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PwC税理士法人編
2026年5月18日、OECDは、2024報告対象事業年度において適格所得合算ルール(QIIR)および/または適格国内ミニマムトップアップ税(QDMTT)を導入した国・地域の「共通理解(common understanding)」を公表した。これは、グローバルミニマム課税に係るGloBE情報申告書(GIR)の提出ポータルや情報交換関係の完全な運用開始に遅れが生じ得る影響を緩和することを目的としている。これとは別に、OECD/G20のBEPSに関する包摂的枠組み(Inclusive Framework)は、特定の52週/53週事業年度を採用する多国籍企業(MNE)グループに対する移行期間UTPR(軽課税所得ルール)セーフハーバーに関する合意済みの執行ガイダンスを公表し、また、グローバルミニマム課税ルールの国内実施が移行期間で「適格」と評価された国・地域をリスト掲載する中央記録(Central Record)を更新した。今回の公表は、最初のGIRおよび国内申告の期限が迫る中、MNEおよび各国の税務当局が直面する実務上のコンプライアンス課題に対処することを意図している(多くの暦年決算グループでは、GIRの提出期限は2026年6月30日)。共通理解は、署名国・地域において一般的に自動執行(self-executing)されるものではなく、また一部の国はその適用範囲にさらなる制限を付しているため、実施国・地域による追加的な措置がなければ、共通理解の実務上の有用性は限定的である。
グローバルミニマム課税の枠組みは、MNEが一つの国・地域でGIRを一括提出し、その情報の一部または全部が他の関連国・地域と自動的に交換される、中央集中型の提出メカニズムを想定している。しかしながら、制度の実施は政策設計に大きく後れを取っており、多くの国・地域が以下の対応を完了していない(注1)。
(注1)OECDは2026年6月3日付で「Guidance on the Use of the GIR XML Schema and Validation Rules for First GIR Filings and Exchanges」を公表している。同ガイダンスは、GIR XMLスキーマ上の技術的不備(いくつかの項目に係るデータ要素の欠落、バリデーションルールの計算誤差等)計14項目について、初回申告書提出に向けた暫定的な実務上の対応策(代替要素の使用、特定バリデーションルールの適用停止等)を示すものである。XMLスキーマ自体の改訂が行われるまでの過渡的措置として位置付けられており、初回GIR申告の準備にあたっては本ガイダンスの内容にも留意する必要がある。
5月18日の本声明によれば、2024年導入国・地域は以下について合意した。
本声明の附属書(Annex)には、2026年5月31日までにGIRの中央提出の準備が整う見込みの33カ国・地域(注2)の初期リストが含まれている。日本はQIIRが2024年4月1日から適用されるため、特定の制限が付されており、日本における中央GIR提出はその日以降に開始する事業年度についてのみ利用可能である。バハマ、北マケドニア、スロバキア共和国およびベトナムは2026年5月12日時点で共通理解を採択しておらず、ギリシャおよびポーランドは附属書のリストに掲載されたEU加盟国に関してのみ採択している。
(注2)本共通理解の附属書に、2026年5月31日までに中央提出(central filing)の準備が整うと予想される国・地域として、以下が掲載されている。
オーストラリア、オーストリア、バルバドス、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、韓国、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン、スイス、スロベニア、南アフリカ、トルコ、英国
OECDは、52週/53週事業年度を採用する特定のMNEグループを対象とした移行期間UTPRセーフハーバーに関する包摂的枠組みで合意された執行ガイダンスを公表した。本ガイダンスは、2025年12月31日以前に開始し、2026年12月31日より後に終了する事業年度を持つ企業に対するギャップに対処するものである。このような企業は、事業年度が技術的には2026年1月1日より前に開始しているため、2026年のサイド・バイ・サイド(SbS)セーフハーバーまたは最終親会社(UPE)セーフハーバーの適格要件を満たさないことになる。本ガイダンスは、移行期間UTPRセーフハーバーを実質的に拡張し、2025年12月31日以前に開始し2027年1月3日以前に終了する12カ月を超えない事業年度に適用されるようにするものである。
OECDはまた、バハマ、ケニア、クウェート、およびオマーンが自国・地域のDMTTに関する移行期間適格メカニズムを完了したことを反映するため、中央記録を更新した。本中央記録には現在、44の適格IIR制度と50の適格DMTT/QDMTTセーフハーバー制度が掲載されている。バハマのDMTTは2024年1月1日から条件付きで2024年に適用され、ケニア、クウェート、およびオマーンは2025年1月1日から適用される。
Source:PwC, Global Tax Policy Alert
2026年4月30日付官報に掲載された大統領令第11257号により、外国配当/資本参加免税制度が改正された。特に、最低出資比率要件が引き下げられ、法人納税者に適用される免税率が引き上げられた。法律第7491号(2023年12月28日付官報掲載)に基づき、個人および法人納税者が外国子会社から受領する配当は、所得税および法人税の一部が免除されていた。これにより、以下のいずれの要件も満たす場合、当該所得の50%が免税とされていた。
大統領は、最低出資比率要件および免税率の双方を改正する権限を付与されていた。大統領令第11257号では、以下の改正を導入した。
本改正は2026年4月30日に施行され、2026年1月1日以降に開始する課税期間に係る所得および利得に適用される。
2026年5月5日、トルコの各種税法の改正を提案する法案が国会に提出された。本提案は、以下を含む幅広い措置を導入するものである。
なお、本法案に係るこれらの措置の最終的な範囲および適用は見直される可能性がある。
現行制度においては、以下のとおりである。
本法案は、現行制度を以下のとおり見直すことを提案している。
これらの税率は、法案の成立を条件として、2027年課税期間から適用される見込みである。
「適格サービスセンター」の新制度が導入される。本制度の下では、以下のとおりである。
従業員給与の免税措置は、一般制度では最低賃金の3倍、IFC制度では最低賃金の5倍以下の上限まで利用可能である。
適格要件として、企業は、①3カ国以上で事業を行っていること、②グループ会社にサービスを提供していること、③収益の80%以上を国外から得ていること、の3つの要件を満たす必要がある。
現行制度では、IFCで事業を行う企業は、一定の条件の下、中継貿易およびオフショア貿易からの所得について50%の控除が認められている。本法案では、既存の優遇措置を以下のとおり拡大する。
一定の優遇制度(中継貿易、適格サービスセンター、IFC優遇措置等)の適用を受ける所得は、国内最低法人税の課税標準の計算から除外される可能性がある。
本法案では、IFC制度に係る強化措置として、金融サービス輸出控除の75%から100%への引上げ(2031年末まで)、および金融活動手数料の免除期間の最長20年への延長、を提案している。
トルコに移住する個人を誘致することを目的とした新制度(国外源泉所得および譲渡益に係る最長20年間の免税等)が設けられる。
Source:PwC Turkey
政府は、下院に対し「国家復興および経済社会発展のための法案」を提出した。本法案は203ページに及ぶ文書であり、税制改革の提案を含む、政府の政策課題を推進するための主要な施策を示している。本法案には、法人所得税率の27%から23%への段階的な引下げ、非居住者株主への配当に対して課される35%の源泉税に対する法人所得税の全額控除の再導入、外国投資家がチリ政府との間で一定期間にわたり適用税制を固定する合意を締結できる新たな枠組み(すなわち税制安定化制度)の提案、およびチリ株式市場で取引される株式の譲渡により実現されるキャピタルゲインに対する10%の課税の廃止が含まれている。以下は、本法案に含まれる主要な法人税改正の概要である。
本法案では、法人所得税率を27%から23%へ段階的に引き下げる(2026年は27%、2027年は25.5%、2028年は24%、2029年以降は23%)ことを提案している(2026課税年度以降に発生または受領した所得に適用)。これに関連して、法人所得税の予定納付(PPM)に関する経過措置を導入する。一般制度の適用を受ける企業については、PPM税率は各年の第1四半期(1月~3月)にかけて段階的に引き下げられ、2027年に5.56%、2028年に5.88%、2029年に4.17%の引下げが、それぞれ前年12月時点の適用税率を基準として行われる。
2016年まで、チリの税制は歴史的にいわゆる統合方式(integrated basis)で運用されていた。この方式の下では、法人所得税(現在、法人段階で27%の税率)は、非居住者に分配される配当に対して課される35%の源泉税に対して全額控除が可能であった(非居住者株主は一般的に実効税率8%の残余税額のみを負担)。その後、いわゆる部分統合制度が導入され、現在施行されている本制度では、法人所得税の65%のみが35%の源泉税に対して控除可能である(非居住者に対する実効税負担は17.45%)。なお、チリとの間で租税条約が適用される国・地域に居住する投資家には例外が適用され、全額控除が維持されている。本法案では、部分統合制度を廃止し、完全統合制度を段階的に復活させることを提案している。移行は段階的に実施され、2027年については法人所得税の70%に相当する税額控除が認められ、2028年については80%に引き上げられ、2029年以降は法人所得税が全額控除可能となる(注)。
(注)本法案では、移行期間中に現在全額控除が認められている租税条約締結国に対する既存の例外規定を、意図せず廃止することになるように見受けられる。納税者は、この問題が法案の成立前に対処・是正されるかどうかについて、立法過程を注視すべきである。
本法案は、鉱業、産業(industry)、林業、エネルギー、インフラストラクチャー、テレコミュニケーション、研究開発、ヘルスケア等の分野において大規模プロジェクトを実施する投資家を対象とした新たな税制安定化制度を導入する(投資額5,000万米ドル以上が条件)。本制度は、2027年1月1日、または法律の施行日のいずれか遅い方の日に発効となろう。税制の安定性は、投資家が外国投資促進庁長官との間で締結する合意を通じて25年間にわたり保証される。外国投資家に対しては、鉱業ロイヤルティを除き、所得税の実効税負担合計35%が保証される。本制度ではまた、減価償却方法、繰越欠損金、開業費および組織費、ならびに資本財の輸入に適用される付加価値税および関税上の取扱いを含む、主要な税務規定および執行上の基準に関しても安定性を提供する。鉱業プロジェクトについては、鉱業ロイヤルティおよび新たなセクター固有の税にも安定性が及ぶことになろう。なお、投資家は、合意締結後に施行されたより有利な税規定を、合意された安定化制度に代えて適用することを選択できる。
本法案では、チリ証券取引所において公開取引されるチリの株式会社(S.A.A.)の株式(株式、投資信託受益権、および投資ファンド出資持分を含む)の売却により生じるキャピタルゲインに対する現行の10%の課税を廃止し、非課税所得としての取扱いを復活させることを提案している。
本法案には、チリ内国歳入庁(SII)の執行権限の強化を含む、多数の分野にわたる広範な追加的税制措置が含まれている。
Source:PwC, Tax Insights
2026年5月5日、IRS(内国歳入庁)は、Rev.Proc.2026-21を公表し、特定の法人取引において生じる「重要論点」(significant issues)について、取引全体に関するルーリングを求めるのではなく、納税者が個別の重要論点に関するプライベート・レター・ルーリングを申請することを可能とする従来の長年にわたるプログラム(2024年に一旦終了)を復活させた。復活した「重要論点」プログラムは、2026年5月5日後に消印が付された、または受領されたすべての適格なルーリング申請に適用される。復活したプログラムの下で、納税者は特定の基準を満たす1つまたは複数の論点についてルーリングを申請することができる。当該論点は、IRS副首席法律顧問官室(法人担当)(Office of Associate Chief Counsel(Corporate))の管轄に専属的に該当する「重要」(significant)なものでなければならず、かつSection 332、351、355、368または1036に規定される取引に関連するものでなければならない。「重要論点」とは、疑義のない論点ではなく、かつ確立された結論の単なる確認の要求ではない、密接に関連し(germane)かつ具体的な(specific)法律上の論点と定義される。なお、例えば、納税者が事前ルーリングを申請する「重要論点」を特定したとしても、IRSは当該取引に関連するその他の論点を検討対象として選択することができ、また取引に対するルーリングを全面的に拒否することもできる。本プログラムに基づいて提出される申請は、レター・ルーリングに関する一般的な手続要件を遵守しなければならない。納税者は、取引の詳細な記述を提供し、重要論点を明確に特定し、既存の法令等が当該論点を解決しない理由を説明することが求められる。申請には、求めるルーリングの具体的内容および必要な客観的説明も含まれなければならない。IRSは、より広範なプライベート・レター・ルーリング・プログラムと同様に、復活した「重要論点」プログラムの下でのルーリング申請が適切かどうかを判断する手段として、事前相談することを納税者に奨励している。
Source:PwC, Tax Insights
国内子会社(ドイツの有限責任会社(GmbH))からEU親会社(ルクセンブルクの株式会社(Société Anonyme))への利得分配に対する源泉税(10%)の還付に関し、連邦財政裁判所は、当該分配が子会社の清算開始後に行われたものであっても、清算手続の開始前に生じた利得に係るものである場合には、EU親子会社指令に基づく税の軽減措置の適用から排除されないと判示した(法人税法第11条第4項第3文どおり)。本判決により、当該利得分配について源泉徴収され納付された源泉税は全額還付されなければならないことが確認された。連邦財政裁判所は本件に関する最近のプレスリリースにおいて、本判決は、所得税法第43b条第1項第4文について親子会社指令(PSD)に適合する解釈をしたことに基づくものであり、クロスボーダー企業構造における法的明確性に寄与するものであるとしている。
出典:連邦財政裁判所2026年3月3日判決(VIII R 8/24)、2026年5月15日公表。
Source:PwC Germany
その他、海外税務ニュースを含む当法人発行ニュースにつきましては、https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/tax/tax-news.htmlをご参照ください。
本ニュースは、各国の税制改正の動向をお知らせする目的で、各国のPwCメンバーファームが作成する速報ニュースや各国省庁等のホームページ掲載の情報等を翻訳してお伝えしています。税制改正案の段階の情報が多いため、最終的な法制度につきましては、専門家にご確認くださるようお願いいたします。
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