テクノロジー業界のコンサルタントが語る テクノロジー業界の未来トレンド予測から導出する業界課題とその対策

第1回◆転換点を迎えるICT業界――10年後に向けた競争優位性を確保するためのDXアプローチとは?

  • 2023-09-19

川崎:
そうしたさまざまな課題を解決するには、どうすればいいのでしょうか。

坂口:
「改革の錦の御旗」を立てるためには、事業部間のコンセンサスを図るためのプロジェクト内チームを作るのも方法でしょう。例えば、CMC(Change Management Committee)と呼ばれるバーチャルチームをプロジェクト内に組成し、各事業部門の意思決定権者、オペレーションエキスパートとコーポレート部門の意思決定権者、オペレーション企画部やIT本部から人選したメンバーが参加することにより、事業部とコーポレートの共通のミッションやモチベーションを醸成することができます。加えて当社のようなコンサルティング会社で保有するChange Managementメソッドやアセットを採り入れれば、より実効性の高い「改革の錦の御旗」作りを進めることができます。チームの各メンバーは、形成された合意を双方の現場に浸透させ、時間をかけて事業部とコーポレートの共創を面で実現する礎を築きます。

また、Standardの定義についても同じCMCの枠組みの中で、事業部、オペレーション企画部、IT本部が三位一体となって全社としての標準業務モデルを設計します。その際、IT本部はこのモデルを設計する際に導入するパッケージの標準業務モデルの視点で設計に参画することが非常に重要です。さもなければ「Fit to Originality」になってしまいかねません。

3点目にあげた、事業部からの投資回収の難しさについては、財務会計や人事、インフラのように「全社横断で共通化を図る機能」と、「各事業の中で共通化を図る機能」「各事業部単位に個別最適化を図る機能」の3つに大別し、各事業部の売上規模に応じた回収スキーム、配賦ロジックを準備するのも一つの方法でしょう。全社横断で使うものは単純按分、事業単位で使うものは、その事業の中でも売上規模が大きな部門がより多く払う、ないしは効果の規模をベースに利用料換算するなど、実態の売上規模、創出される効果に応じて分けるのが合理的ですし、納得もしやすいはずです。

IT部門の“祭り疲れ”を防ぐ方法として、「メンタルヘルスモニタリング」などによってプロジェクト人員の精神衛生の可視化を週次で図り、予兆を早めにつかむことも大きな効果を見込みます。また応用としては、全プロジェクトの進捗状況とプロジェクト人員の行動・モチベーションの状況などをリンクさせ、CIOに週次でレポートし、トップに直接予兆を説明のうえ、リソース配置や増員の意思決定を小回りよく促進することも考えられます。

主要メンバー

坂口 博哉

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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