または収益に対する権利の25%超を保有している、または過去24カ月以内に保有していた個人は除外されよう。また、本レジームは従業員および取締役に限定されているとみられる。なお、付随連絡文書においても、加盟国に対してEU-ESOに関して雇用(給与)所得ではなくキャピタルゲインとして取り扱うことが推奨されているが、これは拘束力を持たないとみられる。
本提案では、適格な支払能力のある会社の迅速清算において、各国税務当局に明確な役割が与えられよう。税務当局は30日以内に清算の承認または反対について決定しなければならず、30日の延長が1回認められる。反対がない場合、承認が付与されたものとみなされよう。
本提案ではさらに、税務、社会保障、および労働法を含め、本規則の適用範囲外となる事項については、引き続き各国法が適用されることが規定されている。
本提案ではまた、より広範な登録枠組みの一環として、実質的所有者情報の電子的交換が想定されており、税務ガバナンス、DAC(執行協力指令)およびAML(Anti-Money Laundering)/KYC(Know Your Customer)義務、ならびにデュー・ディリジェンスプロセスに影響を及ぼす可能性がある。
本提案は、通常立法手続に入り、欧州議会(注)および理事会が共同立法者として審議を行う。欧州委員会は2026年末までに交渉を終結させることを求めているが、その時期は両機関における進捗に依存する。
(注)欧州議会(経済・金融委員会)の報告書草案(2026年3月19日付)では、本第28レジームについて、本レジーム参加企業に対して、単一の連結法人課税ベース(consolidated corporate tax base)および統一的な課税所得算定方法等を目指すべきであるとしている。
Source:PwC, Global Tax Policy Alert
政府は、2026年2月24日付大統領令第0173号により、2026課税年度に適用される新たな資本税(equity tax)を創設した。本税は、コロンビアにおいて所得税の申告義務を有する法人(legal entities)およびパートナーシップ(de facto partnerships)であって、2026年3月1日時点の資本(equity)が200,000税単位価値(UVT)(約105億コロンビアペソ、約270万米ドル)以上であるものに適用される。課税標準は資本(基準日時点の総資産から未払負債を控除)である。コロンビア法人の株式、持分、および出資持分は課税標準から除外される。本資本税は、申告および2回の分割払いでの納付が必要となる(2026年4月1日までに確定申告書の提出および税額の50%の納付、2026年5月4日までに残りの50%の納付)。税率は、以下のとおりである。
なお、本大統領令では、資本を不正に減少させることを目的とした会計/税務上の人為的な調整(資産の除外/過少申告、実在しない負債の計上、過大引当金計上等)に対する制裁制度を強化している。加えて、2026年2月25日から2026年3月1日までの間に会社分割(spin-off)取引を実施した企業については、資本税の課税対象であるか否かの判定において、分割法人および承継法人が2026年3月10日時点で有する資本を合算しなければならない。
Source:PwC, Tax Insights
閣僚評議会は2026年決定第(3)号を発出し、2026年3月1日付の官報に掲載した(2026年3月2日発効)。本決定は、企業組織再編取引から生じるキャピタルゲインに対する税制上の優遇措置を導入するものである。本決定に基づき、法人(juridical persons)による資産の譲渡または交換から生じるキャピタルゲイン/ロスは、当該取引が適格企業組織再編として所定の要件が充足される場合には、所得税上認識されないことになる。加えて、適格組織再編取引に関連して居住者である自然人が実現したキャピタルゲインについても、所得税が免除される可能性がある。本措置は、特定のグループ内組織再編取引に対して税務上の中立的な制度を実質的に導入するものであり、企業がその組織構造を再編し、グループ内で資産を移転し、または合併や資本再編取引を実施する際に、即時に税務上の影響が生じることなく行えるようにするものである。
本決定は、法人間の適格企業組織再編取引から生じるキャピタルゲイン/ロスは、所得税上認識されない旨を定めている。
適格取引には、国内グループ内再編に係る資産の交換、他の居住法人に現物出資された資産の再評価、合併/会社分割に伴う資産の移転、居住持株会社への現物出資に係る資産の譲渡、国内証券取引所への上場に係る資産の譲渡、が含まれる。
税制優遇措置の適用に際しては、以下を含む複数の要件を満たす必要がある。
なお、(i)直接の株主が自然人である場合、(ii)グループストラクチャーが複数の「持分保有階層」となっている場合、および(iii)再編が証券取引所への上場を目的として行われる場合等の状況を含む特定の場合には、追加的な要件が適用される可能性がある。
本優遇措置の適用を受ける納税者は、以下を含む追加的な要件を遵守しなければならない。
本優遇措置の適用を受けるためには、納税者は税務当局(GTA)に対し、補助資料とともに申請書を提出しなければならない。GTAは提出から30日以内に納税者に決定を通知するものとし、通知がない場合は承認されたものとみなされる。本優遇措置は、譲渡資産のIFRS(国際会計基準)に基づく認識(譲受者の帳簿上)、剰余金価値(surplus value)の算定における所得税法の遵守、および現物出資と引換えに発行される記名株式の処分に係る2年間の制限を含む、追加的な管理要件にも従うものとする。なお、以下のとおり、一般的な適格要件および管理要件は、IIRまたはDMTTの対象となる多国籍企業グループには適用されない。
本決定では、IIR(所得合算ルール)およびDMTT(国内ミニマムトップアップ税)の適用対象事業体を含む、OECDグローバル税源浸食防止(GloBE)モデルルールの対象となるMNEグループに対しても、本税制優遇措置が適用され得ることを明示的に確認している。その場合、以下の要件が適用される。
Source:PwC Middle East
2026年2月27日、最高裁判所は、法人所得税法における税務上中立的な法的分割(1969年法人所得税法第14a条関連)に関する濫用防止規定に含まれる一般的推定が、EU合併指令に適合しないとの判断を示した。分割後3年以内に株式が譲渡されたという事実のみをもって、当該分割(legal demerger/split-off)に正当な事業上の理由が欠如していた、または租税回避若しくは課税繰延を目的としていた(同条第6項関連)とは必ずしもいえない。このことは、分割の意思決定に先立ち、第三者への売却の意図が既に存在していた場合にも同様に当てはまる。
一般的な濫用推定が適用されないこととなった結果、税務調査官は、正当な事業上の理由が欠如していること、または租税回避若しくは課税繰延を示す具体的兆候があることについて、少なくとも初期的な第一時的立証責任を負うことになった。なお、法人所得税における事業合併制度および法的分割に係る不動産移転(取得)税の免除に関する法律の規定上も、3年間の保有期間または濫用推定が含まれている。最高裁判所がこの推定をEU合併指令と適合しないと判断したことを踏まえると、これらの濫用推定および/または3年間の保有期間も同様に維持し得ない可能性がある。なお、最高裁判所はさらに、分割が正当な事業上の理由に基づいているかどうかの判断においては、意図された最終目的およびその目的を達成するために選択された方法のいずれもが関連することを確認している。この点に関して、株主レベルの動機(事業活動の売却の意図等)も正当な事業上の理由に該当し得ることは排除されないとした。
Source:PwC Netherlands
ワシントンD.C.は、非常に厳格な法定居住性(statutory residency)ルールを適用している。個人がワシントンD.C.内に「住居の場所(place of abode)」を183日以上維持している場合、物理的にD.C.に滞在(present)していなくても、また住所地(domicile)が他の場所にあっても、所得税上ワシントンD.C.の居住者として扱われる可能性がある。このルールの発動要件は、ワシントンD.C.内の住居(dwelling)(所有または賃借)に継続的にアクセスできることであり、物件が断続的にのみ賃貸されている場合(例:短期賃貸)であっても、個人が自己使用のために期間を確保できる場合には、「自由なアクセス(unfettered access)」に該当する可能性がある。このルールにより、二重居住性(dual residency)が生じる可能性がある。納税者の住所地の州とワシントンD.C.のいずれもが全世界所得に対して居住者課税を主張し、一方の管轄区域が居住地/住所地を理由に所得を課税対象とする場合、税額控除が制限されるか利用できないため、二重課税が発生する可能性がある。また、ワシントンD.C.の定義に基づき従業員がワシントンD.C.居住者とみなされた場合、雇用主に源泉徴収義務が生じる可能性もあり、「住居のみ(abode-only)」による判定基準が早期に認定されなければ、納税者と雇用主のいずれもが予期しないコンプライアンス上の負担やコストに直面する可能性がある。
住所地に基づく居住者認定において、住所地とは、納税者の恒久的住居(permanent home)、すなわち人的・経済的利害関係の中心地を指す。個人が持てる住所地は一つのみであり、従前の住所地を正式に放棄し、別の場所に恒久的居住を定める意思をもって新たな住所地を取得するまでは、新しい住所地を設定することはできない。一方、ある州に住所地を置いていない個人であっても、「法定居住者(statutory resident)」に該当する場合には、所得税上の居住者とみなされる可能性がある。住所地が主観的な事実と状況に基づく判断であるのに対し、法定居住性の概念は通常、各州および管轄区域によって異なる定義に拠る一定の客観的要素の組み合わせに基づいている。各個人の住所地は一つのみであるが、税務上は複数の州の居住者とみなされる可能性がある。ほとんどの州とは異なり、ワシントンD.C.は居住性に関する法令を厳格に解釈しており、物理的な滞在(プレゼンス)要件を伴わない住居ベースの判定基準(abode-based test)のみを用いている。重要な考察事項は、納税者が「住居の場所(place of abode)」を維持しているかどうかである。この用語はワシントンD.C.の法令等において定義されていないが、一般的に裁判例では、基本的な生活設備およびキッチンやバスルーム等通常の住居に備わっている設備を有する住居単位(dwelling unit)と定義されている。これには、所有または賃借している住居が含まれる可能性がある。なお、法定居住性の要件は、ワシントンD.C.での滞在日数ではなく、「自由なアクセス」を伴う住居の維持に関するものである。当該住居を無制限に使用できる場合、所有者・賃借人のいずれもこのルールの対象となる。ワシントンD.C.の物件を通年で賃貸に出し、個人的なアクセス権を持たない場合、個人は法定居住性の認定を回避できる可能性があるが、物件が断続的に賃貸されている場合で、当該個人が自己使用のために期間をブロックできる場合、これは「自由なアクセス」とみなされ、法定居住性の認定が発動される可能性がある。
なお、通常、ワシントンD.C.外に住所地を有する個人は、ワシントンD.C.内で営まれる非法人事業から生じる所得に対してのみ、非法人事業フランチャイズ税を通じてワシントンD.C.で課税される。ほとんどの州とは異なり、ワシントンD.C.は非居住者に対して、給与、賃金、年金、退職報酬等の所得がワシントンD.C.内で得られたものであっても、個人所得税を課していない。
Source:PwC, Tax Insights
その他、海外税務ニュースを含む当法人発行ニュースにつきましては、https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/tax/tax-news.htmlをご参照ください。
本ニュースは、各国の税制改正の動向をお知らせする目的で、各国のPwCメンバーファームが作成する速報ニュースや各国省庁等のホームページ掲載の情報等を翻訳してお伝えしています。税制改正案の段階の情報が多いため、最終的な法制度につきましては、専門家にご確認くださるようお願いいたします。
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