
BCP/BCMの潮流とレジリエンス向上のポイント 第5回:BCPやBCMにおける経営資源の洗い出しの進め方
BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)、レジリエンスの取組みの要となる「経営資源の洗い出し」について解説します(UNITIS 寄稿)。
2024-01-25
18世紀のイギリスでの産業革命以来、1960年代の環境問題への関心の高まりから国際的な環境協定や規制が整備され、環境問題はグローバルな課題に発展している。近年では国際社会からの要求に応じるように、環境問題やサステナブルな開発への対応が各企業の関心事の1つとなっている。そのため、企業の合併や買収(M&A)の際には、対象企業の環境側面における将来の負債や法的な義務に係るリスクを調査・評価する機会が増加している。
本稿では、それらの課題に対応するために実施される環境デューデリジェンスの目的と一般的な調査項目の事例を紹介したうえで、環境デューデリジェンスの今後の方向性について解説する。
環境デューデリジェンスの目的は、対象会社の環境問題に対するリスクを可視化し、環境問題への対応という観点から当該企業の価値を正しく判断することにある。対象会社が環境問題への対応を誤った場合、周辺住民や従業員等への健康被害を及ぼすことはもとより、それらの健康被害に対する賠償責任リスクや、健康被害を生じさせた企業であるというレピュテーションリスクを生じさせ、当該対象会社の価値は毀損される。M&Aにおいて、買い手企業としては対象会社のこのような環境リスクを把握し、それを買収金額や契約条件へ反映することが、M&A成功(または失敗の回避)のポイントになる。
対象企業の保有する工場等、個別製造施設における潜在的な環境リスクを把握せずに実際の(将来発生する可能性のある環境対応費用を考慮した)企業価値を評価することは難しい。環境問題に対するマネジメントの姿勢と現場の実態に乖離があった場合、対象会社の価値を正しく判断できないため、そのようなリスクを認識するためにも環境デューデリジェンスの実施が必要である。
環境デューデリジェンスは、対象企業等から得られた情報をもとに書類調査や現地調査を行うフェーズ1と、ボーリングによる土壌汚染確認など、より技術的かつ詳細な調査を実施するフェーズ2の2段階で実施されることが多い(図表参照)。フェーズ1で十分な情報を得られない一方で重要な懸案事項の可能性が検出され、詳細な調査が必要と判断された場合にフェーズ2が実施される。
環境デューデリジェンスでは、対象企業が保有する製造施設が環境側面に与える重大な悪影響を懸念しており、事業内容・施設の立地・規模等に応じて、当該施設での環境リスクになり得る項目を調査する。なお、特定の製造施設に対してではなく、対象企業の環境マネジメントの体制や環境コンプライアンス違反を防ぐための企業のアプローチ、気候変動への対応といった、企業全体に対する環境問題への対応に関する調査は、一般的にESGデューデリジェンス(MARR Online 2022年7月号333号「第178回 ESGデューデリジェンス(ESG DD)の実務に向けて」参照)の一部として実施される。
以下に、一般的にフェーズ1として実施される環境デューデリジェンスにおける調査項目について記載する。これらは各国法規制により調査内容が異なる場合があるが、ここでは日本国内の製造施設に対して実施されることを前提に記載する。
このコンテンツはPwCアドバイザリー合同会社のプロフェッショナルによるM&A情報・データサイトMARR Onlineへの寄稿記事です。詳細はこちらからお読みください(有料)。なお、執筆者の肩書などは執筆時のものです。
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