軽課税所得ルール(UTPR)

読み方:けいかぜいしょとくるーる(ゆーてぃーぴーあーる)

定義

軽課税所得ルール(Undertaxed Profits Rule:UTPR)とは、多国籍企業グループのうち年間総収入金額 が7 億5,000万ユーロ以上である企業グループの最終親会社およびその子会社の所在地国ごとに算定される国別実効税率が最低税率(15%)を下回る場合で、かつ所得合算ルール(Income Inclusion Rule:IIR)の下では課税が行われない限定的な状況においてのみ適用されるルールです。すなわち、UTPRは、IIRを補完するものとなります。

日本では2025(令和7)年度税制改正において、このUTPRに係る法制として、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税(法人税法第二編第二章)が導入され、2026年4月1日以後に開始する対象会計年度(最終親会社の連結財務諸表に係る会計期間)から適用されます。諸外国においても、例えば欧州では2025年1月1日以後に開始する対象会計年度よりUTPRを適用する国があります。

UTPRを導入するか否かは各国の決定に委ねられますが、導入する場合にはOECDのモデルルールやコメンタリー等により示されている世界共通のルールに従い法令化することが求められます。

UTPRはIIRを補完する制度であることから、対象となる法人もIIRと同じく最終親会社が作成する連結財務諸表において連結子会社となる法人(構成会社等)および、一定の要件を満たす持分法適用会社(共同支配会社等)になります。UTPRの基本的な計算プロセスは以下のとおりです。UTPRはIIRの計算後に行われます(IIRの基本的な計算プロセスについては、所得合算ルール(IIR)の定義をご参照ください)。

  1. IIRの計算プロセスに従い、構成会社等ごとのトップアップ税額につき最終親会社に帰属するトップアップ税額を算定します。
  2. 最終親会社や中間親会社の所在地国がIIRを導入していない場合に、1.で算定した金額のうち、IIRによる申告納税の対象となっていないトップアップ税額(UTPRトップアップ税額)を算定します。
  3. UTPR導入国ごとに、その国に所在する構成会社等の従業員や有形固定資産の帳簿価額によって定められる配分基準を基に、各UTPR導入国に対してUTPRトップアップ税額を配分します。

参考)

本用語解説は2025年10月1日現在の法令等に基づいて作成されており、これ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。また、本用語解説は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本解説の情報を基に判断し行動されないようお願いします。