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2023-01-05
スマートモビリティと新たな事業機会への対応について論じたい。
スマートモビリティとは自動運転車やIoT(モノのインターネット)を活用し、従来の交通や移動を変える新テクノロジーとして定義される。スマートの意味には、ヒトの移動を安全で効率的なものにし、事故や渋滞などの課題を解決し、ヒトの生産性やQOL(生活の質)の向上に寄与するといえる。
北米の大手IT企業や自動車メーカーが開発する自動運転タクシー事業などがその代表例だが、北米の新興企業が一般販売するEV(電気自動車)もスマートモビリティの範疇だと考える。それらに共通する点がいくつか挙げられる。① クルマを“ヒトが運転する移動体”と定義せず、完全自動もしくは特定の状況においてクルマの自動運転化技術を実装し、いわば走行機能であるクルマ(ハード)とヒトの間にソフトウエアが介在している点 ② コネクテッド技術によりそれらソフトウエアは常にアップデートされる点 ③ ①と②を可能とする自動車の構造となっている点だ。
PwCの予測では、コネクテッド技術は今後すべてのクルマに標準的に導入され、自動運転機能はハイエンドモデルを中心に順次一般化していくものと考える。
つまりスマートモビリティの流れは不可逆なものと考えるが、自動車メーカーをはじめとする関連事業者が当該領域の事業機会を検討する上で重要なキーワードは“ソフトウエアディファインド”である。言い換えれば製品の性能を決める要素(ハード)をソフトウエア側に大規模に移行するということだ。もちろん四輪駆動のSUVなどはハード側の信頼性や性能が重要となることもあるが、特に一般的なセダンのような乗用車においては、用途上、快適性や利便性など機能の重視度が高まり、ソフトウエアが製品の性格や競走優位の源泉となる割合が極端に上がる。
これらソフトウエアディファインド化はこれまで家電製品やスマートフォンなどで起こってきた流れであり、ついに自動車産業にも電動化とともに押し寄せてきた。
しかしクルマづくりの概念が変わることは、見方を変えると新たな好機ともいえる。好機を捉えるために要求されるのは、スマートモビリティ=ソフトウエアディファインド時代に対応した製品やサービスを生み出すためのさまざまな適応・変化だ。
ソフトウエア人員を大幅に拡充することや自社内でスキルチェンジを促す教育プログラムの組成は当然のことだが、加えてこれまでの伝統的なモノづくりの枠組みを変える新たな組織や設計モデルやマインドシフトが必要だ。例えば、設計や製品づくりをすべて自社で完結するのではなく、自社の競争・担当領域を狭め、さまざまなパートナーと共同で進める枠組みを構築する。製品化やスケジュール上の性能基準を厳密に定義せず、加えてリリース後のアップデートが可能となる設計を基本とする。サプライヤーを下請けと定義せず、本物のパートナーシップを結び、利益を分け合う。経営者ではなくチームに責任と意思決定を委ねるなどが挙げられる。
これらの適応・変化は従来のプロセスを変えることであり、企業にとって大きなジレンマだといえるが、“100年に一度”の自動車の変革をチャンスと捉え、積極的で迅速な対応を願いたい。
※本稿は、日刊自動車新聞2022年12月26日付掲載のコラムを転載したものです。
※本記事は、日刊自動車新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
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